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vol.14 噛むことと姿勢はセットで整える。

この15年、トレーナーとして活動して来た今、身体は全体を通して見ていかないといけないということを、私自身、改めて考えさせられています。

運動療法は、骨、関節、靭帯、軟骨、筋肉で考えられることが多いです。しかも、運動療法は、日常生活動作(ADL)*や、スポーツ動作に関連する関節(肘、膝、肩、腰)などのよく使う関節に焦点が行きがちです。実際、そのようなレベルで快復することもできますし、問題はありません。
*日常生活動作(ADL)とは、起居動作・移乗・移動・食事・更衣・排泄・入浴・整容といった、日常生活を送るために最低限必要な日常的な動作のこと。

ですが、私たちは、いろんな「連動性」の中で動いています。例えば、筋肉を動かすには、脳から運動プログラムを作成して指令しないといけません。脳からの連絡の通り道として神経があり、そこには、栄養素など様々なものが深く関わってきます。

もっと簡単な例を挙げましょう。今、あなたが右腕を横から上げようとしているとしましょう。その時には三角筋(肩を覆うように腕の付け根に盛り上がってついている筋肉群)が主に使われます。しかし、それだけでは腕は上がりません。右腕の重さが右側に上がっていくと身体の右側に重心が移動していきます。その重心の移動に対して均衡を保つために、左の腰の筋肉が働きます。左側の腰の筋肉に手を当てながら右腕を挙げてみると左腰の筋肉が固くなるのがよく実感できると思いますので、よろしければ試してみてください。

このように、動きは、連動してはじめて完成します。

姿勢が良くない人は、左右前後に色んな体のパーツがズレて配置されています。偏頭痛や肩こりがなかなか改善しない人は、肩甲骨の高さや脊柱の歪みがあります。その一番上に配置されている「頭」はほとんどのトレーナーやセラピストは「頭を1つの塊」として捉えます。

しかし、頭蓋骨には諸説ありますが、23個の骨があります。ということは、それだけ関節が存在するということ。そして、その一部として、1日600回咀嚼で使う顎の関節があります。600回も使うその関節には、膝と同じような関節円板が存在しており、それを動かすための筋肉もあります。膝のように、関節を構成する骨と骨の面の形状が合致していない適合性の悪い関節に関節円板があります。


そんな適合性の悪い不安定な関節が、姿勢の歪みによって更に前後左右にズレた状態で、毎日毎日噛むという動作を繰り返していたら、果たして、どうなるでしょうか?

片側の筋肉ばかり緊張して固くなる。固くなれば緊張が高まり食いしばり等が癖になったりします。噛み癖が左右に現れれば、片側の歯がすり減ったりします。その他色々な弊害が歯、歯茎、顎、頭部へと波及していきます。

姿勢が悪くて噛み方などが変化する。そこからは噛み方のアンバランスにより、筋や関節の不具合が起きて首や肩に影響が出始める。そうなると、どこを改善すれば、今の症状が良い方向に向かうか探るのは、非常に困難になってきます。

色んな原因が顎の歪みや歯並びにもしも影響しているのなら、矯正するという方法もあります。

ただし、それだけでは、解決策にならない状態にまで、ご自身の状態が既になっているかも知れません。何事も、早く対応すればする程、良くなるのも早い。誤った動作パターン、姿勢を脳が認識して「癖」「当たり前」にしてしまう前に、対応することも可能です。

このように、身体は全体を見ていく必要があると私は認識しています。

私からアプローチ出来るのは姿勢を始めとした身体のことですが、今一度、姿勢をなぜ、正すのか? なぜ、肘をついてご飯を食べるのはいけないのか? ながらご飯は、なぜいけないのか? それらの理由を、全体から考えていくことが、とても大切です。


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