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米油100%石鹸作ったメモ [ホットプロセス、だいたい失敗か実験録]
米油(米ぬか油、ライスブランオイル)は安い。スーパーで売っているような食用を使えば、オリーブオイルよりもはるかに安い。
そして、夏の気温なら水で希釈して液体せっけんに出来て便利。
(カリウム石鹸は作るの面倒&高額なので、ナトリウム石鹸で液体に出来ると最高。こめ油ならもしかしたら春秋でも液体に出来るかも、試してない)
なので石鹸材料としては積極的に使って行きたい。
100%石鹸を作っておけば、石鹸1個分ずつ(レンジ)リバッチで作れて、毎回オイル組成や水分量、追加投入のスーパーファットやハーブ、色、香りを変えて遊べるので楽しいのだ。
記録1:爆速トレース&全然鹸化しない事故石鹸が出来た
レシピは普通。いたって普通。
市販の食用米油:570g
水:水分量30%の量
苛性ソーダ:鹸化率100%の量
作り方も普通のはず。
米油を計量し、30秒レンジで温める
米油は元々室温(4月)だった。
レンジ後手でカップ上部を触った感じ、手よりまだ冷たい?程度
苛性ソーダと水を計量し、水に苛性ソーダを投入、混ぜて溶かす
普通に高温、容器を直接触るのちょっと辛い程度の高温になる
米油に苛性ソーダ水溶液を投入
ブレンダーで5秒ずつ、合計15秒ほど攪拌。米油はトレース早いので慎重に。
トレースが出たら型に流し込み、そのままホットプロセス
ラップして熱湯を張った炊飯器で保温。
3‐4時間経ったら、炊飯器から出して自然冷却して固める
爆速トレースと出来た失敗作
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慌てて型に詰め込むが、、なんかナニコレ状態
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そしてかなり柔らかい。
pHは高い高いアルカリ、、、ダメだこりゃ
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上段二つが再ホットプロセスで処理、Phは8-9になった。
下段は加熱後に単なる保温で処理、結局Phは10超え。このまま1か月寝かせるCPコースへ
再ホットプロセスしてpHが落ち着いた上段2つは、すぐに普通に石鹸として使って問題なかった。柔らかいけど、、
ちなみに最初に使った型はキャンドル用の幅7㎝・高さ10cmのもので、レンジリバッチで1-2個分作る時は吹きこぼれにくくて重宝する。ホットプロセスで型いっぱい作ると、型出しにナイフ入れないとダメでちょっとめんどいのと、炊飯器では容量一杯詰めると背が高すぎて湯煎漬かりきらないのでお勧めしない。
米油100%石鹸で失敗した反省と今後に向けて
さらっと成功していた前回と何が違ったのか
米油100%石鹸は今までも作っていて、特に何も問題は起きていなかったのに、なぜ今回に限って。前回との違いを整理してみた
$$
\begin{array}{l|l|l} \textbf{} & \textbf{前回(成功)} & \textbf{今回(事故)} \\ \hline 季節 & 12月 & 4月 \\
オイル温度 &室温 &レンチン30秒 \\
バッチサイズ & オイル200g & オイル570g \\
オイル & ライフのビオラル & 日清こめ油\\
型 & 四角柱 & 六角柱\\
&W7㎝*D7cm*H7cm & W7cm*D7cm*H10cm\\
保温中・直後の様子 &かなりジェルってた & まだら。ごく一部透明になってはいた\\
冷めた直後のpH &pH8くらい & pH11くらい?\\
同じく色 &ほぼ白に近い均一な普通の石鹸 & 白から黄色・不透明と透明のまだら\\
\end {array}
$$
下記は全部共通
ディスカウント0%、水分量30%
水は出したて水道水
ブレンダーで5秒×3回攪拌
炊飯器保温のホットプロセス、熱湯注いで4時間保温
オイルか温度の問題ぽい、、次はライフの米油で極力低温スタートにしてみる
事故直後はオイルの違い(脂肪酸組成比やその他成分の違い)かと思ってたが、改めて整理すると、温度の問題にも見える。
そういえば、以前ひまし油100%石鹸作ろうとしてオイル少しあっためて反応開始したら噴火したことあったっけ、、、あの時は噴火しただけで、出来た石鹸のpHは普通だった。
ホットプロセスでも反応前・反応中オイルの温度は極力低めを心がけると良いと言う事か?
検証するなら、次は、事故らなかった方のライフの米油で、570gバッチ・室温より少し高めで作って様子を見ればいい。
が、失敗前提で作るのはオイルが勿体ないから、普通に室温か室温より低め意識して成功する方向で作ってみる。
100%米油石鹸はヌルヌル→キュキュっとする
使い心地も記録しておく。
風呂場で使っている瞬間は、表面がヌルヌル、なんなら糸引いたりして、オリーブオイル100%の石鹸とよく似ている
泡立ちもオリーブオイル100%石鹸と同じく、あんまり泡立たない。
ココナッツオイル石鹸10%くらいブレンドしたら泡立ちは改善
洗った後は、噂通り、キュキュッとしてる。
ただし洗浄力はかなり弱めに感じた。
自分の洗顔に使うと、翌朝の顔がコメド取り切れてない感じになる。ステアリン酸多めのキッツい洗浄力の石鹸で絶好調の顔だからしょうがない。
家族は大体乾燥肌なので、家族用にするとよさそう
記録2:成功。水分量減らすと硬く詰まった良い感じの仕上がり
水分量20%のレシピ
米油570g ライフのビオメル
水 オイルの20%
苛性ソーダ 鹸化率100%
作り方は低温意識。高濃度苛性ソーダはちょと怖い
オイルは室温(5月)のまま
苛性ソーダは溶かしながら室温の水でとにかく冷却。
これだけ水が少ないと激しく発熱。沸騰しそうな温度になるのを冷やしまくる。
室温のオイルと苛性ソーダ水溶液を合わせ、おそるおそる手で混ぜた後、ブレンダーで攪拌。
普通にトレースしたので型に流し、いつも通り熱湯を注いだ炊飯器で4時間保温。
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事故石鹸を避けるには、温度とオイルと水分量もポイントなのか、、?
前回との違いが多いので確定とまでは言えないが、、
レシピや作り方の違い
温度は若干低い
水分量は10ポイントも低い
オイルは日清ではなくライフ
結果の違い
トレース前はなぜかオレンジ色に
トレースしても、プリン状ほどに硬くはならなかった。普通の硬さ。
冷却後は真っ白、ムラなし。黄色さはほとんどない。
ギュッと詰まって硬い仕上がり。キメも細かい。市販の塩析石鹸とまでは言わないが、手作り石鹸とは思えない良い感じ。どうせリバッチしたり液体石鹸にしたりなのできめ細かいのは意味無いのが惜しい。
考察がしにくいと分かってて敢えて水分量を減らしたのは、米油やオリーブオイルはリバッチした後でも石鹸が少し柔らかくて、もうちょい硬くならないかと思っていたから。
あと、水分量が少ない方が理論的には鹸化反応は均一に確実に進むので、ムラが出るリスクを抑えられるのではと思ったのもある。
ちなみに理論上は15%まで水分量は落とせるが、水が少なすぎるとリバッチ時にレンジ加熱したら溶けずに膨らんで硬くなりかねないのと、限界濃度の苛性ソーダ水溶液作るのに日和ったから。溶けきらなくて焦って混ぜて溢す自分の姿が見えた。
膨らむ石鹸、こーいうの。水分量が少ない石鹸はレンジにかけたら膨らむ。粉石鹸作る時は便利。
ちなみに、20%水分の米油の石鹸は見栄えは良いが、レンジリバッチだと溶けるか溶けずに膨らむか、、のギリギリで扱いにくい。液体石鹸にすることがほぼなので問題ないが、レンジリバッチにする時は水を足したほうが良い。
これで、米油の石鹸を安定して作る方法はだいたい見えた気がする。
とはいえ、なぜトレース前はオレンジになったのか??は宿題になっちゃったな。
記録3:と思ったらまた繰り返して事故石鹸爆誕
米油ではなくオリーブオイルだが、事故を忘れてまたやらかした。
レシピと作り方は高熱トレースで水分30%
レシピ
オリーブオイル 650g
オレンジフラワーのオリーブオイル(石鹸用)
水 30%
苛性ソーダ 鹸化率100%
作り方
季節は2月。
オリーブオイルをレンジにかけて、40℃くらいまで温める
苛性ソーダは室温の水で冷ました
オイルと苛性ソーダを合わせて、5分ほどブレンダーで撹拌。量が多いのでヘッドの小さいブレンダーでも均一に撹拌するため、上下に動かしながら
トレースしたので三つの型に入れる
トレース時点で多分60℃くらい
残り三分の一程入れたところで、カスタードクリーム状になっている
炊飯器の湯煎に放り込んで4時間保温後、取り出して常温で冷却
見事にまだらになった!!
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白くなってない部分は、いつか見たさつまいもスイーツのような若干透明がかった黄色。
pHはギリギリ10。ダメでは無い。ダメでは無いが、普段は9もいかないから、これは失敗だよなぁ、、
切ってみたところ硬めの羊羹くらいに柔らかい。手で握り潰せるかも。
原因をchat GPTに問い詰めると、
高温で撹拌スタートしたため、反応熱と合わさって急激に鹸化の進む50℃を超えてしまった
急速に鹸化が進んでいる時に撹拌を止めると、局所的にめっちゃ鹸化が進む箇所ができて、そこが白くなる
水分量が多いほどこの事象は起きやすい
半透明(半ジェル化)で糸引くくらいまで撹拌を続けてから型入れすべきだった
とのこと。ただしchat GPTは割と高頻度で嘘つくので、どこまでほんとか怪しい。根拠となる情報は出してくれなかったので尚更。
ともあれオリーブオイル石鹸も今まで失敗した事がなかったので考察の余地がありそうだ。
と言っても成功した時の条件を記録していないという。どうだったっけ。
失敗原因は、、オイル??(米油の失敗も踏まえて)
高温での撹拌スタート
これは以前の成功時もやってて不思議では無い
水分量30%と高め
しかし以前成功した時も30%だった気がする
オイルが石鹸用
以前は市販の食用オリーブオイル、なんならトレースしにくくて失敗しやすいと言われるエクストラバージン
やっぱりオイルの問題のような気がしてならない。成功時はトレースしにくいオイルだったから高温・水分量多めでもトレース急加速・鹸化にムラが出たりしなかったのでは。
今回はトレースしやすいオイルだから素直にトレース・喧嘩しまくってくれた?
ともあれ、回避のためには低温スタート・水分量少なめが良さそう。今度こそ忘れない。多分。