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折々のチェスのレシピ(503)少しだけ高度な知識をあなたに

ダニッシュ・ギャンビットを指している人、あるいはこれから本格的に指してみようという人にとって、大いなる疑問があるかと思います。それは、「f7を狙っているのであれば、どうせなら早くにサクリファイスできないのだろうか?」という問いです。

結論からいうとほぼどれも無理筋です。しかし、下の局面になった場合には可能性がないわけではありません。

第1図

ということで、やってみます。

これを取ってくる前提です(サクリファイスですので)。

次の手がポイントです。

第4図

ほとんどのプレイヤーがナイトを逃すことを考えます。逃すとしたら引くしかないので、よりマシなほうに逃げます。

黒がナイトを逃した後に、

Qh5として、

ポーンで合駒をしてくるでしょうからもう一度チェックを掛けます。形勢自体はほぼ互角です。ただ、黒の手がまったく進んでいないのに加えて、キャスリングが不可能になっているため、黒はここからかなり上手く指し回さないとすぐに形勢を損ねます。

という具合に早い段階でサクリファイスをしても勝ちを望める手筋はあるといえばあります。

しかし懸案がひとつあります。第4図で、

第8図

こうされた場合です。ここから白は黒が適切に指すとしばらく受け一辺倒になることを強いられます。しかも形勢は黒がだいぶいいです。

つまり、第1図でのサクリファイスはあくまでも相手のミスを前提にしています。とはいえ、第4図で間違うプレイヤーは多いです。さて、この手筋をやってみるか否か?

ここから黒が最善手や次善手をきっちり指してきたら白に勝ち目はありませんが、上の局面からはまた黒が間違えやすい状況が続きます。第4図で間違えなく指すプレイヤーが少ないことに加え、第8図以降を間違えなく指すプレイヤーはさらに減少します。ということは、相手次第では採用できる手筋だとも言えるかもしれません。元々ダニッシュ・ギャンビットは少々形勢を悪くしても相手のミスによって挽回するというやや特殊な戦法です。だったらこの手筋もありなのではないか?と思ってもし指してみたいという人は、第8図以降をしっかり研究しておいてください。Good luck!





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