同じプロの将棋における実力の差は主導権をめぐるやり取りにおいて
金子金五郎には名言・名分析・名解説が多いのだが、例えば、
将棋は一手指した側の形勢がよくなる。これが双方の間において交互に繰り返される。
それが延々に続くと勝負が決まらない。つまり千日手模様になるが、
その主導権のゆずり方がまずいと傾斜してしまう。同じプロの将棋における実力の差は主導権をめぐるやり取りにおいてもっともよく現れるものである。
として、升田幸三九段対丸田祐三八段戦における升田の珍しいひねり飛車(当時はまだ2戦ほどしか指していなかった)の解説に進む。(「近代将棋」昭和45年4月号)