優しい気持ちは魔法の力
日本では1位になり、香港・シンガポール・台湾・ブラジル・フィンランドなど世界10の国と地域でTOP10入りして、世界でも人気のNetflixの男性同士の恋愛リアリティーショー『ボーイフレンド』には、優しさに満ちた言葉が溢れている。
例えば…
「相手が傷ついてるかもって思ったときは、正論はあとでもいいから」
これは、恋愛に発展しそうなダイとシュン2人の小さな喧嘩の相談を受けた、韓国人のテホンが言った言葉。
自分の言い分が正しいと思っている。
でも、相手は明らかに傷ついている。
だったらまず、傷ついている相手の話しを聞いてあげるのが先じゃない?
そして2人は感情を抑えてゆっくり語り合い、お互いの思いや考え方に寄り添っていく。
喧嘩をしても、自分が正しいを押し通すのじゃなく、そして相手を責めるのではなく、少しずつ違う思考の糸を解いて歩み寄るって、本当に大事な事だな〜と、この年になっても学びになった。
シュンというのは、一番女子っぽい思考をしがちで、ダイを何度も振り回している。
彼を見ていると、「こういうとこが女子の嫌なとこだよな〜」と、自戒を込めて思わされる。
それに対してダイは、傷つくことが怖いから恋愛をしてこなかったし、恋愛をしなくても大丈夫を装ってきたけど、一歩踏み出して、いくら傷ついてもいいから、自分の気持ちに正直にいようと覚悟を決めて出演しているから、シュンに振り回されて傷ついても、最後まで自分の気持ちを貫く姿が感動を呼ぶ。
世の中、正論がまかり通れば誰も苦労しない。
でも、正論って何を基準にしての?
マジョリティの正論は、往々にしてマイノリティを傷つける。
セクシャル・マイノリティの彼らは、マジョリティの中で何度も傷ついてきたから、人の傷みに敏感で、だから画面から優しい言葉が溢れている。
「自我を出すって、わがまま言うことじゃなくて。『こういうことが我々は必要です、こういうことを求めてます』って、言ってあげないと社会は変わらない」
マイノリティとして世の中を生きる上で、自分を殺さずに、ちゃんと自我を出していくことが大事だけど、マジョリティの世の中の人達がちゃんとわかるように丁寧に、自分達の思いや求めている事を伝えていく事が、自我を出すってことだよねと、テホンは言う。
NHK朝ドラ『虎に翼』の寅子のお兄ちゃんの言葉でも出てくるけど、
思っていることは口に出した方がいい。
うまく説明できなくても、うまく伝わらなくても、諦めないで、ゆっくり少しずつでも言葉にしていくことは、本当に大事だ。
「言わなくても理解して」は、反則技だと、つくづく思う。
いっぱいやってきたから、余計にそう思う。
この『ボーイフレンド』のプロデューサーは、自身もセクシャル・マイノリティのモデルでインフルエンサーでもあるTaikiさん。
彼がキャスティングした9人の登場人物は、本当にそれぞれ職種も違えば、年齢も個性も様々。
だけど、本当に優しい。
誰も声を荒げたりしない。
美しい映像の中で、常にトツトツと語る雰囲気が、心底心地よい。
この番組がこれほど人気なのは、たぶん見ている皆が、ちょっとずつ世の中に疲弊しているからかもしれない。
たぶん皆、論破オヤジや、正論オバサンたちに疲れているんだよね。
もはや論破は暴力だとさえ思う。
だから、ふだんは恋愛リアリティショーに興味ない人も、口コミでどんどんハマっていく。
恋愛以前に、人としてのあり方、人間関係においての距離感など、めっちゃ学びがある。
そして、アイドルグループかと思うくらいイケメン揃いで、眼福です♡
私の推しのカズトは、誰もが惚れこむ爽やかイケメンでモテまくり。
でも、全員が自分に好意があると思ったら、誰にも本心を打ち明けられず、共同生活の中で孤独感にさいなまれ疲弊していく。
モテるって、良いことばかりじゃない。
大多数にモテるよりも、お互いを思い合えるたった1人のパートナーに出会えることの方が、断然価値があるって、改めて思わせてくれる人でした。
最後に、登場人物の中で太陽のような存在だったアランの言葉で締めます。
優しい気持ちって魔法の力だから。
最後までお読みくださりありがとうございます♡