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朝礼の目的は「社員の精神的支配」。パワハラ社長の巧妙な手口
朝礼の真の目的とは・・・?
会社を離れて、気づいたことがあります。「パワハラ」社長目線でかなり悲観的にとらえてみると、そこには悪どい巧妙な手口が見えてきました。
極端な考えかもしれません。ですが、「このような可能性もあるな」という視点で、サラっと見ていただけると嬉しいです。
1 社員にとっては無意味な朝礼
毎朝、全社員が思う「無意味だな」という朝礼をしていました。
何も情報共有するわけでもない、何も学びがない。
パワハラ社長にとってはとても大事な時間だった
ですが、「パワハラ」社長の立場から、深く掘り下げゆくと。
朝礼は、社長にとってとても重要な、「巧妙な精神的支配の確認作業」のための時間であり。ひいては「組織の崩壊を防ぐ」目的ではないか、と思ったのです。
2 手を変えて行う「巧妙な精神的支配」
その朝礼とはどんなものだったのか。
ざっくり概要と目的を説明します。
(1)「儒教的精神」に紛れ込ませて「持論の精神論」
まずは、ありふれた儒教的な、まっとうな文章の朗読です。ここでは、持論の「精神論」を押し付けるのが目的です。
大事なのは、この押し付けの割合。毎日やっていればくどくなります。飽きます。ですが、5:5くらいの割合で、「儒教的なまっとうな話」を織り交ぜてきます。紛れ込ませての、持論の展開。とても巧妙です。何が正しいのか、混乱します。
(2)強制的な1分間スピーチで、思想の確認
次に、強制的な1分間スピーチ。もちろん、社員に学びなんてありません。
ここで重要なのは、「強制的に」話をさせ、「社員の思想を知る」ことが重要。支配・従順さを確認するためでもあり、危険な社員はいないか確認するための場でもあります。
(3)思想を支配「時事レビュー」
その次は、思想の支配です。
ここでは、時事ネタのレビューという手段で、自らの思想と違うものであれば、特定の社員の思想の否定をしてゆきます。思想を押し付けるまでしないところもポイントです。社員を「否定」をすることが目的なのです。
思想は、政治的・経済的な思想、支持政党、労使の立場の違いによる思想の違い(右翼的・左翼的なもの)など多岐にわたります。
(4)社員の意見は「完全否定」
最後の締めは、「完全否定」です。
朝礼で発表した社員の意見は、必ず完全否定します。この否定が、ものすごく大事なのです。
どんな正論でも必ず「否定」。そして、自らの「正論」をふりかざす。正しいとか正しくないが問題ではないのです。朝礼の中で、「最も正しいのは誰か」「誰の意見を聞かなくてはならないのか」。主従関係・支配関係をはっきりさせるのが最大の目的なのです。
3 最終目的は「思考の麻痺」
毎朝、こうした積み重ねをしてゆくと、どうなるでしょうか。
「思考が麻痺」するのです。自分の中の自由な発想、自由な思想。毎日毎日、積み重ねてゆくと、思考が麻痺してゆきます。
ここで、パワハラ社長にとって、もっとも理想的な「完全な支配的組織」が仕上がるのです。
4 支配しないと「組織が崩壊する」から
まったくもって、巧妙な方法。
社長は、先天的にこの方法を見出したのかもしれません。その手法と効果に、とても感心させられました。
なぜここまでして支配をするのか。
それは、「支配なくして組織は成り立たない」「崩壊するから」だと思います。パワハラ社長に、どこに人間的魅力があるでしょうか。それは、恐怖支配ゆえに、成り立っている組織に他なりません。
毎朝、社長は「支配関係を確認」して、スタートするわけです。
5 大事なのは「手口を知ること」こと
ここで思ったのが。
この巧妙な手口に、社員はどこまで気づいていらっしゃるか、ということです。
私は、在籍時、気づけませんでした。恐怖で思考が止まるのです。退職してから、電車に乗っているとき、気づきました。「天才的手法じゃね?」と。
人間、誰しも、長らくいると、感覚麻痺します。思考も停止し、それがいつしか当たり前でないことが当たり前になる。
誰しも人としての尊厳を奪われる経験は、一度はあります。いじめ、パワハラ、恫喝、つるし上げ・・・。避けられない経験です。
でも、「どうして麻痺したのか」「なぜ支配しようとするのか」と、感情を交えず、俯瞰的なスタンスで、振り返ることが大切なのでは、と思います。