人生のどん底を経て、実現したい事業が見えた
対談企画としてリープラの投資先の皆さんにお話を伺うシリーズ、「起業家の声」の第6弾として、株式会社リバースネットの白土悠平さんに、リープラで起業に至るまでの経緯やその中での葛藤、そしてこれからの展望についてお聞きしました。
岡内:まずは自己紹介をお願いできますか?
白土:株式会社リバースネットの白土と申します。弊社は「変化の時代に適した、学びのエコシステムを共創する」というミッションの元、具体的には、サステナビリティ領域に特化した転職支援サービスを提供している会社になります。
💡なぜリープラを選んだのか
岡内:リープラとの出会い、投資を受けることを決めた理由を教えていただけますか?
白土:大学時代から経済的に持続可能な形でグローバルに社会貢献をすることに興味がありました。官僚になることや途上国のビジネスに投資する国際機関、商社等にも幅広く興味を持ったものの、最終的には投資・事業について学べる、優秀な人と働ける、グローバルな環境で働ける企業として、新卒でゴールドマン・サックスに入社しました。
岡内:社会人としての経験が起業にどのように影響したのですか?
白土:ゴールドマン・サックスに入社してすぐは、投資と事業創造のいずれでキャリアを構築していくかまだ定かではありませんでした。入社後に外資系の大きな会社で働いた経験や、ニューヨーク研修にかこつけてワシントンにある国際金融公社(IFC)の本部を訪れ、働いている方の話を伺う経験をしました。その結果、思い描いていたものと異なると感じ、キャリアの早いうちから自分で何かをする方が面白いのではないかと考えるようになり、社会人一年目には、すでに起業への意欲が芽生えていました。
岡内:起業の具体的なきっかけとなった出来事は何でしょうか?
白土:ゴールドマン・サックス在籍中に諸藤さん(リープラ 代表)との出会いが大きな転機でした。諸藤さんは当時、エスエムエスの代表を退任し、ゴールドマン・サックスにミーティングで来られていて、その際に初めてお会いしました。彼の話は抽象的で複雑でしたが、同時に冒険的で創造的でもあり、普段、既にある事業や計画に対してファイナンスプロフェッショナルとしてお金を付ける仕事をしていた自分からすると非常に興味深く感じたことを覚えています。
岡内:諸藤さんとの出会いはその後どのように発展していったのでしょうか?
白土:社会人2年目の初めにシンガポールとタイにバックパック旅行を計画しました。その際、シンガポールで諸藤さんに連絡を取り、起業について話を聞かせてもらいました。その後、諸藤さんからリープラの構想について教えていただき、ご縁があったためリープラに関わることになりました。これが社会人3年目くらいのことです。
ゴールドマン・サックスには約2年半在籍し、その後起業する前提でリープラに短期間、フルタイムで参加するために退社しました。リープラでは1年弱働かせていただき、シンガポールでマーケットリサーチや投資先のサポート、経営の一般化を行った上で起業に至りました。
💡何を目指しているのか。現在、何に取り組んでいるのか?
岡内:では、次にお聞きしたいのは、どのような姿を目指しているのかの未来像と、現在の取り組みについてです。
白土:挑戦を支え合う関係性を事業を通してより多くのステークホルダーに広げていきたいという願いを起点として、「変化の時代に適した学びのエコシステムを共創する」をミッションに掲げています。
内容に関して、少し詳細に説明をさせていただくと、今後の50年間程度(次世代)の社会を想像した場合、巷でVUCA時代と言われているように、社会変化のスピードが加速していることが挙げられます。社会変化が加速するということは、社会で活躍するために求められるスキルも加速度的に変化しますし、変化に適応して活き活きと生きていくには、学びそのもののスピードも加速していく必要があります。
こうした長期的なトレンドをとらえ、「次世代のナレッジワーカー(知識労働者)向け」に、「次世代の社会で活躍するために求められるスキルテーマ」を「より楽しく、生産的に学ぶための支援」を行うプロダクト群を提供し、多様な人々が学びに参加できるエコシステムを構築することが我々のミッションです。
現在は、次世代の社会で大きな課題となる「サステナビリティ」をテーマとし、「学び・実践の場に飛び込んでいく支援」として、サステナビリティ領域に特化した転職支援サービスを運営しています。学びの支援については多様な方法があるため、バリューチェーンを伸ばす形で隣接分野に次の事業を展開していくことも計画しています。
岡内:挑戦を支え合うというのは白土さんの中で大きなキーワードになっているのではないかと感じます。この想いが出てきたきっかけがあれば教えていただけますか?
白土:元々私は「挑戦し、卓越すること」に囚われており、高校から進学校に通い、その後京都大学、ゴールドマンサックスへと歩みを進め、起業もその延長戦上に捉えていたように思います。社会的意義のあるフィールドで事業創造でインパクトを創出することで、「卓越性」や「意義」を実現することに動機付いていたのだと思います。
しかしながら、会社を創業して3年後に、「卓越」とは真反対の状況を経験しました。自身の学び・マネジメントのクセから、当時運営していた事業があまり上手くいかず、コロナ禍の影響で売上が急減し、赤字が続く状況に直面した結果、1億円超の個人保証を負い、当時いた社員の皆さんに転職をお願いする形で事業縮小をせざるを得ない状況になりました。
それまで、強く有能な人間であらねばならないと思い込んでいたこともあり、その時の自身の状況が正反対だったため、社員の皆さんへの申し訳なさと自分自身への情けなさで自己受容できなくなり、鬱状態になりました。
しかし、そのような自分でも、家族や諸藤さん、残った社員が支えてくれたことで、「本当は人に支えられたかったんだ」という自分の押し殺されていた願いに気がつきました。「必ずしも社会で人は支えてくれない」というバイアスの元、「卓越すれば安全なんだ」という世界観の中で生きていたんですね。
正直にお話すると、会社を創業した際は心の底から実現したい社会像みたいなものは見えていませんでした。しかしながら困難な経験を通して、「挑戦し、学ぶ(卓越する)ことを”人と支え合いながら”やる過程そのものに幸福があるのでは」と思うようになり、挑戦を支え合う人間関係や社会を作ることが自分のライフミッションであると再認識しました。
ライフミッションから今後の社会課題を想定した際に、何が求められるだろうと考え、事業の方向性や会社ミッションを再構築していきました。
💡これまでの成長や学びは?
岡内:最後に、これまでの学びや成長、特に自己変容を伴う成長について教えてください。
白土:いくつかありますが、1つ目は事業開発に取り組む姿勢が変わったことですかね。
私の元々の学びの癖として、すでに検証されている生産的な方法をリサーチして概念から実践に落としこんだり、ある一定期間のデータを分析して、大きめに施策を分解し、量をやることで最速で走り抜けるというものがありました。
これはプレーヤー数が多く、既に体系立てられた勝ち方がまとまっている「受験勉強」や「部活でのバスケ」での成功体験や、新卒で「金融業界にいた経験・スキル」が学習傾向に拍車をかけていたように思います。
拡張を急いで決め込んだ施策を打った結果、マーケットに完璧にフィットするやり方をゼロベースで検証しない部分があったり、一部の機能はスキルのありそうな人に任せてスコープアウトするクセがあったため、初期の事業運営で上手くいかなかった様に思います。
現在は、内省・振り返りからの施策出しを主軸として、施策の多様性を担保したり、小さく行動した結果をデータから振り返る学び方にシフトしようとしているように思います。
優先する学習方法が変わる感じでしょうか。自分の市場や施策に対するバイアスを疑いながら、成果につながりそうなアクションアイデアをできるだけたくさん出し、小さなステップに分けて試し、その結果を振り返って学ぶという実践ベースの方法です。元々得意なリサーチベースの方法も一部活用しますが、不確実・不透明な環境ではこのやり方の方が成果を出せそうだなという感覚を持っています。
岡内:ありがとうございます。その他ではどのような学びがありましたか?
白土:その他では、人の巻き込み方が変わったように感じます。起業当初は共感ベースでのアトラクトはあまりなく、ロジカルな成長機会の提供、すなわちアドレナリンだけで人を引きつけていたように思います。しかし、現在では共感をベースにした採用も重視し、その観点で良いと思ってくれた方が入ってくれるようになった様に思います。
岡内:その変化の理由はなんだったんですか?
白土:自分自身の会社経営をやる目的が変わったからではないかと考えています。 目的が変わると、目的に賛同して集まる人も変わるということなのかなと。元々で言うと「みんなで卓越・成長しようぜ」だったのが「挑戦を支え合い、共に学ぶ関係性を事業創造を通して一緒に広げていこう」という巻き込み方に変わったのかなと。起業当時ではあまり巻き込めていなかっただろうなと思う方にも共感していただけるようになったと感じています。
岡内:大きな自我喪失を経て今に至るまでの学びや葛藤を率直にお話しいただきありがとうございました。
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✒️編集後記
白土さんにお話を伺う中で、特に印象的だったのは、「挑戦を支え合う人間関係や社会を作る」というミッションに辿り着くまでの過程です。起業初期には大きな自我喪失を経験し、その苦しい時期を通じて、自分の押し殺されていた願いに気がついたというお話がありました。リープラ独自のアプローチである「Foundation Design」は、こうした人生の根本的な願いを明らかにし、それを生き方の指針やライフミッションとして昇華させるものです。正社員から投資先の皆さん全員が同じように紡ぎ出しているのがリープラの特徴の一つでもあります。このような手法に興味のある方はぜひ、フォームからご連絡ください。
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文責:杉本奈穂