チェスのレシピ(33) チェスでまずスコア1000点超えを目指す人のために
ちょうどいい例なので、前回の最初の局面から始めます。
黒の意図を推測してみましょう。
推測するまでもなく、黒は白がキャスリングしたサイドを直接的に攻めようというものです。
しかし、この局面において、クイーンとビショップだけで攻めても詰み(メイト)までいくことはありません。
黒はふたつのナイトが初形のままです(手が進んでいません)。一方、白はほぼすべての駒を活用しています。白はもし黒がcxb5としてきたら同ビショップ(チェック)とした後に、Nd5と楽しみな手もあります(白からbxc6もあり得ます)。また、黒はe7のビショップをこのラインから外してしまうと、白からNh4などの手が飛んでくるのでこれもまた自分の手を制約してしまっています。さらに悪いことに、黒はクイーンの活動域を自ら狭めています。
よって白は(ルークを取られるとしても)差し迫った脅威を受けることなく今後の指し手を進めることが可能です。(ルークを取られても評価値が上がることについては前回をお読み下さい)
黒でも白でも一直線(それだけ)の詰めを狙う手は、まずうまくいかないです。むしろ、重要な駒をただそのためだけに配置していることになり、自らを縛っていることになってしまいます。
中盤の入り口ぐらいまでは自分の駒の働きを拡大する指し回しが有効です。例えば、白であれば、f1のビショップをe2にひとつ上げるだけでそのビショップが効くマスが格段に増加しますよね。