第3回 使える資格と使えない資格
有名な資格から聞いたこともない資格まで、日本には資格がたくさん!
そんな資格大国ニッポンだが、取得した資格を活かせているか…となると疑問符もたくさん!
これから資格を取ろうと考えている方、選び方を間違えると、宝の持ち腐れになりますよ…どうせなら、仕事で活かせる資格を取るべし!
公的資格と民間資格
まず日本の資格は公的資格と民間資格に大きく分けられる。
国家資格をはじめとする公的資格と、各種団体が認定・発行している民間資格である。
主にどんな資格があるか?有名どころはこんな感じ↓
国家資格で一番簡単に取れる普通自動車運転免許をはじめ、いわゆる「士業」と呼ばれる国家資格を中心としたものが公的資格であり、業務知識の基準となる資格や趣味の領域の資格が多いのが民間資格である。
公的資格・民間資格共に、取得する難易度はピンキリであり、仕事上取得必須の資格もあれば、持ってたところで何?な資格まで幅広く存在する。
趣味領域の資格は数・種類共にキリがないので、ここでは「働く上で使える・使えない資格」についてお伝えしたい。
資格が無いと仕事に就けない
この仕事に就きたい!と思っても、資格が無いと就業できない職種が存在する。
医師(歯科医師)・看護師が筆頭である。看護師は随分前から人手不足、総合病院などは勤務医が人手不足であり、資格さえ取ってしまえば絶対に仕事にありつける資格のひとつ。
保育士や介護福祉士については、エリアや施設形態にもよるが、子育て支援員や介護職員初任者研修(以前のヘルパー2級に相当)という資格があれば業界で働くことが可能なため、必ず保有していないと働けないということではない。
ただし、施設が自治体からの補助金を多く受けるために、採用は保育士や介護福祉士を募集条件にしているところが多く、上位資格を保有していた方が就業に有利であるし、どちらも人手不足の業界なので、引く手あまたである。
昔は食いっぱぐれる心配がない、めちゃくちゃ稼げる資格と言われていた弁護士や司法書士も資格取得必須の仕事だが、「年収300万円の弁護士」が出てきているように、今となっては微妙な資格である。
弁護士バッジをつけていれば仕事が来る時代はとうに過ぎ去り、事務所に所属して従業員として働くか、独立して事務所を開設するか__従業員として働けば、並のサラリーマンの給与と変わらず、独立すれば自分で集客を行うという営業スキルが問われてきてしまうのだ。難易度が非常に高く、時間も費用もかけて取得する資格ということを考えると、割に合わない状況に陥っている人も多いだろう。
高い目標を持ち、そこに突き進める人以外にはオススメできない資格と言える。
その他、運転系の仕事(遠方への外勤が多い営業職、トラックドライバー、バス運転手など)は各種運転免許の資格取得が必須である。
大型トラック運転手は物流業界の伸びとともに、多数の人材が必要になっている。また、ドライバーの高齢化が問題になってきており、若手人材の確保が急務。
特に長距離トラックは高給。黙々と一人で働きたい人や、運転や旅行が好きな人は検討しても良いのではないだろうか?
電気工事士やボイラー技士の資格も保有していると、あぶれることが少ない優良資格である。
仕事のスキルの証明をする資格
転職の時、経験者であっても、経験してきた業務スキルを証明できるものが無いとマイナスポイントになる。「資格+経験=この人は間違いない」なのだ。
PCスキルの基準として有名な資格が「マイクロソフトオフィススペシャリスト」その名の通り、Microsoftが認定しているOfficeソフトの資格である。
企業で使用する文書作成ソフトはMicrosoftのOfficeが主流であり、逆にOfficeを導入していない会社があったら引く…といった具合にまで普及しているソフトであるため、事務職や営業職など、資料作成やデータ管理を行う職種の人は持っていた方が良い資格である。
その他、英語を使う仕事であればTOEICや英検、経理の仕事であれば日商簿記2級以上(全商簿記もあるが、主に学生が取得する資格であり、日商簿記より難易度が低くなるため、日商簿記の取得を推奨。)など、実務レベルでこれだけのスキルがありますよ!と証明できる資格については積極的に取得することをオススメしたい。
資格を取ったところで簡単に働けると思うなよ
「未経験でも取れる資格!短期間で資格が取得できて、就職ができる!」系の資格にロクなものはない。
長年そのリーダー格を担ってきた資格が「医療事務資格」である。
キングオブ民間資格というべきこの資格。様々な団体がこぞって認定資格を乱立。病院の採用担当者がどの資格がどのレベルで…など把握しているはずもない。
おそらく病院受付の印象が良いのだろう、日勤で働けるし、制服を着て、小奇麗にして、病院で働くことで世間へのイメージも良好…
実際には、薄給激務、土曜出勤もあるから休みが少ないし、月末月初は残業…という、少なくとも私は働きたくない職種の一つなのだが、相変わらず女性に根強い人気の仕事である。
レセプトは複雑だし、当然内容や計算の流れを知っていた方が良いにきまっているし、その流れを知るという意味では資格取得の意義もあるだろう。しかしこの現代、全て電子化されていることを忘れてはいけない。
医療事務の主な仕事は医療機関が導入しているシステム(レセプトコンピュータ。通称レセコン。)への入力であり、そのシステムが使えるかどうか?なのである。患者数の多い病院は処理速度も求められる。
そのため病院は経験者かつ同じシステムを使ったことがある人を優先して採用する。未経験者を採用し、一から育成しようと考えているところはほぼ無い。(未経験者は新卒がいれば十分)
というわけで、資格を取っても仕事をするまでに至らないのである。
ちなみに総合病院は、医療事務の職員を丸っと派遣委託しているところが増えてきたので、正社員で働くことすら難しい職種になってきている。
派遣についてはコチラ↓
https://note.com/reason_cause/n/nbdc4c77225ad
医療事務資格の化けの皮が剝がれてきたので、調剤事務資格に移り変わっているが、状況としては全く変わらない。
他にもその資格取ったところで…なものは色々あるのだが、書き出したら止まらなくなるので割愛する。
強いて言えば、民間資格の事務系資格や販売系資格は要注意なものが多い。短期間で誰でも容易に取れる資格が多く、実務からは乖離した内容の資格も多い。「資格があるから就業できる」とは程遠いのだ。
仕事ありきで考える
単に知識を広めたいと思っての資格取得と、仕事で活かそうと思っての資格取得は全く異なるものだ。
特に転職を見据えての資格取得を考えている人は、資格を取っても仕事が無いのでは意味が無い。
その資格を取って自己PRのプラスにできるのか?仕事に就くことができそうなのか?ということを十分に考慮してから取得資格を検討することを推奨したい。