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WAYAさんの津島弁ガイド 第20回ほめ言葉がないなんて「たあけたこと言っとっていかん」
誉め言葉の津島弁をおもいつかないのは、私が誉められないせいなのか、地域性なのか?
試しに「すばらしいの名古屋弁」をスマホのAIで検索すると「でらうま」と出てきました。「でらうま」=どえらい うまい=とてもおいしい
商人や職人の街だったせいか、人に対する言葉には、勤勉や要領がいいことが好まれ、周囲との協調を良しとして、諭すことばが多いようです。
<共通語訳と使用例>
「なまかわ」=なまける 横着する 手順を省略する
通常「なまかわしていかん」という形で使う
「だだくさ」=粗雑にあつかう むだにする
通常「だだくさにしていかん」という形で使う
「こすい」「こっすい」=ずるい ずる賢い 要領がいいという意味を含んでいるように思う。ドラマや映画の中の藤原道長さんはとてもこすい人だと思います。
「とろい」=鈍い 遅い 愚鈍
「とろくさい」「とろくっさい」=ばかなこと 要領が悪い 理屈にあわない めんどうくさい
「とろくさいこと言っとっていかん」=要領がよくない、ばかなことを言っていてはいけません
「たあけ」=ばか あほ 役に立たない
「たあけたこと言っとっていかん」=実現性が低いばかばかしいことを言っていてはいけません
こんな使い方もする
「ねじがたあけになっとる」=ねじ穴がゆるんでしまって しまらない
「ゴムがたあけ」=下着のゴムなどが ビロビロに伸びてしまっている
「ひこつい」=理屈っぽい ネチネチした感じ
「ちょうしこく」=お調子にのっている
「ちょうしこいとっていかん」の形で使う
「おちょける」=ふざける 「おちょけ」=お調子者
「はば」=仲間はずれ 「はばっち」と言うこともある
「はばにする」=仲間外れにする
「みこがいい」=特別扱いされる ひいきされる 相性がいい
「みこが悪い」=目を付けられる 良く思われない 相性が悪い
<使用例>
「○さんは先生のみこがいいから、しかられないけど、私はみこが悪いからしかられてばっか」
<注記>
「ちょうしこく」と似ているが
「ちょうらかす」=ちょうしにのらせる もてはやす こどもをあやす かるくだます
<関連>
お米を研がないで炊く(無洗米)なんて昔なら「なまかわしていかん」と叱られていたでしょうが、今は、タイパがいいと言われますから、言葉の意味を説明するのもだんだん難しくなります。
今の学校で「はばっち」とか「先生のみこがいい」と言ったら、大騒動になりそうですが、人生のなかで一生懸命やっていても、うまくいかないことや理不尽なことあった時、自分を責めないで「みこ」のせいにして乗り越えていくのは「あり」だと思います。地域の言葉には、その地域で生きるための知恵のようなものも表れているようです。誉め言葉が思いつかないのは、「ほめられて ちょうしこいて 身上つぶすな」という先人の知恵かもね。