旅の思い出〜タイ旅行〜大学生の夏休み
「ねえ、なんか道違くない?」と仁美が言った。夕食を食べて少しウトウトしていた私は、ぼんやりとした頭のまま、窓の外を眺める。たしかに昨日、一昨日通った道とは違う気もするが、ここはタイ。異国の地なので違って見えているのかもしれない。
ガイドブックを指差しながら「やっぱり違うよ!」と仁美が語気を強める。寝ぼけた頭を起こして地図を見ると、なるほど、ホテルとは逆方向へ向かっているようだ。「そうだね、間違ってる」と頷くと、「やっぱり!」と仁美の顔が強張り、タクシーの運転手に「Hey!ど