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町工場に応募してきた人たち#17:84歳社長が死んだら終わる会社

就職先は地方の家族経営の町工場。84歳社長が全てを取り仕切っている。
社長が死んだらどうなるか、誰にも分からない。


下の記事の続き。数年前の出来事。

前回のまとめ
・上司ではなく、求職者に向けてワクワクするホームページを作る
・インディードの無料求人で、データを見ながら色々調整した
・小さな町工場に毎週のように応募が来た

どんな人が応募してきたのか?

20代後半から30代の男性が多かった。面接した女性はいなかったと思う。
想定通りと言えば、想定通りだが、30代後半のおじさんが、20代前半に刺さる言葉が分からなかった。

そもそも、給料の安い町工場に応募なんてほとんどないと思っていたので、未経験歓迎にしていて、溶接の経験者はいなかったと思う。
しかし、建設現場で職人をしていたり、近い製品の設計をしていたり、それなりの経験のある人もいた。

学歴は、高卒、専門卒、大卒とばらけていた。

20代独身か、30代家族持ちが多かった。

外国人からも数名応募があったが、本人の意思というより、仲介会社が求人を出している企業へ片っ端から連絡している感じがしたので断った。

転職回数が多い人も多かった。自分がほとんどまともな職につかず、自由にやってきたので「転職回数なんて気にしない」と思っていたけど、特別な何かがないと、すぐ辞めそうだと思って、不採用になる確率は高かった。

選考基準

直感とタイミング。

応募があると、日程を調整して「履歴書をもって、〇月×日△時に工場へ来てください。」と伝える。

当日、まずは僕が工場を案内し、雑談する。そこで、孫くんがいれば、孫くんとも話す。

そのあと、事務所で社長と2人で雑談をする。

応募者が帰った後、社長と話して「いい人そう」となれば内定。


タイミングに関しては、面接日をなるべく近くして、比較したり。
募集開始直後は応募条件はゆるゆるだけど、何人も来ると分かれば、基準も上がっていく。
求人の文言も、「未経験者大歓迎」→「未経験可」→「経験者優遇」みたいな感じで変わっていった。

ようするに、直感とタイミングでしかなかった。

僕なんかは人生そんなものと思うけど、もう少し考えてやれば良かったと反省した。

と反省しつつ、最近求人を開始したが、直感とタイミングなのは変わっていない。


内定を出した人

20代後半から30代半ばの家族持ちの男性数名だった。

結局、1人も続かなかった。
たぶん、奥さんに反対されて内定辞退だったり、少し働いて合わなかったり。

大卒の新卒よりも安い給料なので、子どもがいるなら、奥さんがフルタイムで働いていないと、生活は厳しいと思う。

家族ブロック対策までは考えていなかった。

今回は、ブログとかで少し調べれば、給料が安いことは伝わるようにしている。
経験者優遇と給料安いと言う事で、たぶん、家族持ちの男の人は来ないだろう。

できる事とできない事

前回の求人は、大前提として「こんな給料の安い小さな町工場に応募してくれる人はいない」と考えていた。

なので、嘘のない範囲で、ワクワク感を前面に押し出したホームページや求人用の文章を作った。
嘘のない範囲は具体的に言えば、僕が実際にやったり、やろうとしている事になる。
この会社だからできる訳ではなく、僕だからできる事も多い。

この辺の期待値の調整は難しい。
面白いことは、本人のやる気さえあれば実現可能でも、給料を上げることは、経営状態と社長の判断になる。


一緒に働きたいと思った人はいたのか?

合同説明会みたいなのにも一回参加した。その時にブースで話した人も含めると、たぶん40〜50人の求職者と会ったが、直感的にこの人は仕事ができそうだと思った人は説明会にいた1人だけだった。

説明会もプレゼン準備はしていったけど、ブースに話を聞きに来る人は少ないと思っていたので、そっちの準備はしていなかった。
しかしプレゼンが大好評で、人が押し寄せていた。
3人並んで座ってもらって、後ろにも行列。
そんな中、1人だけじっくり話をする事は無理だった。

現場仕事には合わなそうな、若いきれいな女性だったのもある。
名前と住所は書いてもらっていたので、後から連絡も可能だったけど、女性ということでためらった。

数年に1人会うか会わないかの「できる」と感じる人。もっと積極的に誘えばよかった。


次回は求人をやめた理由。

続きの話↓


84歳社長が死んだら終わる会社シリーズ↓

”僕”の自己紹介↓


登場人物

登場人物 会社の人たち

僕:この物語を実況している人。入社3年目のアラフォーおじさん。

社長:50年以上前に創業した町工場の社長:84歳
奥さん:社長の奥さん。お金周りを担当:70代後半
専務:創業時からいる社長の弟。最近間違いが多い:80代
孫くん:社長の孫。最近会社に来ていない:20代前半
娘さん:社長の娘。月に1週間くらい来て事務をする:50代
ベテラン職人:何でもできるがこだわりも強い。社長の義理の弟:70代半ば
取付職人:現場の取り付け担当。最初だけ丁寧:70代半ば
営業:いつも適当な図面を描いてくる:60代後半

中堅職人:新卒で就職したが独立、従業員ではないが、手伝ってくれている:50代

登場人物 社外の人たち
兄ちゃん:取引先で出会った「何者」かになりたい田舎の工場で高卒で働く兄ちゃん。商品の販売をお願いした。

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