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【190文字の物語】#6せつない、あるいはかなしい


#6  夕焼け


君と一緒に見た最後の夕焼けは
本当にきれいだった

夕焼けを見るたびに
君を思い出す

君との思い出が
繰り返される

でも
君はもういない

曼殊沙華が咲く季節に
永遠に手の届かない
遠いところへ
行ってしまった

君とした約束を
果たせなかった

高原の教会
白いドレスの君
バージンロードの先の
祭壇の前で待つ僕

思い描いた未来は
閉ざされた

君のいない
空虚な世界を

僕はひとりで
生きている

生きている実感が
無いままに


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