女々しくなれる時間のありがたさ
先週末、私と同じように5歳年下の彼を亡くすという経験を持つ友人と久しぶりに飲んだ。
彼女とは不思議な巡り合わせで、なんだかいろんな事がシンクロしている。
先月、愛車が動かなくなった時の話しをしたら、彼女の車も動かなくなっていたそうで、ビックリ!
そんな彼女と会って、お酒が進めば、どうしてもお互いの過去の話になる。
どんなに頭で理解している事でも、どんだけ時間が経とうとも、心は常に揺れる。
そんなしょうもなく揺れる気持ちを吐露できる存在なんて、そうそういるもんじゃない。
だって、同じ経験をしていない人だと、想像で一生懸命理解してくれようとする。
その努力、気遣いが申し訳なくて、あまり言えずに消化不良になる。
どんなに優しい言葉をかけてくれようと、「違うんだよな〜」と感じてしまう。
だから、素直な気持ちを出せない。
でも、彼女だと、「うんうん。うんうん」って頷いてくれるだけで、めゃくちゃ癒される。
下手な慰めなんかない、ただただ深い深い共感。
だから遠慮なく女々しくなれる。
女々しくなれる時間って、こんなにありがたいものだとは思わなかった。
お互いに40代の時に彼とたくさんいろんな思い出を作ったから、40代が一番青春だったね〜!と話しながら、夜の横須賀ドブ板通りを、肩を組みそうな勢いで歩いて、汐入のスナックへ。
80代の元歌手だったマスターの、シニア世代が集う昭和なスナックで、80年代や90年代の歌を歌いまくった。
誰かが『悲しい色やねん』を、♪アンタあたしの青春やった〜♪と歌えば、
「そやねん!青春やったんや〜!」と2人でエセ大阪弁で合いの手を入れる。
そして、70代の白髪の上品な女性が歌う、MISIAの『アイノカタチ』に泣かされた。
家に帰って、YouTubeでMISIAの歌を聞いても、なんにも感じなかったけど、その時の、掠れて高音が出ない『アイノカタチ』が、めちゃくちゃ心に沁みた。
♪あのね 大好きだよ♪
たまらんかった。
歌って、上手ければ心を打つとは限らない。
正直そんなにうまくなかったけど、トツトツと歌うあの感じが、やたらと感動的だった。
今月、高校時代の同窓会を開催するにあたって、クラス幹事&司会の私は、慌しい日々を送っている。
還暦同窓会がコロナ禍で流れ、9年ぶり、そして100周年の昨年に完校になった為、エモい演出を準備したりしていて、懐かしさはいっぱいあるけど、私の青春は、間違いなく40代だった。
全く違う場所で生きていた彼女だけど、そういう意味では、まるで同窓生のようなもの。
昭和なスナックで、一緒に女々しく歌える時間が、本当にありがたかった。