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WAYAさんの津島弁ガイド 第13回 「なんだいも」を生む「あのなも」ことば
第12回でご紹介したように、津島には室町時代から続いているお家などのHigh societyがありました。使われている言葉にも少し違いがあり、国語の先生の話では、京都弁と共通する言葉も多いとの事でしたが、残念ながら、私は庶民。High societyの言葉には接する機会がありませんでした。街中で話されるのを聞いていると、語尾に「なも」を多用され、とても柔らかい印象の言葉です。というわけで、今回は「あのなも」「なも」
「あのなも」=「あのね」 話しかけるときのきっかけのことば
主にHigh societyの方が使っていた。
「あのえも」=「あのなも」と同じ意味
津島生まれ、津島育ちの祖母の実家は小商いを
していたらしく、「あのえも」と「あのなも」が
混じっていた。祖母の交友関係も同様
「あのよう」=「あのなも」と同じ意味
岐阜県生まれの祖父は大工で、「あのよう」と言ってい
た。私の父や近隣の人たちも「あのよう」を使っていた。
<使用例と共通語訳>
「やっとかめですわなも、どうしてりゃーたね?」
=「おひさしぶりですね、いかがお過ごしでしたか?」
「おかげさまで まめで あんきにしとりましたわなも」
=「おかげさまで 病気もせず健康で 心配事もなく、気楽に暮らしていました」
<注記>
「なも」自体には意味はないけれども、言い切りの言葉だときつく感じるケースでも語尾に「なも」が付くと、「そうですよね」的な同調同意を求めるような感じになって、やわらかい印象になる
<関連>
「なんだいも」=「何ですか?」「何か用ですか?」
「なんですかなも」から発展したと思われる
「そうきゃあも」=「そうですか」
「そうですかなも」から発展したと思われる
「ええわいも」=「いいですよ」肯定にも否定にも使う
「ええですわなも」から発展したと思われる
津島の家庭ではこんなやり取りがされます
爺「晩げは なんだいも?」 婆「関東煮ですが、いいですか?」
爺「ええわいも」
爺「晩げは なんだいも?」 婆「さっき、言いましたがね」
爺「そうきゃあも」
(注)晩げ ばんげ=夜という意味だが、晩ご飯の意味で使うこともあり