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折々のチェスのレシピ(86)
今回もチェスにおいて極めて重要なセンターの攻防です。
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白がd4とポーンを突いてきました。明らかにセンターにおける戦いを有利にしようという意図があります。一見すると駒の数で白が勝っているようにも思えますが・・・。一歩引いて受けるならd6でしょう。しかし、
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d5に対する白の対応は結構難しいです。最善手を指し続けられるプレイヤーは少数だと思われます。仮にd5の地点でナイトまで捌き合うと、
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この局面になり、黒の優勢です。それを避けるには、
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白はeファイル側のポーンを取る必要があります。これに対して黒はやはりeファイルのポーンを取り、クイーンまで交換し合ってしまいます。
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そうするとこの局面になっている可能性が高いです。形勢は互角ですが、このままだと白はb2のポーンが取られてしまうため、次に受けの手を指す必要があります。そこで手が回ってくる黒にとってもまずまず指せる一局です。
なお、第2図で白がc5とした場合には、壊滅的とは言えないもののかなりのダメージを受けるので、黒が勝勢に近い形にまでなります。