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超弦理論と五次元空間への出発。時間旅行は実現可能なのか?


私たちは三次元空間の中で生活し、時間を一方向にしか感じることができない。しかし、物理学、特に超弦理論の世界に足を踏み入れると、この常識は脆くも崩れ去る可能性を秘めている。超弦理論は、宇宙を構成する最小単位が粒子ではなく、振動する極微の「弦」であると提唱する。そして、この理論が真であるならば、私たちが認識できる4次元(空間3次元+時間1次元)を超えた、高次元空間、例えば五次元空間が存在する可能性も示唆されているのだ。

五次元空間…想像できるだろうか? 私たちが普段見ている三次元空間に、さらに二つの次元が加わった世界。それは、まるでSF映画の世界のように思えるかもしれない。シカシ、数学的には、このような高次元空間の存在は十分に考えられるのだ。例えば、二次元に住む生物を想像してみよう。彼らは平面の世界しか認識できない。しかし、三次元に住む私たちから見れば、彼らの世界は「折り畳まれた」状態であり、簡単に飛び越えることができる。同様に、五次元空間が存在するならば、私たちもそれを認識することはできないが、それが私たちの周りの空間に「折り畳まれた」状態で存在している可能性があるのだ。

そして、この五次元空間こそが、時間旅行の鍵を握っている可能性がある。アインシュタインの一般相対性理論によれば、重力は時空を歪ませる。非常に強い重力場では、時間の流れが遅くなることが知られている。ブラックホールはその極端な例だ。もし、五次元空間を自由に移動できる技術があれば、この時空の歪みを巧みに利用することで、過去や未来へと「ジャンプ」することができるかもしれない…まるでワープ航法のように。

具体的な方法としては、例えば、五次元空間における特定のポイントに「ワームホール」を作り出すことが考えられる。ワームホールとは、時空の異なる二点を結ぶトンネルのようなもので、SF映画などでもよく登場する。もし、ワームホールの出入り口を、異なる時間の地点に設定できれば、そこを通過することで時間旅行が可能になるハズダ。

…夢のような話だが、実現への道のりは険しい。まず、五次元空間の存在を証明しなければならない。そのためには、巨大な加速器を用いて、高エネルギーの粒子衝突実験を行う必要がある。もしかしたら、その実験の中で、五次元空間の存在を示唆するような未知の粒子が発見されるかもしれない。また、ワームホールを作り出すためには、莫大なエネルギーが必要となる。現状の技術では、到底不可能なレベルのエネルギーだ。

しかし、それでも研究者たちは諦めていない。なぜなら、時間旅行の可能性は、単なるSF的な夢物語ではなく、物理学の根源的な謎を解き明かすための重要なカギとなる可能性を秘めているからだ。私たちはどこから来て、どこへ行くのか? 時間とは一体何なのか? こうした根源的な質問に対する答えを見つけるためには、超弦理論や五次元空間といった、一見すると奇想天外な概念にも真剣に向き合っていく必要があるのだ。

さて、ここまで考えてくると、ある疑問が浮かんでくる。もし、時間旅行が可能になったとして、私たちは過去に行って歴史を変えてしまうことができるのだろうか? 例えば、過去に戻って自分の祖父母を殺してしまったら、自分は存在しなくなってしまうのだろうか? これは「タイムパラドックス」と呼ばれる有名な問題だ。この問題に対する明確な答えはまだ出ていない。もしかしたら、過去を変えることはそもそも不可能なのかもしれない。あるいは、過去を変えても、別の並行世界が生まれて、元の歴史はそのまま保存されるのかもしれない。

現時点では、時間旅行はあくまでも理論的な可能性に留まっている。しかし、科学技術の進歩は日進月歩だ。100年前の人々が想像もしなかったような技術が、現代では当たり前のように使われている。もしかしたら、未来のいつか、私たちの子孫がタイムマシンに乗って、現代の私たちを訪ねてくる日が来るかもしれない。その時、彼らはどんな未来の話を聞かせてくれるのだろうか? そして、私たちは彼らにどんな質問を投げかけるのだろうか?

…あなたは、スマートフォンに届いた「出発時刻のお知らせ」の通知を見て、複雑な気持ちでタイムマシンの搭乗口へと向かう…。

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