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方針転換した話#18:84歳社長が死んだら終わる会社

就職先は地方の家族経営の町工場。84歳社長が全てを取り仕切っている。
社長が死んだらどうなるか、誰にも分からない。

前回の話↓

内定者もいたけど、結局、長く働く人はいなかった。

求人を続けてもいいけど、一旦止めた。
社長の意向もあるけど、僕の気持ちの変化もあった。

求人を頑張った理由

高齢化で無くなりそうな会社を再生しようと思った。会社への想いというより、面白そうなゲームと思ったし、これが上手くいけば面白い話が色々集まって、将来につながると思った。

その時に考えていたストーリー
子どもが自由に好きなことを思いっきり出来る社会にしたい
→大人(親)が自由に挑戦できる環境づくりが必要
 →高齢化した中小企業を20代が再生させ受け継ぐサイクルを作る
  →多くの大人(若者)が自由に挑戦し、その子どもたちも自由に挑戦する
   →その子たちが成長して活躍し、勉強よりも好きな事をする社会が実現する

根本は子どもが自由な社会の実現がある。
ただ、そんな崇高な目的のために一直線に頑張っているわけではなく、それよりも面白いと思ったところに乗っかって、寄り道だらけでいいと思っている。点と点がつながるジョブズの話みたいに。

こういうストーリーを考えて、この会社に就職したわけではなく、
この会社に出会って、このストーリーが浮かんでくる。

この会社を復活させたら、面白いことが起こる。

当時考えていた未来図

まずは、毎年若者を数人採用していく。辞める人はいるから、長く続く人は1年に1人くらい増えていけばいいと思っていた。

5年で売り上げ3倍くらいにして、会社を安定的に成長できる土台を作る。
売り上げアップ分の半分は、新しい挑戦によるものにしたかった。

会社の設備を活用して、自分で作って、自分で売る。
新しい事業をどんどん増やしていく。

40~60代の上にいたらめんどくさい世代がいないのが、何より良い。

そのうち、社長が引退し、孫が引き継ぐ。
ただ、孫が活躍するのは10年後くらいだと思っていた。

高齢化で潰れそうな町工場を復活させ、若者が中心となって活躍し、成長軌道に乗せ、後継ぎ問題も解決する。

そこまでいくと、地域では話題になる。
僕は表には出ないと思うけど、頭のいい人には、裏で誰かがストーリーを作っている事が分かる。それが分かる人たちと仕事がしたい。


方針転換の理由

入社して数か月、求人を出したら人が集まってくるようになっていた。
その時に孫くんに「会社をどうしたいとかある?」と何気なく聞いてみた。
そうすると「社長になりたい」と言った。

普段は大人しそうで、ほとんどしゃべることもなく、仕事に情熱もなく、仕事が少ない日は会社に来ない日も多かった。

そんな孫くんが「社長になって有名になりたい」的なことを言う。

僕の中ではギリギリ子どもの年齢(大卒で新卒で就職するくらい)。
そんな若者が夢を語る。後々分かるが、この孫くんの経歴が面白い。ただ、高卒で派遣で働いたけど続かず、家業の工場で働いているだけではなかった。

若者の挑戦を応援したい。なので、僕は余計なことをしない。彼が彼なりのやり方で進んでいくのを応援することにした。


84歳社長が死んだら終わる会社シリーズ↓

”僕”の自己紹介↓


登場人物

登場人物 会社の人たち

僕:この物語を実況している人。入社3年目のアラフォーおじさん。

社長:50年以上前に創業した町工場の社長:84歳
奥さん:社長の奥さん。お金周りを担当:70代後半
専務:創業時からいる社長の弟。最近間違いが多い:80代
孫くん:社長の孫。最近会社に来ていない:20代前半
娘さん:社長の娘。月に1週間くらい来て事務をする:50代
ベテラン職人:何でもできるがこだわりも強い。社長の義理の弟:70代半ば
取付職人:現場の取り付け担当。最初だけ丁寧:70代半ば
営業:いつも適当な図面を描いてくる:60代後半

中堅職人:新卒で就職したが独立、従業員ではないが、手伝ってくれている:50代

登場人物 社外の人たち
兄ちゃん:取引先で出会った「何者」かになりたい田舎の工場で高卒で働く兄ちゃん。商品の販売をお願いした。

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