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折々のチェスのレシピ(617)少しだけ高度な知識をあなたに

少し前に駒の働きということについて書きました。今回はたぶんもっとよく視認できる局面から見てみます。

第1図

駒の損得で言えばまったく互角です。お互いにキャスリングをしている点でも同じです。ということは、唯一の違いは、駒組み=駒の働きに帰着します。

黒は上の局面でほぼただ一つの正解しかありません。ナイトを移動させるがその正解です。それ以外の手を指してしまうと、

これでほぼ勝負が決まってしまいます。

第1図で黒は、有意な働きをしている、あるいはこれからしてくれるであろう駒がほぼ皆無です。クイーンは相手に脅威を与えるというよりは辺境に追いやられており、ビショップは自分のポーンに効き筋を遮られ、ナイトは守り駒にもなっておらず、といった具合です。

駒の損得よりも、駒の働きのほうが、しばしば勝負の行方に直結するというもうひとつの例でした。


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