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成人発達理論の第一人者 加藤洋平氏が語る、Reapraの起業家支援とは

リープラにこれまで関わってきてくださった方々にインタビューし、 アドバイザーの方々からリープラがどう見えているかといったことをお伺いする対談の第1回として、今回は、リープラに約6年ほど関わっていただいている成人の知性発達に関する研究家であり実践者である加藤洋平さんに今日はお話を伺いたいと思います。



岡内:加藤さん、簡単に自己紹介をお願いできますか。

加藤:加藤洋平と申します。私の関心領域・実践領域は、成人の心がどんなプロセスやメカニズムで成長・発達していくのかというものです。 学問分野としては、発達科学の発達心理学という領域の中にある成人発達論と呼ばれるものです。

特にこれをこの12、3年ぐらいかけて探究をしてきており、今現在は、心の治癒や発達という文脈の中で、大乗仏教の唯識思想という心の理論に関心を持ちながらオランダで探究・実践生活を続けております。

💡きっかけ

岡内:ありがとうございます。私と加藤さんは長い関係ですが、加藤さんご自身がリープラに関わり始めたのはいつぐらいで、そのきっかけを教えていただけますか。

加藤:2018年の秋に、私の著書『能力の成長』を読んだリープラさんのメンバーから声をかけていただいたのが始まりです。当時、成人発達理論が注目され始めたばかりで、起業家支援にどう応用できるかというテーマで話をさせていただいたのがきっかけでした。

岡内:その1年後ぐらいに私は加わって、そこから一緒にお話しさせていただいているかと思うんですけれども、リープラのどの辺に魅力を感じて関わることを決めたのですか?

加藤:成人発達論が注目され始めた中で、リープラさんの熱意を感じた自分がいました。起業家に深く寄り添って、成人発達理論の叡智を活用しようとする情熱に共感しました。

あともう1つは、のちにリープラさんが掲げることになった明確な言葉として出てきた「社会と共創しながら熟達していく」というコンセプト・ビジョンに大きく共感したというのがありますかね。

特に社会と共創しながら成長していくという点は非常に重要だと考えています。得てして成人発達理論というものを、もちろん個人の成長のためだけとか、組織の成長のためだけに活用することは決して悪くはないのですが、リープラさんはその先を常に見ていたことに共感しました。 個人や組織の成長を通じて社会課題を解決していくという、個人と組織と社会の三方良しまで2018年の段階から見据えている点に共鳴しました。

岡内:加藤さんと6年やっている中で、リープラのアプローチ自体がどんどん変わっていったと思っています。当初は、発達測定っていうものを、加藤さんからインストールしてもらうような形で関わっていただきました。そこから、より本質的な
起業家の方があらゆる社会と関わり合いを持ち、自己変容をしていくかというところに変わっていきましたよね。

加藤さんから見られていて、 6年を一言で言うのは難しいかもしれないです、どんな変遷だったと捉えられていますか?

加藤:岡内さんの今のご指摘はすごく大事なポイントで、この6年、仮にリープラさんが何も変わらずにいたのであれば、私はリープラさんと一緒に仕事はしていないかと思います。

リープラさん自身が常に進化を遂げており、あり方やそのビジョン、コンセプトというものを絶えず洗練させ、実践もより精緻なものになっていくその試行錯誤の過程に1番共感しています。

仮に成人発達論が使えるなと思ったら、それに固執してしまう人や組織は案外多いんですよ。 リープラさんはそのようなことはなく、成人発達論も1つの方便に過ぎないというあり方を持っています。これは私も大切にしているあり方です。

そして、そうしたあり方に対する共鳴と、実際にリープラさんが成人発達論をインストールした後の、その叡智の使い方に共感しています。そこではとにかく試行錯誤、実験、検証、そして変化というものがあり、リープラさん自身が生き物として進化している、そこに私は一緒に仕事をする楽しさと喜びを感じています。

岡内:これまでの変遷の中で印象的な出来事はあったりしますか。

加藤:私はリープラさんとの関わり方は、最初はまさに岡内さんがおっしゃってくださったように、成人の発達段階を測定する発達測定の手法をどういう風にインストールしていくか、そこにある種アドバイザー的な形で関わらせていただいていました。

そしてそこから発達測定という特定のツールにとらわれるのではなく、具体的に起業家がどんな課題を持っているのか、 どんな自我への執着があるのか、それを見立てた上で、 実際に起業家支援に乗り出していったという変遷が1番印象に残っています。

岡内:ここ数年、僕らが、起業家の方が長期で産業創造していくにあたって大事なことは、赤ちゃんのように、あらゆるものに目を見開いて方法を学んでいくっていうことがポイントかなと思っていています。そのようにオープンに学習をしていこうとした際に、今の自分自身のままでは執着したいテーマを解決できないという、ある種の自己喪失が大事になってくるっていう風に思っています。この辺りは、加藤さんがリープラを見られてきた上でどのように捉えられてますか。

加藤:そうですね、まさに自己喪失は私たちが心の成長を遂げていく時に不可欠なものです。しかし、注意しなければいけないのは、その自己喪失というものをどういう風に取り扱っていくかです。それは個人としてもそうですし、支援者側として自己喪失というものを促していいものなのかを含め、かなりデリケートな問題をはらんでるものだと捉えています。 とにもかくにも、そうしたデリケートさを理解しながら、自分が設定した社会課題を解決していくための自己喪失であれば、起業家はそれときちんと向き合うことは不可欠かと思います。

岡内:また、最近では投資させていただいている起業家の方同士とリープラの中で同じようにその社会課題を解決していこうと考えている社員が、学習コミュニティを形成して、共に学び合うってことを大事にしてるんですけれども、この辺りとは、加藤さんはどのように見られてますかね。

加藤:やはりそれも大きなポイントですよね。 これはまさに通称「サンガ」と呼ばれるような実践コミュニティですよね。仏教でいうサンガは人間の発達上非常に大切で、 私たちの成長は自力の道だけでは限界があります。自力と他力の双方を組み込みながら実践を積み重ねていくということが重要で、その起業家が抱えている課題に関して、起業家同士だからこそ分かり合えるようなこともあるだろうし、逆に起業家同士では盲点になってしまうこともあるかと思います。リープラさんの中で学習実践コミュニティーを作って、いろんな観点を取り入れ、自分を客観的に見つめながら、日々の学習や実践を進めていくことは本当に大きな意義があることだと思います。

💡リープラへの期待

岡内:加藤さんから見て、今後よりリープラに期待してることだとか、もっとこの点も踏み込んでいけるともっと良くなるんじゃないかとか、思われてることってあったりします

加藤:6年間リープラさんと関わって感じるのは、起業家やメンバーの「我への執着」に関する知見やノウハウがかなり蓄積されているということです。これは非常に大切なポイントですね。

さらにこれがあればなと思うのは、我への執着を超えて、対象への囚われすらもを手放していく実践をしていくことでしょうか。例えば、起業家さんが自分の事業領域はこれだと見つけた時に、それを見つけたことは素晴らしいのですが、その事業領域を実体化し、固執することによって悩みや苦しみを抱えるケースがあります。

その起業家さんは自我への囚われには向き合っているかもしれないけど、もしかしたら事業領域の囚われ、お金への囚われ、人間関係への囚われなど、こうした対象への囚われについては、まだあまり明確に言語化されてないのかなという印象ですかね。

岡内:こういった点って、今後どんなことを我々と実践していけると良さそうなんでしょう。

加藤:その点に関して、せっかくこれまで積み上げてきたIFDの実践やシャドウと向き合う実践の知見が蓄えられているので、まずは自我が対象化している様々なものを見ていくことが重要かと思います。

私という自己認識も、自分はこれこれこういう人間だというアイデンティも、全て自我が対象として生み出している実体のないものです。なので、こうした実体化しているものを網羅的に見ていきながら、対象化しているものに縛られすぎていないかどうかを検証していけば、 我への囚われだけではなく、対象への囚われからの解放になるのではないかと思います。

岡内:もしかすると今リープラでは、IFDの後にそのファーストラーニングプラクティス(FLP)と言って、最初の事業で高い収益をセットし、収益目標セットして、そこに自分自身を変えながら、かつその業界のインサイトを取りながら、チームを作りながら達成していくってことをやっています。そこで大事にしているのは
、日常における情動の機微をできる限り細かく把握し記録することです。

その情動の機微が、怒りとか 憎しみとか妬みとかいろんなものがあると思うんですけども、その裏にあるものは自分のどういう特徴があって、それを味わった上で何かしら目標達成していく上でのアクションに小さく変えていきましょうってやることによって、ある意味小さな自己理解と、それに基づいて今までの自分だったらやらないようなアクションをやっていくっていう、促しみたいのやってたりするんですよ。その活動は、今のような、強い自分の我以外のところへの囚われっていうのを探っていくような、きっかけになるのかなっていう風に思いました。

加藤:本当にその通りですね。やはり私たちのアクションを妨げているものは、私たち自身の囚われだと思います。 それが何であるかを観察し、囚われへの自覚を育んでいくことが重要かと思います。例えば日々の感情を1つ取ってみても、私たちはその感情を固定化し、感情が実体としてあると思ってしまいますが、実際のところは感情というのは変化していくものなので、その変化に気づくことができれば、この世には何一つとして固定した実体のあるものはないという認識が得られるのではないかと思います。

💡リープラに向いている人

岡内:加藤さんから見て、リープラに向いていると思う方、つまりリープラの中で自分を変容させながらやっていける方はどんな方でしょうか?

加藤:端的には、起業家としての自分の課題やライフサイクルに照らし合わせてみて、本当に成長したいと思う方にはおすすめできる組織かと思います。

私から見てリープラさんは、本質的な変容を実現させてくれる組織だと思います。本質的な成長を実現するには時間も労力もかかり、それは楽なことではありません。成長のためには、自分の生い立ちから含めて、過去の思い出したくない記憶などと向き合わざるを得ません。それが難しい方にはもしかしたらおすすめできないかもしれませんが、リープラさんの中にはそうした過去のトラウマと向き合っていくような支援体制があるので、本当に本質的な成長を実現したいと思っていて、さらには社会課題を解決するという情熱がある方には、非常に素晴らしい組織だと思います。

岡内:確かに、実際に実践する過程だと、自分自身の積み残したものを見に行くために、幼少期に積み残していたものとちゃんと向き合いに行くだとかありますからね。上がるだけじゃないっていうことですね。

あともう1つは、私たちは成長する生き物だけではなくて、学ぶ生き物でもあるので、学ぶことの楽しさを感じてみたいという方や、学ぶことを楽しいと思っている方には最適な組織かなという風に思います。

岡内:加藤さんにお伺いしたいのですが、現在リープラと関わりたいと考えている方々がどのようにリープラと接点を持ち、関わっていけばよいかを探っている状況です。特に、今の社会で葛藤を抱え、自分の生きづらさをどのように解決すればよいか悩んでいる方々が多いと感じています。そうした方々が、自分の心を見つめ直し、発達理論やリープラブックなどにたどり着くこともあります。

このような方々は、未来に対する不安や、既存の枠組みの中でどのように過ごすべきかに悩んでいます。リープラは、こうした方々に対してどのような支援を提供できるとお考えでしょうか?また、どのような場所や機会を提供できるとお考えですか?

加藤:そうですね、まずそうした方たちへのメッセージで言えば、自らの成長の限界とか、今の組織でやっていていいんだろうかとか、 何かしら生きづらさを抱えるというのは、私からすると健全な心の現れだと思います。

継続的な成長を遂げ、社会課題を解決するというのは非常に難易度が高く、それを実現していくためには、葛藤と向き合っていくことが重要です。思い悩み過ぎるのではなく、葛藤と健全に向き合っていくことが重要な中で、リープラさんはその方法を提示してくれていると思います。

自分1人で悩むのではなく、他者の力を借りながら、さらなる成長を促してくれる葛藤に向き合っていく支援体制がリープラさんにはあります。自分が抱える葛藤の本質には何があり、生きづらさの根源に何があるのかを見つめていくことに関して、リープラさんはすごくいい場所なんじゃないかなと思います。

岡内:確かにそういった方が自分で悩み尽くすってのもありますし。でも一方で、こういったコミュニティーの中で入ってみて、同じように悩んだところから前に進んでる方を見ていくことで、自分もより前に進めるかもしれないって思ったりとかするっていう 意味だと、確かにそういった方こそ何か繋がりが持てたりとかするといいんでしょうね。

加藤:そうだと思います。人間誰しも基本的に生まれてから死ぬまでの間、まさに生老病死の悩みがあるので、私たちは悩み続ける生き物です。 そして、悩む時に何をどう悩むのかということは重要なポイントになると思っています。

多分今の世の中においては、生きづらさという非常に漠然としたものを、何か孤独に1人悩んでしまうような状況にある方が多い印象を受けています。これは少し危惧している社会状況です。

人間は誰しも悩むのは当たり前なんですが、他者と一緒にその悩みの本質や根幹を探っていくことは重要で、そうした場を起業家に提供しているのがリープラさんだと思います。それはまるで、悩みや葛藤をシェアし、それと向き合っていくことを通じて成長を促すような道場のようなイメージです。ビジネスを切り口としながらも、各人の悩みや葛藤に向き合うことを避けず、むしろそれを支援し、起業家自身の成長を実現しながら社会課題の解決を行う組織であるということが、リープラさんの素晴らしい特徴だと思います。

岡内:加藤さん、今日は長い時間、お話をお聞かせいただきありがとうございました。

文責:杉本奈穂

リープラでは起業家の自己変容を通じて産業創造を図るアプローチに取り組んでいます。ご興味ある方がいらっしゃいましたら、ぜひフォームからご連絡ください。

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