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ゲーム感想5「逆転裁判123 成歩堂セレクション」

ネタバレあり

ミリしらとまではいかないけど本当に触れたことなかった「逆転裁判」、遊んでみたらガチで面白くてぶっ通しで遊んでしまった。

逆転という言葉に対してそんな深い意味があると思っていなかったが、プレイしてみたら至る所で『逆転』が起きていた。法廷の勝敗の逆転、展開の逆転、発想の逆転……弁護人と検事も逆転したりなんだったり。

以下各作品の感想。

逆転裁判 蘇る逆転

ゲームシステム

「異議あり!」しか知らんのでどういうゲームなのかと思ったら、結構しっかりとした推理アドベンチャーだった。いやこの系統のゲームそこまで遊ばないからしっかりとした、なんて判断がつくかどうかはわからんが。

こういうゲームは「考えた結果は合ってるのに選択肢の意図を汲めず間違える」みたいなのがストレス要因なんだけど、このゲームはあまりそれを感じないのが一番気に入ったところ。
体力が可視化されてるからなのか、シナリオの程よいリアリティのなさのおかげか。
そもそも筋道がわかりやすく示されてるから「選択肢の意図を汲めず間違える」ことが起きにくいというのはある。難易度的にはそんなに高くないんじゃないかな。気持ち良く指摘して、期待通りの反応を得られるゲーム。
(2、3をプレイして、やっぱり難易度が一番の理由だなと思うのであった)

成歩堂もとりあえずハッタリをかますスタイルなのがゲーム内でも描かれているので、プレイヤーも毎回神経質に答えを長考しなくて良い。

5話目の「蘇る逆転」で出てきた新要素も順当な進化という感じで好き。

あと裁判のときの立ち絵が良いよね。まるでテレビ放送されるアニメのような感覚で観れるというか。飽きさせない工夫を感じる。

シナリオ

ゲームシステム面白いな~と遊んでたらシナリオにも引き込まれてもう大変。巧舟さんのゲーム、ゴーストトリックは遊んだことあるんですがそれと似た感覚だった。

千尋さんがヒロインかと思ったら不穏なモノローグの後すぐに次の被害者になってビックリ。しかも新(真?)ヒロインが霊媒師で千尋さんを乗り移らせるというのにさらに驚き。
ここで一気にリアリティラインが低そうな作品だとわかるので……まあ一話目のヤッパリくんも相当惚けたやつだったが……「現実の弁護士ってこんなこともするのか?」みたいな疑問を持たずゆるくストーリーを楽しめる。緩いけど深刻さもある。何もかもふざけているわけではなく、肝心なところはシリアス。

最初はただの敵だと思っていた御剣検事、3話ですでに抜けてる部分や弁護人をただ否定するだけではない面を見せて、もしかして良い奴? 感を出した次の4話で被告人になるというスピード感。
しかもその後出てくる衝撃の事実、成歩堂が弁護士になった理由は実は御剣検事だった!
ええなにそれ知らん……。そんな重たい感傷知らんて。

プレイヤーを置いて見知った敵キャラへの重大な因縁を語られて、成歩堂という人物が一気に一人のキャラクターとして成立した。
元々、最初からそういうところはあったけど。裁判のときの立ち絵でもうすごいキャラ立ちしてるし、プレイヤーが選択した答えに対して、成歩堂も彼自身の言葉で納得いく説明をしてくれるので。

御剣が被疑者となることで糸鋸刑事にも一気に親近感湧く。最初のころは1話限りの嫌なモブ刑事かと思っていたが。キャラの印象も逆転しちゃった。


第4話で終わりかと思ったらすんごい長い第5話が始まったのも笑った。DS版の追加要素だから次回作以降の伏線も張られていそうな感じ。ミツルギはまたしても不憫。

5話は逆転の連続でとても面白かったが、それはそうとガント局長が元々善人だったというのが信じられないぐらい化け物級の悪人になってるのよな。狩魔検事も相当だったが……憎しみ由来の狩魔よりぶっ飛んでると個人的には思う。まあガント局長にも色々あったんだろうけどさ。
青影とザイモンが気絶してるところに最初に出くわして、「このザイモンをまず殺して……その罪を茜になすりつけ……更に最終的に青影の犯行に仕向けさせ……」ってなる男だぞ。何が彼をここまでの化け物にしたんだ。


異議ありラッシュめっちゃ好き。4話では御剣が被告人だから見れなかった、成歩堂と協力して真実を追究する姿勢は見ててニヤニヤした。目的が「被告人を追い詰め有罪とする」ことではなく、「手段として被告人を追い詰め、最終的に真実を明らかにする」ことになっているのが良い。

「ここは、《真実》をアキラカにする場なのだッ!」

逆転裁判 蘇る逆転 第5話 

御剣は検察としての仕事は果たしてはいたが、その先にあるかもしれない真実には踏み込まずにいた。その彼がこんな啖呵を切るのは熱いよねぇ!

SL9号事件で、仕方なかったとはいえ御剣は偽装された証拠を利用して法廷で勝利を得たことは事実。その責任を自分で背負い、今回の裁判ではせめて『真実』を明らかにしようという姿勢は真摯で応援できる。

いや本当に面白いゲームだった。ネタバレ皆無で遊べてよかったな。


逆転裁判2

ゲームシステム

蘇る逆転より難易度が上がって、「確定的根拠を選択する」「とりあえず裁判を終わらせないようにする」ことだけ考えれば良いわけでは無くなった。
前作では殆ど触れなかったセーブ&ロードも使用する必要が出てきたし、キャラクターの証言や事件概要を覚えて「不確定要素の推測」「順序立てた根拠の提出の徹底」「弁護士側の視点の一貫」も怠ってはいけない。
前作は推理ゲーでありながらあまり考える必要が無かったが、今作はそういった気持ち良さだけ追い求めたゲームでは無い……ような印象。普通に長考したからな今回は。
難易度上昇と理不尽要素は紙一重と個人的には思っているけれど、これは二作目だから多少そういった要素があってもいいかな。
ゲームタイトルを好きになってしまえばストレス要素も楽しめるように体が作り替えられてしまうので。

本作はアドベンチャーパートにも「サイコ・ロック」なる体力を消費するかもしれない戦闘要素的なやつが増えた。
ここで正解すると体力が回復するのは救済要素っぽい。

シナリオ

御剣検事、蘇る逆転のすぐ後にいなくなってしまったらしい。
その失踪がどういう理由で起きて、そこに対して成歩堂がどう思ったのかについては自分の感覚とズレがあったが、(正当なソースじゃないけど)Wikipedia的には逆裁に続編の想定は無かったみたいだから仕方ない部分があるか。まああとで頭の中を整理しておこう。

勾玉はゲーム的にはともかくシナリオ的には流石にフェアじゃないような気もするけど、それを言い出したら復活の千尋さんの時点で相当だったな。成歩堂が勝ち続ける理由は才能も勿論あるもののオカルト系も取り入れたほうが説得力あるし。気にするほどのことでもないか。

何といっても第4話、依頼人が犯人だったというのもそれってアリなんだと驚いたし、そこで無罪判決を取らないと真宵の命が危ないということでめっちゃ葛藤を強いられる展開も予想外。
蘇る逆転の「仲間」の話は今作の真宵救出作戦にかかってるのかな? あっちで一人じゃない云々言われてたのは御剣だけど。

前回葛藤していたのは御剣だったが、今回は逆転して成歩堂が苦しい立場に。

「証人のウソを見抜いて、真実を見つける…
それが、ボクのシゴトです!」

逆転裁判2    

《真実》については1作目の追加エピソードだと少し触れられていたとはいえ、弁護士の意味については前作のストーリー内で主題とは言えなかった。だって弁護士になった理由が「御剣に会う」ためだったし。
今作はそこをうまいことフォローして、成歩堂と職業としての弁護士の関係性を深堀した納得感のある続編となっていた。


逆転裁判3

ゲームシステム

1の簡単さまではいかずとも、2の難易度よりは下がったと思う。
フラグ建てにミスすることはあるけど2の「えっ急にそんなことを申されましても」感はそこまでない。多分。

シナリオ

もうマンネリかなと思いきや逆転のパターンが豊富で感心する。
窃盗事件かと思いきや殺人事件だったり、偽成歩堂が現れたり……。

まさかの千尋さん新人時代、被告人は成歩堂から始まるチュートリアルの第1話。成歩堂お前お惚けにもほどがある……しかももう弁護士目指してる最中。
始まり方からして今作は過去編で占めるのかなと思ったが、2話目からは通常時間軸に戻った。でも1話目が過去編だったのは意味があるのであった。

プレイ後に振り返ってみると、3作目は千尋さんの因縁の話だったな。
「後から明かされる事実」で最初から遊びなおしたくなる構図は1作目と同じ。ミステリーとして1本筋がきっちり通った構成してた。

衝撃の第5話、なんと御剣視点で話が進む部分がある。まさかそこも逆転すると思わんやん!?
アヤメさんは……チナミにしか見えないが、御剣・成歩堂は彼女を弁護することになる。

かつての「チナミ」の所業を見せたうえでの弁護。プレイヤーはこの女性を信じることができるのか?

というか。借り物のバッジで弁護人として出廷していいのか……。御剣が弁護をするのも法廷で狩魔冥と対決するのも禁じ手だなあと思うけど、シリーズ3作目で世界観が固まってるからこそのおいしい展開なのだなあ。
逆転のテーマ(と、勝手に呼んでいるBGM)(本当のタイトルは『成歩堂龍一~異議あり!2001』)が御剣のターンで流れるの熱すぎ。御剣が弁護人と呼ばれてるのにやける。御剣にとっての弁護士像、今や父でも生倉弁護士よりも先に成歩堂が出てくるのだろう。
七支刀というエダわかれした人生をあらわす刀が事件の中心にある中で、「御剣弁護士」が出てくることの妙よ。

七支刀は家元争いやチナミとアヤメ、ゴドー……色々と結びつけて考えられる。

検事は今後のシリーズのレギュラーになるという思い込みがあるせいで「えっお前、えっ……?」みたいなことになりがちなんですけど、もう何作品やっても慣れないのかもしれない。

まとめ

本当に面白いゲームだった。食わず嫌いはいかんな本当に。
個人的に一番好きなのは一作目です。
「主人公への印象の土台を揺るがす」要素に弱い。まあ他にもいろいろ理由はあるけど一作目の傷が一番深い。

成歩堂と御剣については整理したい部分があるからここではカット。

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