折々のチェスのレシピ(85)
前回は序盤におけるセンター付近の攻防についてでしたが、センターをどちらが取るかというのは、チェスの長い歴史において常に問題・課題とされてきたことです。
センターを制するのはどちらか、というのは序盤から中盤にかけての双方の攻防の最前線になります。
興味深い例を見つけたので、以下のgifアニメーションでじっくりご覧ください。黒はほぼ無駄な手を指していません。
センターをうまく捌くと、こんなにも優劣に差がつくという好例です。黒にとっては快勝譜ですが、白としたらなぜ負けたのか理由がよくわからないかもしれません。中央を捌き合った時点で大差がついてしまい、それからはあれよあれよという間に追い詰められてしまっています。白はおそらく同じような序盤を何度も体験しているでしょうし、実際に本局も中央を捌き合うまでは互角でした。それでも中央をうまく捌かれるとなす術がないことを痛感したのではと思われます。
この対局でもうひとつ注目していただきたいのは、黒がキャスリングをだいぶ後まで保留している点です。相手の駒の配置次第でどちらか有利なほうへとキャスリングするのを待っています。これが白のクイーンを取ることに成功した要因です。
キャスリングを守りだけでなく、攻めにも使っており、キャスリングのお手本のような例です。この呼吸を体得できれば、スコアも自ずからアップすると思います。