現地採用のキャリアを考える
私は現在、東南アジアで現地採用として働いております。
基本的に海外で会社員として働くというのは2パターンとなるのですが、それは現地採用か駐在員となります。
前者は海外の現地で採用された人、後者は日本で採用されて海外に出向してる人。
私はこれまで両方経験してきましたが、どちがら良い悪いという印象は無いのですが、アベレージで見ると総所得は駐在員の方が手当が付く分良いです。(*国によっては稀に現地採用の方が良い場合も有る)
この記事では、海外で働く生活レベルの実態も含め、あくまで”キャリア”という視点を重きにおいて”現地採用”をみてみましょう。
私がこれまで東南アジア3か国で現地ビジネスをしてきた視点から、正直に思ったことを書きます。
① 新卒レベルの若手現地採用だと、将来的にキャリアチェンジで苦労する人が多い傾向にある。
私もこのような人に多く会って来ましたが、これはなぜ起こるかというと、東南アジア(主にタイ・ベトナム・インドネシア)は、日本でほとんど社会経験が無い人でも現地採用で飛び込みやすい市場でもあるのですが、裏を返せばそのレベルでもやっていけるという事です。
つまり、あなたが働く職場の同僚(東南アジア現地の方々)が、グローバルスタンダードのビジネスレベルにもほど遠く、そのレベルがスタンダードになり、当然ながら比較対象経験が無いあなたは、そのゆるーい競争に日本語が話せるというだけのスキルで優遇されながら、そのレベルで仕事をこなす人材になります。
そして、日本人というだけで「マネージャー」等の役職を付けられて、現地のワーカーより良い給与が貰えます。これは、ビザを通すための肩書や形だけなのですが、ここでも無価値なプライドや虚像マネジメント経験を得てしまう傾向があります。
その様な若手人材は、数年たって(そろそろ日本に落ち着こう)と思い転職しようとすると、(ただ海外に居ただけ)の人としての評価しか得られず、第2新卒として振出しのキャリアとなり、おまけに"東南アジアの働き方"が身について、日本の社畜文化や求められるレベルと自分のレベルのギャップに慣れずに、また東南アジアに戻ってくる人も多いです。
このような人材がまだまだ東南アジアには多く、現地採用者が下に見られる原因でもあります。これだともう潰しが効かなくなります。。。
② 特殊なスキルや圧倒的なビジネスレベルが無いと給与の天井は低い
これ、そもそも海外の日系企業がなせ現地採用で人材を確保するのか、事業者目線で考えて頂きたいです。
”人件費コストが安くなるから”
これだけです。
例を挙げると・・・
・飲料メーカーA社のタイ支店では日系小売りへの営業人材が5名必要
・日本本社から5名の営業を連れてくると、1人当たり1000万円(年)必要
・営業駐在員5名で現地タイ法人の年間コストが5000万円も上がる
・タイでは日本で1本150円で売れる飲料も、1本50円でしか売れない。
これだと、とても採算が合わないですよね。
だから、安価で採用できる現地採用者を上記条件で1人5万バーツ(約18万円)とかで現地採用するのです。
しかし、日系が多く進出している東南アジアでも、正直儲かっている企業は本当に一握りです。それでは数年頑張っても、給与の倍々ゲームにはなりません。中には、稀有な人材で現地代表に抜擢されたり、優秀な人は企業側が流出を防ぐために、駐在員雇用に切り替えたりするケースもあるにはありますが、非常に稀です。
私の知っている現地採用者で、給与の天井を破っている人の例を挙げます。
1、営業成績が圧倒的に良い (インセンティブや昇給交渉がしやすい)
2、管理職に昇進もしくは責任者採用 (業績次第で給与が上げられる)
3、オフショア開発企業でブリッジSE(第2言語可)をしていて管理も出来る
という上記のパターンは若くしても、日本より給与が良い傾向にあります。
③ 海外相場がわからない人が、陥りやすい現地採用の罠
① シンガポール勤務・・・年収500万円
② ベトナム勤務・・・年収400万円
これだけ見ると、【シンガポールの方が先進国でグローバルな環境で成長できるし、年収も100万多い!】と思いがちですが、実際にシンガポールで年収500万円というのは最低賃金レベルです。
当然ながら貯金なんて出来ません。家賃もシェアしないと住めません。
そして、シンガポール500万円の現地採用は実際に非常に多いです。なぜなら日本語ができるシンガポール人を500万円程度のはした金で採用出来ないから、安い日本人を採用するのです。
一方でベトナムで400万円なら快適な生活をしても、年間150万円は貯金出来る余裕があります。
私はホーチミン市の中心でタワマン住まいで外食もよくしてますが、毎月の出費は15万円ほどで収まりますので、かなりの額が貯金出来ております。
経験が詰めれば貯金なんて出来なくても良い!なんて人は是非チャレンジ頂きたいですが、現地の物価や所得税を把握してないと実際に現地で生活がカツカツになる人も居ます。
私の知り合いの大手IT系企業の駐在員でも皆口をそろえて言うのが、【シンガポールだけは貯金崩すレベルだったなー】です。
④ 生活環境での精神衛生面を重要視すべき
旅行で訪れるのと、そこで生活してビジネスするのは完全に似て非なる事です。
東南アジアに旅行で来てみて気に入ったから、現地採用で来てる人も多いですが、私もきっかけはこんなレベルでした。
既に東南アジアのカオスに慣れている状態の私でも、年に数回は先進国に行かないと精神衛生が保てないです。
日本で生活していると、あらゆるルールやマナー、法律で自分の快適さが保たれていることは意識しませんが、夜中まで爆音の路上カラオケと早朝から発狂してるバドミントン、常に世界最低レベルの空気汚染、ルールなんて皆無の交通事情、つねにスリに気を付ける路上、あまりに低い民度。
その地で生活をするとなると、このような現実が嫌でも目につきます。
これが自分でも知らぬ間に積もり積もっていきます。
そして、我慢し続けてしまう人は、ある日プツッとキレて耐えられずに帰国していく人も本当に多いです。
私も東南アジア3か国で生活してきたので、その国の新任者によく聞かれる質問で【GENさんが特にこの地で意識している事はなんですか?】という問いに【期待しない事ですね。本当にこれが大事です。隣の同僚、アパートの大家、カフェの店員、タクシードライバー誰にも期待しなければ失望も無いので、ストレス回避できますよ】これ、本当に大事です。
だって、東南アジアの文化レベルで、我々日本人が何かを期待する方が間違っているんです。
言ったことやらない。 すぐ忘れる。 すぐやめる。
これが普通なんです。従って期待しない方が自分の為になります。
⑤ 実力があれば日本にいるよりチャンスは多い
これが一番の魅力だと思います。
現地採用も駐在員も雇用形態は関係ありません。
日本人のアベレージであれば、どんな仕事でもどんな国でも、大体1年あれば要領や習慣は掴めますよね?
それが3年、5年といたら現地の言語が話せたり、情報収集能力やビジネススキルが長けていれば、現地に精通した人として信頼されますし、自分で色々なアイデアが生まれてきます。
そして、日本よりチャレンジのハードルはグッと下がりますので、起業や勤めながら自分で何か始めてみたり出来るのです。
私の知り合いのデザイナーのベトナム人は、就職しながら貯金してカフェ開業して潰しましたが気にもしてません。むしろ、気軽にチャレンジして素晴らしいですし、見習うところでもあります。日本みたいに、チャレンジして失敗したり、成り上がりを妬むような文化は世界には無いです。
ただ、”チャンスは平等にあります”
⑥ 急激な経済成長がその地で体験できる
これも魅力であると思いますが、日本のバブル世代以降の世代は日本の好景気を知らないので、そもそも「景気が良い・悪い」という実感が無いはずです。
私は31歳ですが、東南アジアにいると貧富の格差や建築ラッシュ、購買欲の高さ、日に日にオープンする飲食店やエンタメ施設、急激な昇給、これらを目の当たりにして【景気が良いとか経済成長とか、こーゆー感じなんだなー】とビンビン実感できます。
私も日ごろからビジネス的な視点で物事を見るように意識しているのですが、東南アジアの人たちは基本的に刹那主義であまり細かな計画を立ててから行動しません。
その為に粗があり、失敗もするのですが、実行までのスピードは日本より圧倒的にあります。
そこに細かな計画やリスクヘッジを測っていたら上手くいっただろなー。とか、色々と日常で改善点が見えてくるのですが、これがビジネスチャンスに繋がるのだと思います。
日本である程度のキャリアを積んでから挑戦するか、若くても勢いで飛び込んでみるか、どちらが良いかは判断がつきませんが、せっかくのチャレンジで成功の確度を高める為にも、最低限の事前に考慮すべきリストは抑えておきたいですね。
最近では、現地採用者が増えてきているので、良い競争が出てきていますが、レベルの高い人が増えるとそれだけビジネスも市場も広がるので、日本人の国際市場での人材の流動性が広がって、日本人が世界で当たり前のように活躍するようになっていけるように、私もチャレンジし続けたいです。
P.S. 皆さん、日本人は良くも悪くも真面目なので、我慢しすぎますが、東南アジアにいるとサクッと手ごろに週末旅行ビーチリゾートに行けるので、息抜きしながら楽しく生きて仕事しましょうよ。
あなが会社休んだって、誰も死にやしませんよ!!w
私なんか、全日出張の体で仕事3日、ビーチリゾート6日とか勝手にやってます。
#現地採用 #東南アジア #キャリア #駐在員 #海外 #ビジネス #仕事