ある午後

広場に来た。お昼休みの勤め人達がそれぞれご飯を食べていた。東屋にポツンとご年配のサラリーマン。ずっと下を向いて頭を抱えている。東屋なので広いテーブルはある。何より他に空いているベンチもなさそうだ。私はテーブルの反対斜線側に鞄を置き、買ってきたお弁当を出した。他人様の頭頂部を見ながら食べるのもなんなので、背中を向けて植栽を眺めながら静かに食べ始めた。私の気配に気が付いた男性が、一瞬顔を上げたのが目の端に映った。振り返った時にはまた深く頭を下げていた。お弁当が半分くらいになった時、背後で物音がして、男性が去っていくのが見えた。一時の少し前。
仕事に間に合うように、気を取り直して立ち上がったのだろう。が、ビジネスリュックは手に下げたままだった。
仕事があるから救われるのか。その苦しみは、仕事などしていないで全力対応できないものなのだろうか。
勤め人達が消えた広場には、赤ん坊と鳥の鳴き声が響いていた。

いいなと思ったら応援しよう!