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行政書士として独立開業して良かったこと④~仕事の選択編~
「やりたくない仕事はやらなくてイイ」。
独立開業すると、こんなイイことが待っている!
ここで、少し誤解しないでいただきたいのが、「お客さんを好き嫌いで選んでいい」という訳ではない。
たとえば、キライなお客さんの仕事を受けなくていいか?と言われるとそうではない。
行政書士を含め、士業には、まず大前提として、「来た依頼は受ける」というものがある。
これは、士業の仕事は専門性や社会貢献性が高いため、みんなが好きキライでお客さんを選んでいると、誰にも依頼できない人ができてしまうからだ。
たとえば、建設業をやりたい人が、自分で許可を得るのは難しいと考えたときに、行政書士がその日の気分で受任するしないを決めていると、その人の社会生活に支障をきたしてしまう。
行政書士の職務基本規則第29条にも、「行政書士は正当な事由がある場合でなければ、依頼を拒むことができない」とある。
つまり、基本的に、来た依頼は断れない。
正当な事由とは、たとえば行政書士側の体調不良であったり、多忙により申請時期が遅れるためといったものがある。
やむを得ない場合のみ、断っていいことになっている。
もちろん、受任にあたり、依頼者が虚偽の申請をしているなど、疑わしい場合は受任を拒否しないといけない。(同規則31条)
私が言いたいのは、「やりたくない仕事」=「お客さんの選別」ではなく、勤めだと避けて通れないような、やりたくない仕事のことだ。
なにが「やりたくないか」は、人によると思うのだが、たとえば、人前で話したり、発表するのは、緊張するからイヤだなーと思う人がいるとする。
会社勤めだと、「苦手なんでパスで(笑)」と言える場合と言えない場合がある。
これが、行政書士として独立すると、「はい、パス!!」と言えるのだ。
(言えない場合もあるかもしれないが、基本的にはやらなくていいし、まわりも各自の主体性を尊重してくれる)
イヤなら、セミナー講師とかわざわざやらなくていい。
私は普段、仕事中に車で移動することが多い。
ドライブ自体は好きなのだが、あまりスピードを出したり、高速道路のように、まわりの車がビュンビュン追い抜いていく中、走るのは苦手だ。
あと、3~4車線のごちゃごちゃした街中も苦手だ。タクシーとか怖いし。
以前、知り合いの同業者から、隣の県の業務依頼があった。
しかし、私はこの依頼を正当な事由で断った。
これまたありがたい話なのだが、同業者同士で仕事を依頼し合うとき、断る理由は特に言う必要がない。
「申し訳ないですが、対応できません」の一言で済む。
相手は別の人を探せばいいだけだからだ。
私がこの依頼を断った理由は、「高い橋の上を車で渡りたくない」からだ。
他県に行くには、途中に高い橋がある。(高速ではないけど)
「正当な事由?」と思われるかもしれないが、私には大問題なのだ。
ちなみに、この高い橋を渡る案件を私は2回断っている。
(そのあと、別の人からも別の案件で隣の県の依頼があった)
お勤めなら、「高い橋がこわいので」とは、とても言い出せない。
他にも、お金のこと、たとえば細々としたお金の管理や経理関係は、やりたくなければ税理士さんに丸投げするという手もある。
電話対応が苦手だったり、人見知りで初対面の人と話したくないのであれば、紹介オンリーしか仕事を受けないという手もある。
ホームページを出さなければ、知らないお客さんから急に問い合わせがくることはほとんどない。
経営者なので、どうしも避けて通れない仕事というのもあるが、事務所の方針は自分で決めれるので、自分がやりたくない仕事はとことん逃げれる。
お客さんありきの仕事なので、人とのコミュニケーションはどうしても発生するが、自分が気が合いそう!と思った人だけを雇って、他者とのやりとりを最低限にすることもできる。
この「選択できる」のが独立開業したメリットだと思う。