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「なぜ書かない」日銀総裁は不満だった(後編)

お待たせしました。先週公開した記事の完結編です。
時事通信社『金融財政ビジネス』2022年2月17日号に寄稿しました。(一部手直しした個所があります)。

「なせ書かない」総裁は不満だった
---日銀百年史とニクソン・ショック秘話(続き)

日本銀行百年史の編纂室長を務めた石川通達(いしかわ・みちさと)は、ニクソン・ショック発生直後の日銀の政策判断を確認するため、1971年8月16日午後に開かれた役員集会、通称マル卓を調べ直すことにした。

正副総裁と理事で構成されるマル卓は議事録を残さないため、当時の出席者から改めてヒヤリングを行ったのである。

石川が残した口述記録によると、当時国際担当理事だった井上四郎は聴き取りに対し、「(外国為替)市場閉鎖をするとこういう難しい問題が起きると詳しく説明したが、その場で反対論を述べた人はいなかった」と断言した。

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西野智彦の金融取材ファイル:スタンダードプラン

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