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【理学療法士】 「臨床疫学」を学ぶメリット

大学院で学んだ、疫学と公衆衛生学の知見をもとに、健康的な社会を作りたい理学療法士のジローです。


有難い事に、「理学療法士  ×  公衆衛生学」の記事が好調で、view数がすごいのですが、そういえば、公衆衛生学と両輪である、「疫学」については、あまり触れていなかったので、紹介することにしました。

↓↓  理学療法士と、「みんなの健康を守る学問:公衆衛生学」


私は、大学院(公衆衛生コース)に入学した時に、授業の多くが「疫学」だったので、「いやいや、公衆衛生学がやりたかった訳で、疫学にこんな時間をとられるの?」と思っていました。

疫学という言葉に馴染みがなかったので、「え?感染症対策?」などと思っていました。

疫学の「疫」の字が、疫学への参入障壁を増強させていますよね。)

しかし、疫学をある程度修めた後では、普段の臨床においても、研究活動においても、かなりの武器になりました。

私が、疫学を本格的に勉強し始めたのは、35歳くらいの時(今は40歳)ですが、大学院に入学した時、大学院の恩師が、疫学の最初の授業・第一声で言った言葉が忘れられません。

「疫学が、気になりだしたら30代。」

今まで行ってきた実践・アプローチの振り返りや、
今後の治療効果を更に上げていくための戦略の検討、そしてその効果の評価のためには、疫学の知識は欠かせません。

医療従事者の学び直しの、一つとして「疫学」を加えてみてはいかがでしょうか?


■  臨床疫学とはどのような学問?


患者たちにとって切実な疑問の数々に対し、臨床医学と統計学の知識・技術を総同心して、なるべく正解に近い答えを追い求めようとします。


人のデータを取り扱い、病気や健康の原因となるものを探ります。


曝露と結果の因果関係を明らかにする手法(どうすれば、手元のデータを因果に近づけるのかの方法論)を探究します。


医療の有効性や安全性を科学的に評価する方法を学びます。


■  臨床疫学では何をするの?


多数の患者の診断・治療などに関するデータを統計学的手法を用いて解析します。

解析だけでなく、データの集め方も、とても重要な疫学のメソッドです。

医療などの現場では、主に患者さんの「主観データ」と「客観データ」を同時に取り扱っています

客観データ:誰が見ても同じ
主観データ:聞き手によって(引き出し方)値に差が出る 主観データはバイアスがある

できるだけバイアス(偏り)が混入しないように、調査や解析をデザインします。

↓↓  疫学への参入が躊躇われたら、バイアスの知識だけでも入れておくと良いです


■  臨床疫学の人は具体的に、こんな事を調べています


どのような環境的要因・遺伝的要因が、どの程度の確率で病気の発生や悪化を引き起こすか?

どのような検査の組み合わせが、病気を正しく診断する確率を高めるか?

多くの治療の選択肢がある時、どの治療が有効・安全である確率が高いのか?

重い病気にかかった後、どの程度の確率で、どのくらい長く生きられるのか


■  リハビリテーション医療に重要なの?


この患者さんと、この治療法の当てはまりは適切?

この患者さんの病態を評価するための、妥当性が一番高く、最小の評価バッテリーは?

Aさんで効いた治療がBさんにも効く?

この予後予測の妥当性は?

このような臨床での疑問にぶち当たったことはないでしょうか?
この問題の解決の糸口に、疫学は役に立ちます。

リハビリの専門職だから、リハビリを学ぶのも一つですが、社会医学の方に進んでみるのはいかがでしょうか?

一人でも興味を持っていただければ、幸いです!


↓↓  大学院の受験の後、教授に「もし受かったら、4月までしっかり読み込んでおいて」と言われた1冊。最初の1冊にはちょっと難しいかも。


↓↓  大学院の講師の先生が、疫学教室に研修で来た医学部の学生さんの講義で使用していたのは、この本でした(2021年ごろの話です)。


↓↓  大学院の授業では、この程度の内容が多かったです。先輩方は、原著で読んでいました。私の入学のタイミングで訳本が出たので、私は、もちろんはじめから訳本です(エイゴニガテ)。


↓↓  ついに出た、Modern Epidemiology 4版の訳本。私は、原著を持っていますが、枕になっています。机に伏して寝るには、高さがちょうどいい!
やはり、こんな太い本を、英語で読むのは私には最初から無理だった。

持つのに、血管浮き出てる!
そして、とても状態が綺麗!
全然、読み込めていない事が、丸わかりですね。

今の勉強(東大RWD)が一段落したら、早めに買って、読了しておきたいです。モダンエピ訳本↓

とても、興味深い学問で、私は一生のお付き合いになりそうです。

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