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折々のチェスのレシピ(319)キャスリング考
前回まで何十回かにわたって序盤で指してはいけない手をご紹介してきましたが、キャスリングに関してはあまり触れずにきました。というのは、キャスリングはそれ独自で検討が必要なほどなかなか難しい課題だからです。
多くのチェスの入門書の類では、キャスリングは早めに行いキングの安全性を高めるべきであるという説明がなされていることが多いです。しかし、無意味な、いや無意味ならまだしも、危険なキャスリングを漫然としてしまう人は多く存在します。
キャスリングをしないとキングが流れ弾に当たる確率はたしかに高く、それを避けるためだけでもキャスリングをする価値があると一応は言えます。しかしながら、キングの位置を決めてしまうことで相手に攻めの目安(ターゲット)を与えてしまうことにもなります。
そもそもキャスリングを考えるに当たっては、
1、キャスリングを行う
1.5、キャスリングを行うならどちらにするか
1.5、キャスリングを行うならどのタイミングか
2、キャスリングを行わない
2.5、キャスリングを行わない場合キングをいかに守るか
など、最低でも上の選択肢を念頭に他の駒の動きと相手の駒組みに応じて適切に判断しなければならず、考え始めるとそれ(キャスリング)だけで一生が終わりそうです。
初回ですので理想的なキャスリングの例をひとつご紹介します。
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こうされると黒はいきなりクイーンがルークの筋に入ってしまいます。ここで黒がキャスリングをしたとしても、次に白からはQh5などという継続手があり、手が自然と続きます。単にキングを守るためだけでなく、こうした攻撃的なキャスリングを実現できれば、形勢は自ずと有利になっていきます。