先日オンラインで行われたDesignship 2021に超簡単、Ayanon、akashiの3人で参加してきました。遅ればせながら各メンバーが気になったセッションのまとめや感想を綴っていこうと思います。
ちなみに、今回のイベント参加費は会社が負担してくれました。成長に繋がるなら喜んでお金を出してくれるいい会社です。
今デザインにできること KEYNOTE (深澤 直人)
【概要】
・良いデザインとは「皆が感じていたこと伝える・言語化・ビジュアル化すること」であり、「新しいものを作り出すこと」ではない。
・「皆が良いと思うだろう」「周りからの共感されるであろう」ものに気づくことが、創造物への自信に繋がる
・デザイナーは問題解決の前に、その問題は適切な問いなのかを問うべきである。
・想像力を高める上で重要なのは、気づきの場に身をおくこと。
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「文化の違い」だけじゃない-デザイナーとしてパンデミック下の海外プロジェクトに関わること (YING ZHONG)
【概要】
・コロナ禍の中で、パンデミック対応の多様化によって各地で価値観の分化が激しく起きている今、対話や観察によって生活者にとっての「価値を明らかにする」ことが重要
・実際に現地に行き、生活者が発信している情報を集め、未来の生活者の思いを形にする
みんなの銀行が「グッドデザイン」である理由を解剖す(中村 隆俊, 井上 裕太)
【概要】
・「モックだと通るけど、最終リリースまでにはすべて変更されてしまう」というバッドパターンを、ボードメンバーとの議論を繰り返すことで回避した。
・デザイナーとして譲れない部分に関しては関係者にプロダクトを触ってもらい、「なぜこの部分が重要なのか」を丁寧に説明することで理解を深めていった。プロダクトを作る全員との関係構築が大事である。
・社員のうち約4割が元銀行員・6割がIT企業出身という組織であり、当初は考え方が全く違った。心理的安全性を確保した環境構築や行動規範の策定により相互理解を深めていった。
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実店舗における顧客体験の実践と、海外デザイン大学院での探求 (田房 夏波)
【概要】
・商品開発ではなく、店舗内における「体験」にフォーカスして検討
・店頭に立ちながら、工房にも直接足を運び、その場で得られる「体感」を大事にする
・自分の心が動く瞬間をお客様に提供する体験に反映させる
デザイン態度でろくろを回せ (田中 翼)
【概要】
・デザイナーが本来想定しているデザインの仕事ができない環境に疑問を持ち、デザイナーと世間が思う「デザイン」というものにギャップがあるのではないかと考えた。
・良いプロダクトデザインを行うには、良い器、つまり「デザイン活動に取り組む際の姿勢を受け入れるための組織文化」が必要である。
・さらにその器を作るには「経営層のコミットメント」「 組織文化の理解」「専門性への理解」「 デザイン活動の理解」4つの力が必要だと考える
田中さんが書かれたnoteはこちら
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日常生活を共にする当事者と共創するアクセシビリティツールのデザイン (鈴木 一平氏)
【概要】
筑波大学の博士課程に在学されており、様々な研究をしている鈴木氏が、ろう者の研究者がいた事から始まった"See-Through Captions"を開発していく上での工程や工夫した事などを丁寧にお話されていました。
【まとめ】
1. 工程や工夫
・ろう者や難聴者にはこれまで手話や筆談というコミュニケーション手段があったが、Google音声文字変換を利用してもっと簡単にコミュニケーションが取れるように出来ないか?と考えた。
・最初はARグラスなども試してみたが、聞き手はグラスで相手の表情が見づらい、話し手は内容が本当に伝わっているのか分からない問題などがあった。(誤変換もあるので)
・たまたま別の研究で使っていたシースルーグラスを使って文字をリアルタイムに表示させてみるとARグラスのデメリットを払拭できるとわかった。
・日本科学未来館で試験的に導入し、試験やユーザーの声を通して、文字が読みやすいように文字の表示の仕方を工夫したり、同時に手話でも伝えられるように顔のすぐ下に装着できるようにするなどの改良をした。
・その後筑波市役所にて導入、実験をすると「ろう者・難聴者」だけでなく高齢者や外国の方にも需要がある事が分かった。
2. 気付き、重要な事
・エクストリームを理解する事がメインストリームのイノベーションを可能にする。
・より多くの人が簡単にアクセス出来て利用できるデザインが大事。
・プロダクトの開発には利用者の声を聞きながら作る事が重要。
・技術や時間が足りないなら今あるもので工夫する事が重要で、早く安く作る事が出来ればよりサイクルを回しやすい。(施策→テスト→課題抽出→改善のサイクルをいかに早く回すかが鍵となる)
デザイナーが作る新規事業で意識すること (篠原 健氏)
【概要】
株式会社キュービックのCDOを務める篠原氏が、デザイナーが作る新規事業で意識することについてこれまでの事例を交えながらお話されていました。デザイナーが新規事業に関わる際のTipsが随所に散りばめていたセッションです。
【まとめ】
・デザインに必要なプロセスは、仮説やゴール、提供したい価値を明確にしてから、ターゲットを決めてその人達に共感していく事。
・全員が同じゴールを見つけて同じ解像度で同じ仕事に向かい、強みを活かしながらゴールに向かっていく事がとにかく大事!
・具体的に意識する事は、下記の通りとなる。
1. イメージしやすい大きなビジョンを描くこと
2. 具体化して体験して貰うこと
3. 体験者の声を元に改善すること
4. これらのプロセスを関係者全員で行うこと
・モモウメについての事例
「嫌われない広告を作って良い商品を知ってもらう」をビジョンとして掲げ、多くの人に共感して貰えるような存在にしたいと考えた。
コンテンツはユーザーの体験を元にしているので、デザイナーが考えたものをまず形にして、それをユーザーにインタビューするなどユーザーを巻き込んで最終的な形に落とし込んでいった。(ここのサイクルを回す)
・KoeNareについて
色んな障害があっても同じ粒度でコミュニケーションを取れるプラットフォームを作る事をビジョンにした。
技術が足りないので挫折→違う価値を提供できないか?と考え、別の形でビジョンを作り直し、様々なビジネスフレームワークを用いて分析、仮説の精度を上げた。
そしてMVP(顧客に価値を提供できる最小限のプロダクト)を作成し、ユーザーに実際に体験してもらった声を集めた結果、「社内ラジオ」という形に落ち着いた。
【概要】
2008に設立したブティーククリエティブエージェンシーであるHI(NY)を経営しているお二人が、これまでのNYでの経験や日本で働いてみて感じたズレなどを交え、日本の次世代デザイナーの働き方についてお話をされました。
【まとめ】
1. クライアントとのコミュニケーション
・デザイナーに求められるのは傾聴する、共感する力が必要なので、クライアントを好きになる努力や相手を知ろうとする事が大事。
2. コンセプトの背景の言語化
・米国と日本ではデザインに対する解釈の違いがあり、日本の場合はビジュアル化をする部分だけがデザインと解釈されがち。
・ビジュアル化に入る前にビジネス視点で物事を見極めて土台を作る必要がある。
3. Think Outside the Box
・想定されたデザインオプションをいくつか出しつつも、ユニークなものを1つでも良いから出しても良いのではないか。
・リミットを外してクレイジーなものをどんどん生み出して欲しい。
4. 女性クリエイターの働きにくさ
・特に女性のデザイナーに多い事だが、デザインオプションを見せる時に予防線を張ってしまう事をよく目にする。
・自分自身が作品のファンになってその良さを自信を持って伝えないと、相手にも伝わらない。
・批判されるのが怖いのは分かるが、批判されてこそより良いものが作れるというマインドの方が上手くいく。
5. ソーシャルブランディングについて(解決法というよりは問題提起)
・日本の社会問題は意識的に見ないと見えてこない事が多いので、問題が社会にしっかりと認識され、理解され、行動につながるようなビジュアルコミュニケーションが必要。
・ただ、福祉はそういったものにお金をかける予算が組み込まれていない事が多い。そういった問題を今後皆で解決する方法を模索していきたい。
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