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折々のチェスのレシピ(402)少しだけ高度な知識をあなたに
わかりやすい例から行きます。
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黒がクイーンでb2のポーンを取った局面です。黒としてはタダで取れるから取っておけというだけの考えだったかもしれませんが、白としてはどうぞぜひ取ってくださいという駒です。
白は、狭いところに迷い込んできた黒のクイーンを捕獲できればそれに越したことはありませんが、それはどちらかというと二の次で、足の遅いポーンを取ってくれたことで、黒の陣地にルークの効きが通りやすくなり、とてもありがたいのです。
単に駒を取ることがイコール駒得でないことがこの例からはよくわかります。
では、逆に、
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この局面で白は駒を取ることができます。c6のポーンもしくはe5のポーン(アンパッサン)です。まずc6のポーンを取ってみます。
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クイーンで取り返してきた場合、白は、
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手を進めることができます。
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ポーンで取り返してきても、同じです。
よって、白にとってc6のポーンは取りがいのある駒であると言えます。
では、アンパッサンした時はどうでしょうか。
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次にBh5からの攻めがあるのでこれはこれで悪いとは言えませんが、その後少し進むとやや手詰まりになってしまいます。例えば、
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こんな局面になって相手に少し手を進ませた感がなきにしもあらずです。
低い陣形を取ってくる相手に対しては、どこかの局面で前線にいるポーンを捌いていくという手が必要になる場合が多いです。そのようにして相手の守りを剥がしていかないと、攻め筋がなかなかできません。相手のポーンを剥がすのにマイナーピース(ナイトやビショップ)を使ってしまっては、ほとんどの場合には相手を利することになってしまうため、ポーンで捌ける時は自分が得をする形で捌いていくのが基本です。
第2図以降の展開については、ソフトやAIで評価させるとどれもほぼ評価値が変わらないのではないかと思います。ただ、アンパッサンした後の進行は実戦的には白がやや指しにくいと感じられます。白が指しにくいと感じるのであれば、黒は後手ながらやれると感じていてもおかしくないため、こうした心理面での優劣評価も対人のチェスでは勝敗を分けてしまうことがあったりします。