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小説NO.2

タイトル: 「仮面の街」

プロローグ
夜、霧が立ち込める街。街灯の明かりがぼんやりと照らす中、一軒の高層ビルが異様な存在感を放っていた。最上階の一室では、3人の男が緊張した面持ちで向き合っている。
その部屋に入ってきたのは、仮面をかぶった男だった。男は静かに歩み寄り、椅子に腰を下ろすと、静かな声で言った。
「君たちは過去の誤りを清算するために集められた。」
その瞬間、突然、床を蹴る音が響き、ひとりの男が倒れる。頭部に致命的な一撃を受けたその男は、無抵抗に息を引き取った。部屋の中は一瞬で凍りつき、残された二人は息を呑んだ。
「何が起きた?」と、まだ動揺している男が声を漏らす。
仮面の男は静かに言った。「君たちはもう、この街の支配者となることを選んだ。だがその代償は、あまりに大きすぎる。」

第一章 - 仮面の街
舞台は、地方都市にある名門高校。佐藤美月(さとう みづき)は二年生の学生で、長年抱えてきた深い闇を秘めている。彼女の家族は数年前に突然行方不明になり、警察は捜査を続けたが、結局何も明らかにはならなかった。家族の失踪事件は未解決のままで、彼女の心には謎の煙が残っていた。
美月が受け取った手紙には、「君は選ばれた者だ。私たちと共に真実を解き明かせ。」とだけ書かれていた。送り主は分からないが、彼女の心に不安が広がった。手紙の封筒には、赤い紐で封がされており、何故か彼女はそれを破ることをためらうことなく開けてしまった。
手紙の内容は、未知の人物が彼女に真実を教え、家族の失踪を解決する手助けをすると書かれていた。美月はその手紙に引き寄せられるように、サークルの活動に参加する決心をする。

第二章 - 仮面の中身
美月は秘密のサークルの集会に足を踏み入れる。そこにいるのは、皆一様に冷徹な目を持った者たちばかりだ。リーダーは仮面をかぶり、誰一人としてその顔を見たことがない。リーダーは無言で、ただ静かにメンバーたちを見守っていた。
美月はそこで何度も奇怪な出来事を目撃する。あるメンバーが突然、目を見開き、心の中の恐怖を口に出すことなくそのまま失踪してしまう。その後、残されたメンバーたちは、彼の姿を見たという証言を一切しない。何も語らない、ただ無言で活動を続ける者たち。
美月はリーダーの顔を見たくて仕方なかったが、サークルの中でその顔を目にした者はほとんどいなかった。しかし、サークルの一員である彼女の友人、藤井真希(ふじい まき)から奇妙な情報を聞く。藤井もまた家族を失った者であり、サークル内で誰もが知らない秘密を知っていると告げる。
藤井は、サークルの最も深いところに入ることで、家族の失踪事件が単なる偶然ではないことを確信していた。そして、次に起きたのは、リーダーの動きだ。仮面をかぶったリーダーは、美月の存在を察知し、彼女がサークルに与える影響を恐れ始める。

第三章 - 失われた証拠
美月は藤井と共に、リーダーの過去を探り始める。偶然手に入れた一冊の古びた日記には、彼女の父親、佐藤亮一(さとう りょういち)の名前が記されていた。驚愕した美月は、父親がサークルの創設メンバーであり、その活動に深く関わっていたことを知る。
日記の内容には、「儀式」と呼ばれるものが記されており、これは人間の精神を支配し、魂を吸収するための儀式であることが分かる。だが、その儀式には重大な副作用があり、実際に行った者たちが精神的に破壊されていく様子も記録されていた。
美月はその情報を追い求めるうちに、父親がサークルの中で行ったとされる「実験」の一部に触れた。それは、美月が想像していたよりも遥かに恐ろしいもので、父親が恐怖と絶望に満ちた世界に追い込まれていたことを示していた。
そして、ついに美月はリーダーの正体を知ることになる。それは、まさに父親、佐藤亮一であった。

クライマックス - 仮面の裏側
美月は父親と対面し、長い間抱えてきた疑問をぶつける。
「どうして私たちをこんな目に合わせたの?」美月の声は震え、涙がこぼれ落ちた。
父親は無言で答えることなく、ただ静かにその目を閉じていた。美月はその沈黙の中に答えを求め、怒りを抱えて父親に迫った。
「お前がしたことは、全てを壊すだけだ!どうしてこんな恐ろしいことをしたんだ?」
佐藤亮一はついに言葉を発した。「すべては、君を守るためだ。君を、母を、守るために。この力を手に入れることで、私は全てを支配できると思った。しかし、力に頼ることが最も恐ろしいことだと気づいた。」
美月は震えながらも父親を見つめ、その目に宿る後悔を読み取る。父親は、どんなに力を手に入れても、何一つ守ることはできなかったと痛感していた。
その瞬間、リーダーは自ら命を絶った。美月はその決断を見守り、そして涙を流した。
「私の父は、もう二度と戻らない。だが、彼が最後に伝えたかったことを、私は忘れない。」

エピローグ - 仮面を外した後
事件は解決し、美月はようやく自分の過去と向き合うことができた。彼女は、父親が選んだ道が最も辛いものであり、結局その結果としてすべてを失ったことを痛感する。しかし、それを乗り越えることで美月は成長し、仮面をかぶっていた自分を解放することができた。
「仮面を外すことで、私はもっと強くなる。」美月は自分の未来を見つめ、足元をしっかりと踏みしめる。
だが、物語の最後、美月は再び街を歩いていると、どこかで見覚えのある影を見つける。それは、父親が生きていたころに見た姿に似ていた。しかし、顔をよく見ると、それは完全に異なる人物だった。
彼女の心に、再び新たな謎が芽生え始めていた。



いかがでしたでしょうか♪またいろんな小説などを上げていこうと思うのでこれからもよろしくお願いします🙇🙇
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