折々のチェスのレシピ(393)少しだけ高度な知識をあなたに
白のこの手を見た黒は「かなり指せる相手だな」と感じると思います。
黒のキャスリングが遅れると見てその間に黒の右辺を制圧しそのスペースを攻撃につなげてやろうという指し方です。ここで対応を誤ると黒は形勢を損ね、序盤のやり取りでポイントを稼がれることになるでしょう。
黒は後手なのでこの段階で手が遅れていても当然ですが、自分が有利になる可能性を高めるような手が欲しいところです。いくつかの手が考えられますが、
d4の地点で駒を捌き合い、この形にしたいです。なぜなら、d4の地点に効いている駒の多さで黒が優っているため、白は、
ビショップを出してd4を支える必要があります。ここまでほぼ必然で進行するはずです(そうでなければ白が形勢を損ねています)。
ここで黒は、
g6とすれば、f8のビショップの可動域が広がって攻守に役立つだけでなく、両方のナイトの移動場所も確保したことになります。この局面で仮に白がどちらかのナイトを狙うような手を指してきても黒には適切な応手が存在します。どんな序盤戦術でもこうしてまずはできるだけ多くの場合に備える全方位的な駒組みができれば理想的です。
ということで白は(黒もですが)ここからやや地味な駒組みをすることになります。例えば、
しばらく進むと上のような局面になっている可能性も高いです。ここでf5に出しておいたナイトが仕事をしてくれます。この先、黒にとってやや厄介なビショップを捌いてしまいます。
後手番の黒が中盤の入り口までにこの形にできれば十分です。