中学の卒業式
今思い返すと、中学の卒業式は非常に後味の悪いものでした。
僕らの学年は市内でも指折りと言われるほど荒れていました。
1年の入学式当日。
廊下で追いかけっこをしている者。顔見知りで集まりお喋りで盛り上がっている者。
プロレスごっこでじゃれ合っている者。誰とも話さず寂しそうに机に座っている者。
周りを見ると個性が強いメンツばかりで、どんな中学生活が待っているのか期待と不安でいっぱいでした。
この調子では荒れるのも時間の問題かと思われていましたが、M先生がそうはさせませんでした。
問題行動には一つ一つしっかりとヤキを入れることで何とかもちこたえていました。
ところが、2年になるとM先生は長期研修でいなくなり状況は一変しました。
鬼の居ぬ間に洗濯とばかりに次から次へと事件が起こりました。
授業妨害、教師への反抗、カンニング、飲酒、喫煙、喧嘩、深夜徘徊、無免許運転、保健室占領などそれはまるで暴風雨のようでした。
対応に追われた先生方はヘトヘトに疲れ果て、連日職員会議や保護者会などで何度も何度も話し合いが行われました。
その甲斐もあり、3学期になると少しずつ落ち着いてきました。
3年になるとM先生が研修から復帰し、すっかり受験モードに突入しました。
同時に劣悪な生徒達の締め出しも行われ、事件は驚くほど少なくなりました。
次々と進路が決まり後は卒業を待つだけとなりました。
しかし、卒業式当日にとんでもない事件が起こりました。
例の締め出された生徒達が、校則違反の学ランを着て卒業式にやって来たのです。
先生方は制服を着てこなければ式には参加させないと強い口調で言いました。
それに応酬して口論となり、しまいには殴り合いの喧嘩にまで発展しました。
場内ではざわめきが起こり、10分以上にわたって式が中断されました。
最後のホームルームはものの数分で終わり、後輩達からの見送りも無く追い出されるような形で学校を後にしました。
色々あったけれど、最後くらいはハッピーエンドで終わりたかった・・・。