種まき⑩子どもが集まる会社へ#16:84歳社長が死んだら終わる会社
就職先は地方の家族経営の町工場。84歳社長が全てを取り仕切っている。
社長が死んだら、どうなるか誰にも分からない。
今後やっていきたい種まきを紹介していく。
10個目:子どもが自由に集まれる場所を作りたい
子どもの居場所を会社に作りたい
種まきと言いながら、実際に動くのはかなり先になると思う。
会社の2階と3階に広い空きスペースがある。ここを上手く活用したい。
まず、思いつくのは、子どもが自由に出入りできる場所。
小学生から大学生くらいが平日の昼間、自由に来れる場所。
学校とかフリースクールとかは名乗らない。お金も取らない。それをすると、親が余計な期待をするから。責任も生じる。
図書館とか自習スペースとか、そんな感じ。先生もスタッフも居ない。ネットには繋がる環境だけは用意する。あとは必要に応じて作っていく。
本当に大人が誰もいないと、困ることもあるだろうから、スペースの一角を事務所にして、僕と、希望する社員がいれば、そこで仕事をする。子どもたちの面倒を見る人ではない。
最低限の登録だけはいると思うけど、子どもたちが勝手に来て、勝手に帰っていく。そんな場所にしたい。
学校以外の居場所が必要
平日に来るということは、学校へ通っていない子。
諸々の事情で、学校に行きたくても行けない子もいいけど、
自分の意志で学校に行きたくない子が集まれる場所が有ったらいい。
時代は変わり、親も学校が良いとは思わないけど、学校以外の場所がないから、仕方がなく通わせている場合も多い。
学校よりも、質の高い、自分に合った授業はネット上でいくらでもある。
感覚的にざっくりテストの点でいえば、上位10~15%くらいの人は、学校の授業よりも自習の方が効率よく勉強できる。たぶん実際の勉強は自習と塾で行っている。
下位30%くらいの人は、学校の授業を聞いても、聞かなくても、分からないものは分からない。
それなら、学校でつまらない授業を聞いている時間を、自分の好きなことをする時間にあてた方が、将来役に立つ可能性が高まると思う。
学校に行くなという話では無い。
学校以外にも行く場所が有って、子どもが自由に選べればいい。
これだけ発展した社会の中で、人生の中で選べないのは、親と学校くらい。
親は仕方がないとしても、学校は選べてもよくないか?
田舎だと学区内の公立一択、都会だと私立が選べるという話では無い。
100年後、子どもが自由に居場所を選択できる社会が当たり前になった時に、「学校は選べず、嫌でも同じところに行かなければならない時代」に戻りたい子は何人いるだろうか?
大人が「家や職を親から継がなければならない時代」「結婚相手は周りに決められる時代」「成人したら戦争に行かなければならない時代」等に戻りたいか?という事と同じ感覚。
どちらにもメリットデメリットはあると思う。しかし、人生において、選べない方を選ぶ人はかなり少ないと思う。
経営的にどうなのか?
会社は損するだけで、経営者として失格?
そんなことはない。余っている場所を使えば、実質の費用はエアコンの電気代くらい。月に10万円もかからないだろう。
仕事が急に入ったときは、そこに来ている高校生や大学生にバイトで仕事を手伝ってもらえるかもしれない。
学校に行きたくないような子どもたちが、いわゆる良い就職先に入れる可能性は低いので、そのまま社員になってくれるかもしれない。
たぶん、メディアにも取り上げられるし、同じ市内の子どもたちの間でも噂は広まり、会社の認知が上がる。
商品を買って応援してくれる人も増える。
子どもたちと一緒に商品を作って売ってみたりもできる。
これ以上にコスパのいい広告や求人やCSRの方法があるだろうか?
有ったら、ぜひ教えてほしい。
広めるにはお金は大切
目的は自分のお金儲けではない。自分のお金が目的なら、ボランティアはしないし、もっと給料の高い所で働く。
「子どもが居場所を選べる社会を作りたい」という気持ちの方が強い。
10年前に、実質無料で通える自由な学校を作った。
今でも続いているが、社会に広まったかというと、そうでもない。特殊な環境が揃わないと、まねできない。
少し意識の高い人が、積極的に真似したくなり、その周りの誰もが納得する理由が必要になってくる。
人を納得させる、一番の理由は「利益があるから」
いくら「自分の利益より、社会的にいいことをしたい」と言っても、多くの人は、裏があると信じて疑わない。
それなら、最初から「利益のためにやっている」と言った方が、スムーズに話が進む。
競争があることで、悪いものが排除されていく
利益があると、変な人もやり始める。トラブルも増えるし、事故も起こるし、事件も起こる。
今の学校が事件も事故もいじめも不登校もなく、子どもが自由に楽しく過ごしているなら、変な物は作らない方が良い。
しかし、そうでないなら、多くの居場所ができて、競争原理によって淘汰されていけばいい。
これだけネットが発達した社会では、悪いことは隠せない。気軽に居場所を変えられるなら、被害が大きくなる前に逃げればいい。
逃げられないから、いじめがひどくなったり、病んだりして不登校やひきこもりまでいってしまう。
上手くいく確率
これは、社長が死んでも会社が残って、ある程度安定的に運営出来るようになってからの話。
実現の可能性は5~10%くらい。
これをまねする人が増えて、日本中に子どもの居場所が出来る可能性は0.1~1%くらいだと思う。
数学的には1%のことを100回やれば、63%の確率で大当たりが出る。
NPOとか強い気持ちでやっている人はすごいと思うけど、僕は確率論で試行回数を増やせば、当たる確率も高くなると考えている。
それは、起業も商品開発も芸術も勉強もスポーツも同じで、何かに挑戦する人が増えると、成功する人の絶対数も増える。
保育園でも、学校でも、就職しても「空気を読みなさい」「先生(上司)のいうことを聞きなさい」「将来のために勉強(貯金)しなさい」「我慢しなさい」と洗脳され続ける社会で、何かで成功する人も、経済成長も起こらない。
やりたい事をやる人が増えることが重要。そのためには、やりたいことをやれる環境づくりが重要。
試行回数を増やすためには、お金のためにつまらない仕事をしている時間はない。
84歳社長が死んだら終わる会社シリーズ↓
https://note.com/real_field_game/m/m58fa2fef43b3
”僕”の自己紹介↓
https://note.com/real_field_game/m/m83d69ca42c47
登場人物
登場人物 会社の人たち
僕:この物語を実況している人。入社3年目のアラフォーおじさん。
社長:50年以上前に創業した町工場の社長:84歳
奥さん:社長の奥さん。お金周りを担当:70代後半
専務:創業時からいる社長の弟。最近間違いが多い:80代
孫くん:社長の孫。最近会社に来ていない:20代前半
娘さん:社長の娘。月に1週間くらい来て事務をする:50代
ベテラン職人:何でもできるがこだわりも強い。社長の義理の弟:70代半ば
取付職人:現場の取り付け担当。最初だけ丁寧:70代半ば
営業:いつも適当な図面を描いてくる:60代後半
中堅職人:新卒で就職したが独立、従業員ではないが、手伝ってくれている:50代
登場人物 社外の人たち
兄ちゃん:取引先で出会った「何者」かになりたい田舎の工場で高卒で働く兄ちゃん。商品の販売をお願いした。