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第6回 転職エージェントは使わない方が良いという噂

最近、転職エージェントを経由して応募すると良い結果にならないというツイートや何やらをよく見かける。
転職エージェントを使うと何が悪いのか?使うメリットはゼロなのか?
転職エージェントを使って転職エージェントに転職した現役転職エージェントのぶっちゃけ話。

企業は紹介料に見合った人材が欲しい

転職エージェントを否定する人達はこのせいで…と思われているのだろう。
企業は転職エージェントを介して雇用をした場合に、決して安くはない紹介料を支払う。
企業が紹介料に見合った人材を紹介してほしいと希望するのは至極真っ当な話である。

つまり、見合った人材であれば普通に紹介が可能なのである。
転職エージェントのせいで落とされた(求人を案内されずに応募ができなかった/応募したが見送られた)という人達は、単に見合わなかったというだけなのだ。

しかし一部の人達は「転職エージェント経由は落ちたけど、個人で応募したら採用になった。」と言う。
この一部の人達というのが、応募企業から見たボーダーラインの人達である。
ちょっと見合わないけれど、紹介料が発生しないならまぁいいか。と思える層の人達。

この人達の言い分は一理あるのだが、どちらかというと問題は「批判対象としている利用した転職エージェント」にある。

担当者により異なるサービス提供

転職エージェント最大の問題が、担当者により異なるサービス提供をしているということ。
もちろん、転職エージェント会社全体としての転職支援方針というものはあるのだが、紹介方法としては、担当者個々に任せているのが実情である。
言葉で説明するとニュアンスが伝わりづらいので図解↓

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図解の例は極端ではあるが、同じ転職エージェント会社で、こんなにも担当者毎の紹介スタンスや力量にバラつきが生じているのである。
求職者は登録時に担当を選べない。C氏やD氏のようなアドバイザーが担当に付いたら?…皮肉の一つも言いたくなる。

切り捨ての大手

この担当者の力量の違い、大手の方が顕著であったりする。
私自身、転職活動の際、誰もが知る超大手転職エージェントに登録したことがあり、無料セミナーにも参加した。

先行して無料セミナーに参加したのだが、講師は現役で求職者の担当を受け持っているベテランキャリアコンサルタントだった。
豊富な知識と安心・安定感。こんな担当者がサポートしてくれるなら、きっと良い会社に転職できる!さすが大手の転職エージェント!__と、ワクワクしながら本登録を行った。

今思い返すと、自分が低スペック&高齢(文系短大卒、当時在籍していた会社で3社目、当時の年齢は30代前半)なのが全ての原因ではあるのだが、担当以前にまず「あなたが転職支援を受けられるのは今から3カ月間だけです。」と期限を言い渡された。(ちなみに他の大手転職エージェントは「案内できる求人はありません」と登録すらさせてもらえなかった。)

先制攻撃を受けた後に、担当者と面談。確実に自分より年下であろう担当者。話し方が生意気でそもそも気にいらなかったのだが(笑)お世話になる身なのでそこは我慢。面談後早速求人が多数送られてきた。

が、応募条件がすべて「大卒以上」

もう不安しか感じない。あれだけ上から目線で話しておいて、私の経歴も満足に見ていないのか。
それもこらえて「全て大卒以上の案件のようですが、短大卒の私でも応募可能なのでしょうか?」と尋ねると「確認します」の一言の後、黙って高卒以上が応募条件の求人を送ってきた。

応募希望の打診をしても全てスキルが選考基準に達しないとのことで見送りが続く日々。この担当者は釣り求人ばかりを寄こして何がしたいのか?低スペックなあなたはどこも受からないんですよとでも言いたいのか?
悶々とした気持ちを抱えながら、ようやく1社だけ駒を進められそうな企業に応募できることになった。ここでやっと書類推薦用の履歴書と職務経歴書の準備が始まる。
転職エージェントを利用するメリットの一つが書類添削である。しかしまた驚愕の事態が起きる。

「こんなのは自己PRとは言いません。200文字以内で書き直してください。」

で…書き直し方のアドバイスは………?

………アドバイスは無かった。

何が何でも面接にたどり着きたかった私は、自分で鬼のように自己PRの書き方を調べた。本も1冊購入して読んだ。もはや転職エージェントを利用している意味はそこに存在しない。

この担当者との話、まだまだ尽きないのだが、長くなりすぎるので割愛する。(読みたい人はスキ押してね♪)
ちなみに上記の応募先は自分の努力の甲斐あって書類選考を突破、面接まで進んだが、企業の合否回答保留状態で転職エージェントの利用期限を迎え、結果がわからないまま終焉を迎えた。
大手は潤沢な広告費をかけ、いくらでも求職者を確保できるので、私のような求職者を問答無用で切り捨てて行く。

なので、転職エージェントなんて使うもんじゃない!と叫ぶ人達の気持ちはよくわかる。当時の私も「担当者がクズだったからだ!」と幾度も叫びそうになった。
しかし、捨てる神あれば拾う神あり。私は別の転職エージェントで今の職にありついたのである。
私の低スペックは逆立ちしてもひっくり返らないのに。

粘りの中小

私を見事押し込んだ転職エージェントは、厳密に言うと大手の括りに入るのだが、先の超大手よりは全然小さい規模である。
ここの担当者はいまだに私がお手本としている程、素晴らしい対応をしてくれた。この話は違う機会に別途詳しく書きたいと思う。

私が所属する会社しかり、中小の転職エージェントは大手程の広告費はかけられず、かき集められる求職者の数に限界があるため、低スペックであってもワンチャンありそうなら対応をするのが基本である。
従って、選考基準を満たさず、「この人書類通るわけないよなぁ…」と思っても応募チャレンジするのだ。

大体は書類選考の段階で残念な結果に終わるのだが、書類添削次第では書類選考を通過することが稀にある。

面接まで進めると、転職エージェント側も落としたくないので必死になる。弊社もかなり丁寧な面接対策をしている方だと思うが、提携している他社はもっとすごかった。度肝を抜かれた。
中小転職エージェントは親身さが売りなのである。親身な対応をしてくれたら、落ちたとしても悪く言わないのが人間である。

じゃあ中小転職エージェントばかりを利用したら良いんだ!というわけではない。中小ならではのデメリットもある。
大手に比べると求人数が圧倒的に少ない。時期や求職者のスペックによっては求人が送られてこないことがある。
また、急激に事業を拡大している中小転職エージェントは人手不足に陥って、現場が回っていなかったり、アドバイザーについても慌てて中途採用で未経験者を多数雇用するため、担当者の質が低い(力量不足)であるなど、大手より悲惨な結果に終わることもある。

個人応募の是非

ボーダーライン上の人達が推奨する個人応募。
転職エージェントを介さない求人サイトやハロワ、企業の採用サイトから自分で直接応募する方法である。
メリットは最初に書いた通り、転職エージェント経由では上手く行かなかった企業に採用が決まるかもしれないことである。

個人応募の手段を取るデメリットは大きく2つある。

①選考基準が全く分からないので数を打ちまくる必要がある
転職エージェントには実に細かい選考基準(こういう人なら面接に応じますよの基準)が提示されるが、職安法に思いっきり引っかかる内容であるため、求職者には一切開示されない。
求人サイトやハロワに掲載されている求人内容にも選考基準は一切書いていない。(せいぜい学歴と経験の必要有無くらい)
個人応募で何十件、何百件と応募して、書類の段階で落ち続ける人がいるのはこのためである。

②応募受付を転職エージェント経由に一本化している企業がある
企業が転職エージェントを利用するメリットとして、人事や採用担当者の業務負担の軽減がある。
求職者を絞り込んだ状態で紹介してくれるし、面接の日程調整も転職エージェントが行ってくれるので、転職エージェントを積極的に使っている企業も多くある。
転職エージェント経由の求職者の質が高いと思っている企業は特にその傾向が強く、自社の採用サイトから応募があっても「書類送ってください」で後はスルーなんていうこともある。
転職エージェントにしか求人を出していない企業への応募は、転職エージェントに登録するしか方法が無い。(しかも非公開求人率が高い)

転職エージェントも個人応募もバランスよく利用するのがベスト

転職エージェントはロクでもないと言って使わないのは機会ロスが大きく、個人応募をせずにチャンスを逃すのも損である。
転職エージェントを2~3つ利用すると、自分の転職市場価値が見えてくるので、個人応募をする際も、書類が通りそうな企業の判断が付き、無駄な労力を割かずに済むようになってくる。

どうしても待遇の良い会社に入りたくて、高望みし過ぎの企業へ応募し続ける人も散見されるが、時間と労力の無駄と言い切らせてもらう。最終的に身の丈に合った企業にしか採用されない。
その身の丈の中で、最大限良い会社に入れるようにベストを尽くす必要があるのだ。

ましてや今、コロナ禍で転職の難易度が上がりまくっている最中である。
「使えるものは全て使う」という気持ちで転職活動に臨んでいただきたい。

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