チェスのレシピ(99) チェスでまずスコア1000点超えを目指す人のために
クイーンズ・ギャンビットから中央で駒をいくつか取り合った後の黒の一手が次でした。
よくある何気ない一手に見えるかもしれませんが、大悪手です。少し経験のあるプレイヤー(白)であれば勝ちを確信します。まだ数手しか進んでいないのに?と思われるかもしれません。しかし、ほぼ詰み(メイト)まで読める局面です。
この手で黒は駒損が確定しました。
もちろんビショップを取ります。
ここからは数手ずつ局面を進めていきます。
黒にはもう受けがない状態です。数手ずつ進めているのでよくわからなかったかもしれませんが、あっという間に決まってしまったことをここでは理解してください。
第1図の局面でなぜ勝ちを確信できるかというと、「チェスのレシピ」で何回か触れているパターン認識のせいです。この局面は今後こう展開すれば白が勝ちになることを経験から認識しているのです。
同じ戦略(この例はクイーンズ・ギャンビット)を数百局経験して初めて身につくのがパターン認識なので飽きずに同じ定跡を繰り返すことにもちゃんとした意義があります。
数百局というのは多すぎると感じるかもしれませんが、駒の配置がひとマス違うだけでまったく別の展開になることもあるのでこればかりは数をこなすしかありません。旧ソ連時代、チェスのエリートを育てるために行なった教育のひとつが、このパターン認識だったことはよく知られています。