折々のチェスのレシピ(300)序盤で指してはいけない手100選
できるだけ相手に手を渡すことなく自分の手を作りたいというのが序盤の課題です。
この局面で黒はdファイルのポーンを活用できないという問題を抱えています(ビショップが効いているため)。それを解消するにはキャスリングをすればいい、だったらf8のビショップを動かせばいい、そう考える人は多いようです。
しかし、この手は白にとって何の脅威にもなっておらず、対応も不要です。よって、白は次に、
Qf3などとしてd3のポーンを捌きにくるはずです。これを受ける手はありません。そもそも、第1図において黒がキャスリングを急ぐ必要はありません。dファイルのポーンを使いたいのであれば、
ポーンを使って白のビショップの効き筋を変えてしまえばいいことです。白はビショップを逃す場所がひとつしかなく、
黒は今度は、白がキャスリングした左辺を攻めていく手筋を作ることができます。ここから先の展開はいくつか考えられますが、d3で白のポーンを抑えているため、そんなにパターンはありません。
一例としては、
こんな進行がすぐに思い浮かびます。黒が優勢です。
局面次第ですが、キャスリングを急ぐ必要がないことも理解できる対局例です。むしろ、キャスリングを急いだ白のほうが攻めのターゲットを絞られて苦戦するであろう展開だと言えます。
今回の例では、可能な限り相手に手を渡すことなく、黒が手を作ることに成功しています。
どんな序盤戦術であっても、
1、できるだけ相手に手を渡さない。
2、キャスリングを急ぐ必要はない(必ずしもキャスリングする必要はない)。
このふたつをとりあえず覚えておいていただければと思います。例外もあるので上のふたつのポイントが万能とは言えませんが、ひとまず序盤では大体通用します。
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