仮の美しさと真実の美しさ(菜根譚後集)
鶯が美しい声で鳴き、花は咲き乱れて、山も谷も色こまやかであでやかな美しい春の姿は、それはすべて天地の仮のまぼろしの姿であって、ほんとうの美しさではない。
谷川の水も枯れ、山の木立の紅葉も落ち尽くし、石のこけは消え、岸の木々も枯れた晩秋の姿は、すべての虚飾を去った真実を示したものであり、それでやっとそこに天地のほんとうの様子を見ることができる。
とはいえ、枯れたら元気がなくなっても仕方ない。大体、物欲、承認欲求、性慾は極めきるとろくなことはない。しかし、知識欲は相当なインテ