折々のチェスのレシピ(479)少しだけ高度な知識をあなたに
嘘みたいな本当の対局です。
黒が勝つことは(ほぼ)100%確定しています。ただし、黒は実質的に一手詰めの局面になっています。ということは、ここで受けの手を指す必要があります。でも、もう勝ちを認識している黒は攻めにばかり意識がいっているのでしょう。
そうなるともう説明の必要はなく、
いくらチェスが逆転の多いゲームだとはいえ、ここまで作って黒が負けることはかなり稀です。でも、勝ち急ぐと自分のキングが寄せ筋に入っていることに気づかなかったりもします。
黒は「もうどんなに白が足掻いても自分の勝ちだ」と思ったり(実際にそうなのですが)、あるいはもしかしたら「なぜ白は投了しないのだろう?」などと考えているかもしれません。しかし、「家に帰るまでが遠足」ではないですが、自分のキングをちゃんと守って勝ち切るのがチェスなので最後まで油断ができません。
今回の例は全然高度な知識ではありませんが、勝勢になってから最短手数で寄せ切るのは案外と難しく、それは自キングの安全の確保と効果的な攻めを組み合わせて初めて可能になることであって、それなりに修行が必要だったりします。