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軽部謙介さんの「人事と権力」

私が金融財政政策の事後検証を始めたのは、30年近く前のことだ。
 
1995年春、日銀は公定歩合操作よりも市場金利誘導を重視する現行スタイルの金融政策運営に初めてトライした。だが、当時はその政策意図について市場やマスコミの理解が得られず、わずか数週間で公定歩合の引き下げに追い込まれてしまった。
 
当時まだ通信社にいた私は、日銀にしては珍しい「trial & error」に興味を持ち、多くの関係者から「後日談」を聞いて回った。そうしてまとめた長めの記事が、今思えば最初の政策検証だったように思う。果てしなく続く速報合戦に疲れと虚しさを覚えていた頃でもあり、滅多に報じられることのない日銀マンの「心の内」を知りたいという好奇心に突き動かされたことを覚えている。

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西野智彦の金融取材ファイル:スタンダードプラン

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