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「Rebirth(仮)」(1)

この文章は書籍化することを目標にして書き始めたものなので、文中で記事について「本書」や「この本」としています。

はじめに

2021年1月、私の兄は29歳でこの世を去りました。

8年前に「急性リンパ性白血病」と診断されてから、4度の再発と移植を経験しました。

本書では、兄が生前に友人や、同じように病気と闘う方たちに向けて書いたブログの内容を軸に、私たち家族がどの様に兄と、兄の病気に向き合ってきたかを綴っています。

ブログは再々発後の2017年8月から始まっており、初発と再発時の出来事は、ブログ開始以降、治療をしながら回顧として記したものです。

私がブログを初めて見たのは兄が亡くなってからのことですが、そこには病気の苦しさ、悔しさや葛藤が綴られていると同時に、周りの方々への感謝や、生きていることの素晴らしさ、未来に対する希望が綴られていました。

苦しい治療や、繰り返される再発という厳しい状況にありながら、何故ここまで頑張れるのかと兄を見て思うことがありましたが、その答えをブログの中に見た気がします。
健康であっても、病気であっても、生きていく上で大切なことは変わらないのだと、兄の生き方やブログから私自身学ぶことができました。

生前兄は、「自分は周りに助けられて生きている。病気を治したら、社会に出て働いて、自分が受けた恩を社会に返していきたい」と言っていました。
「自分と同じように、若くして癌になってしまった人たちや、小児がんを発病してしまった子たちの希望になれるように、医学の進歩に繋がる場所に、自分が稼いだお金を寄付したい」と。

主治医から、白血病の再発を抑えることはできないと言われていましたが、少し先の未来に、もしかしたら新しい薬や治療法が出てくるかもしれない、という望みに賭けて、兄は希望を持ち続けることができたのだと思います。

兄の意思を受け継いで、この本で得た利益を今後の医学の進歩に繋がる場所へ寄付します。
そしてこの本が、今懸命に生きるすべての方にとって、僅かであっても、未来を信じて進んでいく一助となることを切に願っています。

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#白血病 #急性リンパ性白血病 #AYA世代 #闘病記

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