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【R34:STORY】何気ない日常に色をつける・すずめらんたん

Gt.&Vo.Ikuma、Pf.&Vo.Nami、Arr.&Pd.Negaiからなる3人組アコースティック音楽ユニット・すずめらんたん。2022年4月に結成、同年8月27日に1st album『ふたり』をリリースし、24年12月8日には、所沢YTJホールにて初のホールワンマンライブを予定している。彼らが活動を始めた経緯と、今後に描く夢を聞いた。


「誰かと音楽を奏でること」が好きだった

埼玉県出身のGt.&Vo.Ikumaは、幼いころから音楽に触れて育った。

「祖父が音楽関係の仕事をしていたこともあって、家にピアノがあったんです。たまに遊びで弾いていたら、祖母に『ちゃんと習った方がいい』と言われて、小学4年生から2年間くらいピアノ教室に通いました」

ピアノのレッスンは苦痛だった、と振り返る。

「基礎から厳しく叩きこまれて、嫌になってやめてしまいました」

しかし、音楽への興味が失われることはなかった。

「中学校に入ってから、音楽の授業などで、合唱の伴奏を務めました。誰かが歌うのに合わせてピアノを弾くのは楽しかったんです。他にも『大合奏!バンドブラザーズ』っていうDSのゲームで曲を作ってみたり、友達にエレキギターを借りてパワーコードを弾いてみたりしていました」

音楽とともに学生時代を過ごしたIkumaだが、それを仕事にするのは現実的ではない、と考えていた。

「将来のことを考えて、柔道整復師という国家資格をとるための専門学校へ進学しました」

卒業後は、資格を生かして整骨院に就職。一方で、アコースティックギターを弾いたり、友人とゆずのカバーユニットをしたりと、音楽も続けていた。

「働くうちに、『仕事だけの人生は無理だな』という思いが強くなりました。『このまま定年まで働いて、一生が終わってしまうなんて嫌だ』と」

生き甲斐を求めて、本格的な音楽活動を開始した。

「でも僕が作った曲は、キーなどの問題があって、僕自身では歌えなかったんです。僕の想いも大事にしながら歌ってくれる相方が欲しくて、ユニットを組みました」

ユニットとしてライブハウスで演奏していたある日、客としてライブを見に来ていたNamiと知り合った。

東京都出身のPf.&Vo.Namiは、5歳からクラシックピアノを習っていた。

「私も中学生のころは、合唱の伴奏などをしていました。勉強よりは音楽の方が好きだったので、音大附属高校に入って、そのまま大学へ進みました。当時は、ぼんやりと『ピアノの先生になりたいな』と思っていましたね」

ソロでの演奏より、誰かと一緒に演奏をすることに喜びを見出していた。

「大学では、歌の伴奏を勉強しました。ドイツ系の歌曲が多かったかな。私がいて、歌う人がいて、唯一無二のステージが成り立つっていう状況に、やりがいを感じていました」

とはいえ「音楽で生きていこう」と決意を固めていたわけではない。

「ピアノを弾く人も、私より上手い人も、世の中にいっぱいいます。『私がピアノを弾く意味ってなんだろう』と、ずっと考えていました。『私が弾かなくても、世界は何も変わらないじゃない』って。大学2年生くらいまでは、卒業したら普通に就職するつもりでした」

しかし3年生になるころ、「ちゃんと音楽を勉強したい」という思いが芽生えた。

「明確なきっかけはないんですが、生まれて初めて、そういう気持ちになったんです。これを大事にしたかったので、大学院へ進む準備を始めました」

浪人を経て、無事に大学院へ進学。

Ikumaと知り合ったのは、趣味としてライブハウス通っていたことがきっかけだ。

「私は子どものころからクラシック一本でやっていて、ポップスは詳しくありませんでした。大学生になってから、アコギユニットとかを好きになって、ファンとしてライブハウスへ通うようになったんです」

当時、ユニットとして活動していたIkumaは、ピアノでサポート演奏をしてくれる人を探しているところだった。

「偶然、タイミングが合ったので、私がサポートをすることになりました。それから色々あって、Ikumaさんたちのユニットが解散して、私とIkumaさんで新しいユニットを組むことになりました。2019年ごろでしたね」

ポップスの音楽を本格的に弾いたり、歌ったりすることは、Namiにとって初めての経験だった。

「流行っている音楽くらいは知っていたけど、親の影響で、たまに車の中で聴いていた程度です。歌も、大学の試験で必要だったから、少し歌ったことがあるくらいでした。ポップスも歌も、ユニットを組んでから本格的に勉強を始めました」

彼らが初めてライブを行った場所は、埼玉県東松山市にあるライブカフェ、レトロポップ食堂だ。

「私は緊張しすぎちゃって、お客さんが『大丈夫?』と声をかけてくださるほどでした」

Ikumaも「無理させてしまいました」と当時を振り返る。

「あのころは『きっちりやらなきゃ』と思っていたんです。ライブに向けて曲を作って、練習して、完璧な形で披露すべきだと。職人的な取り組み方でしたね。それゆえにライブでガチガチになっちゃって、今思うと、逆効果でした」

20年春からは、コロナ禍が世界を襲った。

「あんまりライブが出来なくなりましたが、たまにレトロポップさんで演奏させてもらって、場数を重ねて、ちょっとずつ力をつけてました。あの時間のおかげで、成長できたと思います」

情勢を見ながら、少しずつライブ活動を再開。さらに22年初頭から、1st Album『ふたり』の制作を開始した。それまでは、ほとんどの楽曲の作詞作曲から編曲までをIkumaが手掛けていたが、「アルバムでは新しい風を入れたい」と意見が一致した。

「僕の中学の同級生だったNegaiが、アレンジャーとして活動しているのを知っていたので、『やってみない?』と声を掛けました。そうしたら、予想以上に面白いサウンドが出来上がったんです。せっかくならこのまま、裏方としてユニットに参加してもらおうということになりました」。

すずめらんたんの夢見る場所

こうして2022年4月に結成された、すずめらんたん。

「『すずめ』って、身近な存在ですよね。ちっちゃな鳥だけど、不思議と目に留まります。『らんたん』は、僕たちがお世話になっているレトロポップという箱の内装からイメージをお借りしました。『小さくても存在感のあるユニットとして、みなさんの心に、ランタンのような温かい光を灯せるように』といった想いを込めた名前です」。

22年8月27日には、1st album『ふたり』をリリース。彼らの代表曲『雲の意図』を含む12曲を収録し、名刺代わりの一枚となった。

在は関東近郊を中心に、月に2,3本ほどライブを行っている。彼らの地元である所沢市周辺のライブスポットや、マルシェイベントなどへの出演も増えた。

また、毎週木曜日の夜には、TikTokにて配信ライブを行っている。

「歌って喋って、賑やかにやってます。ライブをきっかけに配信を見に来てくれたり、逆に配信を見てライブへ足を運んでくれたりするお客さんがいて、ありがたいです」

リスペクトしているアーティストについて尋ねると、Ikumaが答えてくれた。

「昔はゆず、特に岩沢厚治さんの音楽や生き方に憧れていました。アーティストとして価値観を大きく変えてくれたのは、藤井風さんや星野源さんですね。彼らのように自然体で、飾らない自分で活動するっていうやり方を取り入れるようになって、『すずめらんたんらしさ』が出てきた気がします」

さらに同郷の音楽家・市原(いちはら)マサヒロ氏との出会いにより、活動の幅が広がったと語る。

「ファンの方を通じて市原さんと知り合って、ワンマンライブを拝見して、大きな刺激を受けました。今ではアーティストとしてだけでなく、プライベートでも大変お世話になっています」。

着実に成長を続ける、すずめらんたん。2024年12月8日には、所沢YTJホールにて、ワンマンライブ『with your smile』の開催が決定している。

「これまでにもワンマンライブをしたことはありますが、今回は150名の集客に挑戦します。絶対に成功させたいです」

チケットはライブ会場で販売しており、インターネットでの販売にも対応予定だ。

ワンマンに向けて意気込む彼らに、5年後、10年後の展望を聞いてみた。

「メジャーで、全国規模で歌える、多くの人に知ってもらえる存在になりたいです。そのステップの一つとして、具体的なところでは、所沢市民文化センター ミューズの大ホールで演奏したいです。僕たちの地元で一番大きい、2000人くらい入るホールです」

Namiも、同じ気持ちだと頷く。

「今は『すずめらんたん』という形があって、そのためにピアノや歌をがんばることができて、楽しいです。自分がピアノを弾く意味が見つかったと感じています」。

このメンバーでないと成り立たない演奏や、ステージを追求してきたいと語る。

彼らの活動のコンセプトは「聴いてくれる人の日常に寄り添う」ことだ。

「1st albumの表題曲にもなっている『ふたり』の歌詞に、『何気ない日常に色をつけられたらいいな』というフレーズがあります。僕たちが大事にしたいことそのものです」

まずは彼らの12月のホールワンマンライブが、成功を収めることを願う。

文:紅葉

INFORMATION

1st album『ふたり』、好評発売中!

12曲入り、2500円

『キャンプファイヤーの線を辿って』、サブスク各種で配信中

2024.05.19(Sun) open 13:30 / start 14:00
「ほんの短い初夏」

[会場] アトレ川越 SPACE SEVEN(埼玉県川越市脇田町105 アトレ川越7F)
[料金] 前売¥2,000 / 当日¥2,500
[出演] nari/オレンジロード/m&m's/PIRI CARA TORIO/ふぁにーぴー/energy flow

2024.12.08(Sun) open 16:00 / start 17:00
すずめらんたんホールワンマンライブ「with your smile」

[会場] 所沢YTJホール(埼玉県所沢市日吉町12-1 西武所沢S.C.8階)
[料金] 全席自由 ¥3,500

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紅葉/reasnot
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