それでも現地採用で就職しますか?
私は駐在員と現地採用の両方を経験してきましたが、現在の雇用形態は現地採用となります。
最近は海外でのキャリアに挑戦する若い人が増えてきたと感じます。
とても良い事ではありますが、安易に勢いで現地採用となって後悔する人も多いと思うので、現地採用のリアルを書いてみたいと思います。
1、給与水準と将来的な上昇幅
”世の中金じゃない”と思いたいですが、現実は金が無いと何もできなくなりますし、私も経験があるのですが精神的なゆとりが持てないです。
特に新卒から~3年位のキャリアの方々は、日本でも給与水準が高く無い為に、【現地採用でも、1,000ドル~1,300ドルなら物価安いし、節約すれば日本と変わらない生活水準が保てるし、チャレンジしよう!!】と思ったりするものですが、これで貯金は非常に難しい上に、生活上の行動範囲が狭まり、更に将来的な給与にも大きく影響します。
例えば現在、実際に出ているキャリアが浅くても応募できるベトナムの現地採用の求人を見てみましょう。
①会計事務所
これは東南アジアの現地採用で多くあるポジションですね。大概は大手の会計事務所の雑務的なポジションで、既に務めている日本人マネージャーのサポート業務がメインの業務となります。
上限2500ドルですが、ある程度の経験とキャリアがある人でこの給与貰えたらラッキーとお考えください。(*募集を促すために給与上限は高くするのが普通です。)
次はスキルが無いと務まらないWEB開発者です。これで1500ドルというクソ低い水準に私は驚きましたが。。
私はベトナムのオフショア開発企業やWEB系の企業とも付き合いがあるので、日本人社長の給与水準から現場のベトナム人開発人材の給与等も知ってますが、上記のタスクがこなせるベトナム人であれば2500~~3000ドルは払わないと採用すら出来ないです。
どれだけ現地採用で日本人を安く使おうとしているかわかりますね。
Q, でも業績が上がれば給与だって大幅に上がる可能性あるでしょ?
A, 採用時にそう言うのが採用側の言い分ですが、普通に考えて1500ドルで採用したのに、いきなり2000から3000ドルになるわけが無いです。これはシンプルに安く採用したメリットが無くなる為です。
若いうちの経験だから給与は低くてもいい!!”という気持ちはわかります。
でもベトナムで1500ドルで2年働いて、日本人のアシスタント雑務やってました。
これで仮に日本で再就職する時に日本のHRに売り込めるポイントはありますか?
日本で30万円貰えるだけのスキルや実績を詰めると思いますか?
② 日本語教師
教師というのは教育上必須の人材です。しかし、世界において(特に東南アジア)需要がある日本語教師は現地採用の中でも最低レベルの給与水準です。
よく考えてください、2人の教師がいます。1名は評判が悪いが、1名は評判が良い教師です。しかし、この2名の教師は売り上げへの貢献度はほぼ同じです。教師が評判が良くても対人ビジネスで100名の生徒を同時に指導できませんよね?
となればこの業種自体が多店舗展開以外に大幅な業績UPを見込む事が難しい為に、必然的にコストとなる給与は低くなりますね。
③人材紹介会社の名ばかりコンサルタント
これもタイやベトナムでも多いですね。まさに採用されて、採用する側の仕事になりますが、この業界は間口が広く”来るもの拒まず”的な会社が多いので、正直誰でも就職できると思います。(笑)
ただし、間口が広いという事は給与は低くなります。
タイやベトナムで額面12万円前後~となります。
④ テレアポ・飛び込みの営業
これもサービス系の業種で多いですが、基本的にB2Bの法人向け営業です。
海外の現地に着いたら、まず自社サービスの研修を行いすぐに新規顧客リストの収集作の業をして、ひたすらテレアポか勝手に訪問して営業を仕掛けますが、一番嫌がられる職業です。
私もたまに保険やら人材会社から、たどたどしい感が半端ない女の子とかから「とりあえずご挨拶に伺わせて・・・・」と電話きますが、100%断り、2回目の電話を受けたときは警告を出します。(笑)
これも15万円とかの給与でやるんです。私にはできません。。
Q, 給与が高い求人だってあるじゃないか!!
A, はい、あります。でもオジさん向けの工場長とかですが、、あとは現地法人の拠点長とかですね。
ただし、あなたが早朝からバスでベトナム人工場員と共に通勤2時間かけて、周りに何もない田舎の工業団地で、ベトナム語しか通じない労働者達と日本人のオジさんとやっていけるならですが。。。
これであれば、20万円とかはサポート業務のポジションでも貰えますね。
⑤ 業績責任を負わされる拠点長
このような現地法人の拠点長・社長ポジションは入れ替わりが激しい傾向にあります。まさに私のポジションです。
これは、責任を一手に負わされる傾向にあるので、【成果が出ないor日本側と揉める】のどちらかで辞めるのが大半と思います。。
私の会社のグループでもこんな事を繰り返しております。(笑)
ただ、もしこのポジションで成果を出せる自信があるなら、将来的に大幅に給与UPの可能性もあります!!
私はこのポジションで入社して最初の2年間の給与は月4,000ドルで13ヵ月至急となり、日本円での年収は約570万円位です。
他の記事に書きましたが、来年以降は800万~1000万位になる予定です。
ただ、これは本当に稀なケースです。
もし、あなたがまだ20代中盤までで海外でのキャリアを経験してみたいなら、その後のキャリアに繋がるポジションと最低限の死守すべき給与水準を考えた上で現地採用にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
給与と手当だけを優先するならメーカーの駐在員が1番手厚いです。普通に日本でもらう総額の3倍位になります。
あとはベトナムを開発拠点として機能させているIT系企業でブリッジSE的なポジションで駐在したりするのも給与的にもキャリアを考慮しても良い選択かと思います。
貴方がベトナムで1500ドルの額面給与で手取り1200ドルとしましょう。
・家賃350ドル(現地採用者が多いエリアのローカルアパート)
・食費200ドル(基本的にローカル食事)
・Wifi/携帯通信費50ドル
・交通費50ドル
・交際費200ドル
・雑費100ドル
・貯蓄250ドル
基本的にローカルに近い質素な生活でこんな感じです。
これまで、フィリピン・タイ・ベトナムで潰しがきかない様な若手現地採用を何人も見てきました。
良いように安く使われて、抜け出せなくなる人も多いので、こういうキャリアを歩んでほしくないという思いからこの記事を書いてみました。
質問があれば、コメント欄にてお答えいたします
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