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【由美子ルート】「グリザイアの果実」をプレイしました

こんにちは、たくやです。

グリザイアの果実をプレイしているので全ルートやったら感想をしたためようかなと思ってメモをしていたのですが、一人一人の内容が多くなってしまいそうなので小出しにしたいと思います。
「グリザイアの果実」、由美子ルートのネタバレ注意です。


この画像めちゃくちゃかっこいいのに作中で出番なかったの残念…。

由美子ルートをクリアした直後の私です。こんにちは。

由美子ルート、全体的に良くまとまっていたと思います。
一応デフォルトのシステムボイスだったり、スタッフロールの提示順なんかをみると、一応由美子がメインヒロインというか力が入っているヒロインなのかなと思いました。実際に色々と頑張っていたと思います。

由美子ルート全体を通してのざっくり感想

東浜ホールディングスの跡取りとして望まない生を受けた由美子は、幼い頃からのネグレクトや母の死、父の裏切りを受けて自分の価値や存在を肯定することができなかった…というようなストーリーラインでした。

キャラデザの話をすると、こんなの俺が許しても西尾維新が許さないだろ…。って感じの造形だと思っていたんですが、デザイン原案は化物語の方と同じだそうですね。それならいい…のか…?

由美子自体の第一印象としては深窓の令嬢といったような、他者とのかかわりを避けてお高く留まっているキャラなのかなと思っていたのですが、実際はフィクションっぽさを感じるほど孤立している感じでもなかったですね。
他のルートでは色々と協力してくれたり、日常パートの雑談にも混ざってくれたりと、実際にいそうなレベルのコミュニケーション避け具合でリアリティがありました。

加えていつでも無感情・無関心というわけでもなく、表れにくいだけで喜怒哀楽ははっきりと表現されていましたし、プライベートの部分としてネットサーフィンやジャンクな食生活なども描かれていて、フィクションのクールキャラにしては人間味にあふれていて良かったと思います。

他のキャラの場合は作中で会話のシーンが多かったのに対して由美子はあまり多くなかったので、個別ルートに入ってもそんなに思い入れがないよなぁ…。と思っていました。

しかし共通ルートでもちょくちょく印象的なイベントがありましたし、飛行機からの救出以降は本当にドン引きするほどデレッデレになってたので、結構キャラは立ってたように思えます。
実際ツンデレキャラを演じていたみちるよりもよっぽどクーデレしてましたよ…。

誰だお前…

シナリオ全体の展開で行くと、個人的にはそれほど尖っている点もなくキャラの心情の掘り下げを十分に行ったうえで分かりやすいクライマックスシーン(遊園地のシーン)も設定されており、それでいてキャラも立っていたのでクセがなく読みやすいストーリーだったと思います。

ただみちるルートの展開・エンディングだったり天音ルートの激長激面白登場人物盛り盛り過去編とかに比べるとおとなしかったといった印象も正直あります。
みちるルートはダブルエンディング、天音ルートは死までをシナリオで描く、マキナルートはGOOD・BADどちらもエンディングが流れる上にどちらも若干ビターエンドといったように、他のルートは意外性のあるギミックが隠れていたように思います。幸はキャラがかわいい。

一方で由美子はあんまりそういうのはなかったですね、これを王道で読みやすいと取るか、面白みがないと取るかは人それぞれかと思います。話の壮大さ的にもマキナルートに食われてる印象がありましたしね…。

だからまあ最初に攻略するという意味ではかなり読みやすく、雄二の心情や由美子の心情も丁寧に描かれているという意味でおすすめだと思います。


個人的には二人で共同生活を行っていくシーンなんかはかなり読んでいても楽しかったですね。好きなシチュエーションというのもあるんですが、由美子自身の態度の好意的な変化やその中にある素朴さ、生活の中で見え隠れする綻びがだんだんと大きくなっていく流れは結構よくできているようにも思います。

由美子が家事に失敗して落ち込むシーンから居場所の特定につながるシーンとかは見る人によっては好みが分かれそうだなぁとも思いましたが、個人的には嫌いじゃなかったです。
実際に生活の中で心が折れる瞬間としてリアリティがありましたし、それによって雄二の力にはなれず足を引っ張ってしまったという流れにもつながっています。ただ由美子の独断のせいで居場所がばれてしまったという展開はう~んって感じで、読んでいて素直に呑み込めなかったところがあります。

過去と未来の連続性に関する問題

展開上の気になったところを上げるとすると、一番は過去と現在の繋がりがいまいち見えてこなかった点かなと思います。

「どこにも居場所がなく、私には生きている価値なんてない」というのがざっくりとした由美子の抱えている問題なのですが、その感じが日常パートからは読み取りづらかったと感じました。

食生活なり夜更かしなりでなんとなくセルフネグレクト的な雰囲気はありましたが、むしろ個人的には勉強頑張って本も読んで文化人だなぁと思っているくらいでしたね。

要するに、過去のエピソードでの出来事と現代の由美子像との関連性が見出しづらかったように思いました。
例えば幸や天音は異常な行動があって(他人に対して過度に従順、雄二をすぐに好きになった)、それに対応する納得のエピソードがありましたが、それが由美子にははっきりとなかったかなぁと思いました。

例えば、過去に伏線があって現代の由美子にも関係するシンボルと言えば、絵やカッターなどが挙げられるかなと思います。
確かに実際に絵を描くシーンやカッターを取り出すシーンは多くありましたが、それが過去の描写と密接につながっていたかというと疑問が残ります。

例えば「絵」に関してですが、そもそも過去のストーリー上では由美子の心情や状況を説明するメタファーとしての役割が多かったですね。空を描き続けているだったり、それがだんだんと下の方の景色も入りだしたり。

一方で現代の話では、絵を描いていて非常に上手いといった情報は入ってきますが、それ以上の描写はあまりなかったように感じます。

もちろん昔から絵を描いていたということ自体は過去とのつながりではありますが、例えば「彼女にとって絵を描くとはどういうことなのか」「彼女は絵を描くときに何を考えているのか」といった、行動に起因するパーソナリティの掘り下げやメタファーの設定があれば、単なる継続的な趣味以上の意味が生まれたのではないかと思います。

また「カッター」に関しても彼女が過去の関係性やしがらみを「断ち切る」存在として描かれていましたが、正直日常パートでは由美子の怒りや暴力性のようなものを表現する以上の意味合いは見いだせなかったです…。

それと最後まで見た上で、序盤で雄二に対してカッターを向けてきた理由はよくわかんなかったですね…。いやもちろん外敵に対する攻撃ではあるんですが…。

前述のように由美子(というかグリザイアの果実全般のキャラ造形)はかなり人間味があるというかリアリティがあるように感じます。

だから相手に怪我を負わす可能性が高い選択肢を簡単に取るほど異常じゃないだろうし、また親が揉み消してくれるとは思っているわけがないだろうしといった感じで、あんまり動機なり心の動きなりがはっきり見えてこなかったですね。

あとは余談ですが、榊父の改心という展開もまあ賛否あるだろうな…と思いながら読んでました…。

過去編を通じて「場面や状況で人の態度は大きく変わる」というのは一貫したメッセージになっていたのでまあ展開としては分からなくはないです。

ただまあその展開をするなら榊父のヘイト管理をもう少しうまくした方が良かったんじゃない…?とも思ってました。実際に由美子の母を実質的に殺して由美子の主体的な人生も終わらせようとしていたのでね…。

自分はそんなに嫌いな展開でもなかったですが、榊父の行動なりキャラ設定なりはもう少し工夫の余地があったようにも思います。
個人的に気になったのは、主体性がほとんどなく会社を大きくすることだけを考えているはずなのにわざわざ体の弱い妻を選んだところとか、女に社長は継げないとかいう男尊女卑観を持ってる割に、浮気相手との子がダメだと知ると由美子にいつまでも執着していたりとかですかねぇ…。

ここ辺りをうまく工夫すれば由美子への隠れた愛情だったり榊父の悲しい生い立ちだったりについて後付けの印象が薄れるかなと思いました。正直マキナ母の方がキャラ立ってたと思います。

何だこのシーン…

若干短めですがこれで終わりにしたいと思います、またこれでグリザイアの果実の全ルート攻略完了ということになりました。続編も機会があればやりたいです!
一応全体総括の記事も書きたいのですが、そちらは時間があれば…という感じにしたいと思います。気持ち的にはぜひ書きたい…!

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