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発想の転換がもたらすもの

 私は旅に出るのが大好き。しかし、昨今のオーバーツーリズムで、今まで楽しめた場所が人を見るための時間を過ごす場所になっているのは残念。
 
 中でも何度訪ねても魅力的な街であるスペイン、バルセロナ。こちらも地元民からは観光客を排除する要望があり、今は私1人でも迷惑になるのではと足を向けるのが憚られている。

 随分昔のバルセロナは観光客もまばらで、サグラダ・ファミリアは見る人はごく数人、ゆっくり螺旋階段をとうもろこしに似た塔を上った。
今では入場すら予約制でなかなか塔を上ることもままならない。
 
 バルセロナでオリンピックが開かれたことも世界にこの魅力的な街を知らしめる結果になった要因だが、日本のサントリーロイヤルのコマーシャルの影響が大きいとも言われている。これ程素敵な広告であればオーバーツーリズムの一端になったのは仕方がないことかもしれないが、経済効果を十分にもたらしたツケなのかもしれない。

 確かにこれを見たら摩訶不思議な世界に誘われ、自らの目で身で見てみたいと思うだろう。
 私が5年前にバルセロナで1ヶ月25万ぐらいで借りたガウディのカサパトリョ近くのアパートが今や120万に値上がりしている。円安の日本人にはなかなか手の出ない金額にもなってしまった。

 第一私は混み合った街とまだ、あまり知られてなかった頃の街を考えると、街に訪れた印象は随分と違う。余程のニーズがあるか、訪れなくてはならない理由がなければ足は遠退いてしまう。
 
 今年の夏の終わりに久しぶりにローマを通過するにあたり、なんとかローマの良さを感じつつ街を訪れたいと試みた。そして考えついたのが早朝5時の散歩。

 こちらはかなり成功して、日の出前にコロッセオのライトアップされた夜景を楽しみ、昼間であれば1時間も並ぶマルタ騎士団の館の鍵穴からのサン・ピエトロ大聖堂の眺めを誰もいない時間にゆっくりと楽しんだ。   
ここは真実の口の近くアバンティーノの丘にある。
 
 早朝散歩のご褒美は南フランス、ニース近郊のエズ村でも楽しんだ。通常日帰りで訪れて帰ってしまう場所であるが、お目当てのホテルの朝食を眼下に海を眺めながらいただきたくて1泊した。これが大正解。
人が写り込まないエズ村を写真におさめることができた。朝食が格別なものとなったことはいうまでもない。

 こういう早朝散歩は京都東山や嵐山辺りでも実践している。
 まだ、開門していない神社仏閣もあるが、大抵はどこでも散策には事欠かない。 京都東山辺りであれば高台寺下辺りから石塀小路、二年坂、産寧坂辺りの人の居ない道や階段をゆく爽快感。八坂の塔辺りを下り建仁寺の朝の風景も格別である。

 朝のひんやりとした澄んだ空気と、静寂、そして何より独り占めできているような感覚。
 これは早起きしたことへのご褒美ともいえる。
散策から帰り朝食をいただくと、旅の醍醐味を十二分に味わえた気分になる。

 昔、台風で林檎畑のリンゴが大部分が落下して林檎農家が大打撃を受けた中で、落ちなかったリンゴに目をつけて受験生に販売したところ、値段は高くてもすぐに売り切れた話を聞いたことがある。
 まさに逆転の発想、発想の転換で勝ちとった効果である。
 
 わたしたちの周りでも、また、囚われている考え方にも、応用できるかもしれない。
 まずは旅は早朝!これをオススメしたい。〈写真は夜明け前5時のローママルタ騎士団の館のドア鍵穴からのサン・ピエトロ大聖堂と南フランス エズ村〉

 毎日を誕生日のような気持ちで。
 夢咲案内人 美桜🌸

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