【SSW23:WORKS】独特な感性を生かし、等身大の自分と、フィクションから紡がれる楽曲群
関東を中心に活動しているギター弾き語りシンガーソングライター、綴璃(つづり)なな。抒情的な歌詞と、表現力豊かな歌唱が際立つ、彼女の楽曲群の魅力に迫った。
歌詞に力を入れた曲作り
これまでに5枚のCDとライブ盤をリリースしてきた、綴璃なな。未発表作を含めると、作ってきた楽曲数は50曲を超える。
「曲を作るときは、歌詞を大事にしています。景色とかより、人の気持ちみたいなものを優先で書くことが多いです。元気づけるとか、背中を押すというよりは、そっと寄り添える楽曲を作りたいと思っています」。
実体験から着想を得ることが多い。
「ありのままの自分を歌ったものがほとんどです。でも、歌詞の作り方は、小説に近いですね。1番から2番、大サビと、全部を聴いてもらって意味が繋がるように作るのが好きなんです」。
しかし今後は、違った作風にも挑戦したいと考えている。
「漫画っぽくというか、突飛なワードを使ったりする曲があってもいいかなって。そういう曲があれば、これまで作ってきた曲も引き立つし、逆もしかりですよね」。
所属事務所の関係者は、彼女のクリエイト能力を高く評価している。
「与えられたテーマで曲を書くことで、さらなるイマジネーションが掘り起こされると思う。楽曲提供もそのひとつ。綴璃ななとは全く毛色の違うアーティストのために曲を書いて、歌っている姿を客席で見ることで、目覚めるものがあるはず」。
まだまだ大きなポテンシャルを秘めている彼女が、これからどんな世界を見せていってくれるのか、期待したい。
より多くの人に寄り添う楽曲を届けていきたい
綴璃ななの代表曲は、『東京』だ。「初めて私のライブを聴いてくださった方に、『一番印象に残っている』と言われる頻度が高い曲です」。
2021年ごろに制作した本作は、宮城県気仙沼市から上京し、シンガーソングライターとして高みを目指す彼女自身の思いを、そのまま投影している。
「日記のように、思っていることをノートに箇条書きで出して、歌詞にまとめました。同じように地方から上京してきた方には、共感してもらえる部分が多いかもしれません」。
現実に夢を叶えることの難しさに向き合いつつ、それでも諦めたくないという心情が胸に迫る楽曲である。
等身大の自分をもとにした『東京』とは対照的に、想像の翼をはばたかせた楽曲の一つが『真っ赤なチューリップ』だ。
「マネージャーに『明るい曲を書いてみて』と言われたことが、制作のきっかけでした。実は私、プライベートっていうか、ステージ以外だと明るい性格なんですよ。重ための楽曲が多くて、MCも静かなので、今いち披露する場がないんですが」。
とはいえ本作も、曲調こそ明るいが、ストーカーの女の子の歌である。
綴璃は悪びれた様子もなく「チューリップって、漢字では鬱金香って書くんですよ。おまけに花言葉が、赤は『真実の愛』なのに、白は『失われた愛』なんです。これをテーマにして、なおかつ明るめ、って考えていったら、こうなりました」。
独特な感性から紡がれた楽曲を情感豊かに、朗々と歌い上げる綴璃の姿には、どこか昭和歌謡のような懐かしさも感じる。ぜひ一度聴いてみてほしい。
text:momiji
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