折々のチェスのレシピ(471)少しだけ高度な知識をあなたに
AIやエンジンの発達によって以前ほど序盤のセンターポーンの価値が大きくはなくなったということはちらっと書きましたが、それを説明するのは難しく、今に至るまで説明していません。それはそのうちということでご容赦ください。
今回はそれとは逆に序盤でセンターポーンを疎かにした例をご覧ください。
センターポーンを疎かにしたがゆえに無駄にクイーンを出してしまわざるを得なかった黒は、今度はそのクイーンの位置を咎められる形でどんどん白に手を作られてしまっています。それへの対抗なのか、黒はg、hファイルから端攻めをしているように見えますが、かえって両ファイルを開けてしまっており、これは墓穴を掘るという表現がぴったりです。
なぜセンターポーンが昔からそんなに重視されてきたかというと、いくつかの理由がありますが、大きいのはセンターポーンが自陣を守っている間にマイナーピース(ナイトやビショップ)を展開する時間を稼ぐという考え方です。今回ご覧いただいた対局例でも黒はマイナーピースをほとんど活用できていません。それもこれも序盤でセンターのポーンをうまく使えていないからです。
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