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折々のチェスのレシピ(73)
スコアが上がってくると、序盤中盤で駒を捌き合うことが多くなります。今回の例もそうです。
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chess.comで1500点台と1600点台のプレイヤーのゲームです。さて、どちらが優位でしょうか? 駒の損得はなく、あるのは駒組みの差だけです。白は、aファイルのポーンをプロモーションできると見て、1マス進めてきました。
そのポーンをプロモーションするために白はあと4手必要です。その間に黒はfファイルのポーンを進めることができます。
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白がまたポーンを進めてきたとします。その間に黒は、
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ここまでfファイルのポーンを進めることができます。クイーンを取られてはいけない白はf2などにクイーンを逃すと思いますが、黒はナイトを一旦f6に引いて、次にg4を見せるような手があり、白が勝つ手順は残されていません。
ということで、エンドゲームは計算さえきちんとすれば、自分が勝つか相手が勝つかはっきりわかってしまいます(これ以外の展開も当然ありますが、黒は必ずドローにはできます)。
では、白がどこで間違ってしまったのか、考えてみます。おそらく、
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中盤のこの手が緩手です。敗着とまでは言えませんが、形勢不利と見て黒のクイーンに間接的にクイーンを当てていったと思います。しかし、次に黒からはBc6があり、そこから白が立て直すのは結構厳しいです。