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Never too late-いつだって、遅すぎることはないと信じたい-

「人生どこで何が起こるか分からないな」

5月生まれということもあり、唐突に振り返るとこの1年に関してはその一言しか出てこない。Jリーグ開幕当初、ちょっと気になる選手はいたけどそれっきり。世間の流れに乗ってW杯やオリンピックは見るけど主にダイジェスト、でそれっきり。ニュースはそれなりに見るけれど、スポーツにいまいち興味がない人間が、沖縄開催のバスケワールドカップをきっかけに、紆余曲折ありながらもBリーグとブレックスにはまり、CSが終わり…終わり…自分の中での初シーズンも終わってしまった。気の利いた書き出し方が思い付かなかったのは正直反省してる。適時アウトプットしないと、ここぞという時できなくなるんだね…それは置いといて、と。
さて。時をちょっとだけ戻そう。セミファイナル3戦目翌日、地元ニュースでQFのニュースを見た家族(チームの存在は知ってる程度。自分がファンとは知らない模様)と話した後、得体のしれない何かに襲われた気がした。自分はよちよち歩きながらもRSを一緒に歩んできたつもりだけど、そうでない人からしたらRSって「なかった」ものになるのかな、と。いや違う。なかったことにしたくないし、させたくなかった。殴り書きのメモをかき集め、繋ぎ合わせて形にしようとして、強風に煽られ舞い上がり。所々滲んだ文字は雨のせいか、涙のせいか。フォロワーさんや他の方のnote読むと、逆に自分なんかが…って迷ったけど、迷った事も正直に残そう。
これは、世界の片隅でちんまり生きてるよちよち歩きの新入りバスケファン、生きてるうちに何かしらの爪痕を残したいという存在の証明。あるいは、来シーズンという次の旅に向かうための、自分のための棚卸し。
こんな出会い方だって、ある。と思う。


「好き」の反対は「嫌い」じゃなかった。

スポーツにはさほど興味はないと言ったものの、人生の約1/3を栃木県で過ごしてることもあって、「宇都宮ブレックス」というチームの存在自体は知っていた。県内ローカルニュースで取り上げられてるのも見てたし、同じ職場のパートさんにも何人かファンがいて(いつだか、某所で選手見かけたってきらきらの目で話してて、別ジャンルながら推しがいる私は内心にこにこしながら話を聞いてた。結局、遭遇したのが誰だったかは今でも分からずじまいだけど)
とは言え、「存在は知っている」から一歩先に踏み出すわけでもなかったので、恥ずかしながら知ってる選手は田臥勇太のみ。それと、監督が変わった時「『ささ』じゃないんだ『さっさ』なんだ…そんな雑巾あったよね…」って思ったのは覚えてる。バスケは「監督」じゃなくて「ヘッドコーチ」と知るのはもうしばらく先になるのだが、本当にそんな感じ。
「好きの反対は無関心」いつか梨の妖精が話してたことを思い出した。もちろん嫌いになるに越したことはないけど、それなりに関心持って存在を認識してある程度知らないと「嫌い」の境地には辿り着けない。(辿り着かなくていいけど)関心が薄いって怖いし、当時の自分を起きろ起きろとぺちぺちしたい。無理だけど

ワールドカップ、何が変わる…のか変わらないのか。いや、変わった。

最初のターニングポイントが沖縄でのW杯。朝のニュースなどでもやってたし、なんとなく気になっていた。ただし、当時知ってたのは富樫、渡邊、それと河村。以上。フィンランド戦の逆転勝利、オーストラリア戦での敗戦、それでもアジア1位でオリンピック出場という目標へ…
順位決定戦第1戦のベネズエラ戦の後のツイートが残ってたけど、こんな感じで。
「後半から見てたけどいい試合だった…バスケ好きのパートさん明日どうなってんだろ…」
そうだ、家ではチャンネル権がないも同然なので前半は魔改造の夜を見てたんだ(見せられてた?!)だった。やること終わって途中から見て静かにわーぎゃー言うんだが、今なら言える。

お前、人の心配してる場合か

無事オリンピック出場が決まり、ニュースや特番などで選手一人ひとりの特徴や個性などが少しずつフィーチャーされていく中で、特に気になった選手がひとり。

比江島慎。

チーム最年長ってのは知ってた。ベネズエラ戦も後半から見てたが、3ポイントのシュートモーションが、あのバッシュの水色が綺麗だったなってのは鮮明に覚えてる。(ちなみにあのセレブレーションの認識は当時はそんなでもなかった)
それなのに、試合後のヒーローインタビューでは歳下の渡邉と富樫にばしばし叩かれても(最年長なのに)笑ってて、ロッカールームで手荒い祝福を受けてびしょ濡れになってもくしゃくしゃにして笑ってる。

歳下2人にバシバシ叩かれるヒーローインタビューは10:00前後、手荒い祝福は16:15あたりから(びしょ濡れの床よりもうちょい本人の心配を…)

代表合宿中の誕生日サプライズではケーキをぶつけられ(最年長なのに)、やっぱり笑ってる。かと思えば、バスケを始めた頃に自分の弱点を克服するためにフェイクを、代表の新しい戦術に合わせるため3ポイントを突き詰める。全く別な物を突き詰めて、しかも両方形にする。それでいて、コートを離れたら「ふんわりふわふわ」トップアスリートとしてあるまじきオノマトペ。振り子の揺れ幅がえぐい。
この人一体何者なんだ…しかもそんなすごい人がブレックスにいたとは…
当時の自分をばちばちしたいし、なんなら「気付くの遅すぎでしょ?!」って例のパートさんにぺちぺちされたい。やっぱり無理だけど



えっ、スイカ泥棒って何?!

今思えば、一気にいかなかったからこそ良かったのかもしれない。「熱しやすく冷めやすい」性格なので少しずつ少しずつ、気付いたらはまってた方が性に合う。
そんなわけで、次はブレックスというチームそのものが気になる。今更かよって言われそうだけど、気になるものは気になるから仕方ない。許してほしい。公式SNSとか色々見てみたけど、このチームは髭生やさないとダメなのかと思いつつ(そんなことありません)顔と名前と背番号を一致させるべく選手名鑑を買った。(人の顔を覚えるのが苦手なんで、全員一致するまでにはかなり時間かかったけど)それと、バスケットLIVEもお試しキャンペーンで入ってみた。実は、リーグ開幕前に天皇杯予選をYouTubeで観ていたけど正直よく分からず、若干荒れ気味なコメント欄見ながらちょっと不安になっていたのだ。まぁお試しだったら合わなかったら辞めればいいんだ、お試しだし…って気軽なノリだったけど、結論からいくとしっかりはまってた。もう一つのターニングポイントはきっとここだ。ありがとうバスケットLIVE。
そんなこんなで開幕戦。実況、解説があるとやっぱり分かりやすい。少しだけどルールがわかる、選手がわかる、そうするともうちょっと見てみようと思う。4Qだったかな、鵤のスティールに対しての「スイカ泥棒、日環アリーナに現る」
…スイカ泥棒って何やねん?!少しずつ、でも確かに興味をくすぐられ始めた。(0:30ぐらいから、ところで何故「スイカ泥棒」なんだろう…調べたけど、リアルな窃盗犯しか出てこなかったよ)

観戦する試合の数を重ねると、少しずつ分かってくる事も増えてくる。得意とするプレー、細かいルール、戦術的なこと…フリースローをわざと外す、あえてファールでプレーを止める。それなりに理由があってするファールもあるけど「ファール=していけないもの」認識だった序盤、ファールゲームの存在は衝撃的だった。それでも、少しずつ分かると楽しいし、楽しいともっと知りたくなる。結果を知ってても、繰り返し見たい試合もでてきた。(確か名古屋DD戦のGAME2かな?4Qで逆転、ラスト3秒ギリギリでの攻防戦)アウェイゲームも見るようになってくると、相手チームの選手やマスコット、タイムアウトでこんな事やるんだ…という具合に気になることが次々と。ちょっとした幸せの無限ループ。
お試しキャンペーンが終わる頃には、毎月払うならまとめて年間で払った方が安いよね…って年間契約にしたので、バスケ沼にはまったなって自覚をしたのはこの時かもしれない。




このペースでシーズンラストまで振り返れるの…?!

答:きっと無理。
バイウィーク開け前後、公私ともに色々ありすぎた。覚えてるつもりでも、出力しないとどんどん記憶から抜け落ちてしまう。定期的なアウトプットを今後の課題として、特に印象深い場面をいくつか。

初めての現地は川崎戦GAME2だった。配信でも満足していた。それでも、ふと「いつかは生で見たい」と思った。が。いつかいつか、とは言うけどその「いつか」は本当にやってくるのか?
得体のしれない何かに襲われ、そこからの行動力は今振り返っても異常だったと思う。半休取って何とかチケットも取れて。アウェイ側立見だったけど、席どうこうよりあの空気感を感じられたのがとにかく嬉しくて。前日のファールアウトから一夜明けての「俺の日」、2Q高島へのアシストが今でも印象に残ってる。後ろから見てて、絶対自分で行くって思ったけど違った。あの瞬間、「自分が活きる」より「自分が活かす」って一瞬の閃きが最善の選択肢だったんだろうな。すごい。ただただすごい。語彙力が迷子になって戻ってこない。





仕事の休みが合って、できる時はスマホ片手にXでリアタイもした。住んでる地域、なんなら国籍も年齢もみんなばらばら、それでもあの瞬間同じ時間を共有する。振り返ると、状況把握しないと何のこっちゃな一言でもリアクションがあるって不思議な感じがする。いいプレーにはみんなで喜んで、流れが傾きそうな時は励ましの言葉が増えて。嬉しいも悲しいも分かち合えるっていいな、って思った。

天皇杯準決勝。残念な結果ではあったけど、5ファール退場にはなった時でさえ、まず相手選手を気にかけてたって話を聞いて、この人のファンで良かったと思って泣いたこともあった。バスケの試合で泣いたのはこれが初めてかもしれない。

レギュラーシーズン最終節のアウェイ茨城戦。地区優勝決定後、若手組が躍動したこの日、やっと自分の中の「迷い」が少しだけ吹っ切れたような気がした。
W杯からの新参者、それも今まで気にもかけてなかったのに自分なんかがファン名乗っていいのかなって思った。でも、タイムアウトの「FLY AGAIN」、ロボッツコールに負けずに響くレッツゴーとちぎコール聴きながらふと思った。みんな、それぞれの形で全力で楽しんで、全力で愛を貫いてるんだな…って。「ブレックスが大好きです」
そう、シンプルが一番強いのだ。そう思えたら、ちょっと気が楽になった気がする。とはいえ小心者なので、おっかなびっくりだけどファン名乗っていいかな…?

そして、運命のCSへ。


仙台戦ヒーローインタビュー後のCSに向けたBREXNATIONの映像から始まったぞくぞく感は、自治体首長やスポンサー、ファンの方々など多くの人からのメッセージで高まっていき、いわゆる「念組」の自分ですら救心買っておけば良かったと思った。ポストシーズン、チームそのものへの思い入れが強いのは勿論初めて、こんなにプレッシャーがかかるものなのか…胃が痛い。吐きそう。念組でもこんなに緊張するとは(ちなみにあまりにも値が張るので買ってません)
まず初戦。やっぱりチャンネル権がないので、隙を見ながら経過確認。何が、って聞かれると困るけど明らかに何かが違ってた敗戦。
2戦目は2Qからリアタイ、前日の反省が生きてたような気がする。いいディフェンスからいいオフェンスで1勝1敗に戻して逆王手。
そして、1日空いて運命の3戦目。途中経過にそわそわしつつ、急いでやること片付けてフォロワーさんのスペース聴きながら試合を観てた。追い付いて追い付かれて、また追い付いて。最初のOTでいけると思ったけど、いけなかった。そして2回目のOT。
「諦めない男はかっこいい」そんなの分かってる。最後の最後まで諦めたくない。でも、どうあがいてもどうにもならないことは残念だけど存在する。ラストプレー、ただただ時間が過ぎるのを待つしかできない、これがリアルなんだなって思った。
勝ち進んで、もっともっと試合を観たかったし、苦しみを乗り越えた先の笑顔を観たかった。でも、選手もファンもそれぞれの場所でそれぞれの思いを胸に全力で戦ってた。
はからずもシーズン最終戦、最後に選手のコメント。「ファンの方に申し訳ない」いや、そんなことない。全く悔しくないといえばちょっと迷うけど、それ以上の頑張りを見てきたからただただ「ありがとう」の一言につきた。
どんなに苦しい時でも、ワンプレーで流れを手繰り寄せて離さない。うまくいかないならいかないなりに打開策を探す。怪我やコンディション不良などでベストメンバーでなければ他のメンバーでカバーする。プレータイムがなくても全力で仲間を勇気づけ、奮い立たせる。「誰が」じゃない、「みんなで」頑張った。数字に残る部分も残らない部分も、積み重ねてきたものは紛れもない事実だから。

残念ながら「悔しくて眠れない」ってのはなかった。それでも、なんとなくすぐ寝るのも惜しくてスペース聞きながらタイムライン眺めてた。ネガティブな声もあったけど、それ以上のポジティブに救われた気がした。
少なくとも、自分にとってのSNSの「いいね」はいいねだけじゃない。うんうんそうだよね同感です、お疲れ様でした、ありがとう、また頑張ろう…不器用なりに、ささやかな祈りを。ありったけの愛をこめて。泣くだけ泣いて、時には立ち止まって振り返って、次の一歩をふみだしたら来年は最高のハッピーエンドが待ってると信じてる。

「初めて」のシーズンの終わり、そして新たな旅へ。

久々に一歩踏み出したら、そこには未知の世界があった。正直、今でも思い出すとちょっとだけ悔しい、でも悔しさも喜びも面白さもぎゅぎゅっと濃縮、密度の濃いシーズンだった。笑って泣いて、全力で叫んで全力で祈って。走って、転んで、人探しで彷徨ってたら自分が迷子になって。自分なんかがファン名乗っていいのかな…って不安になったけど、自分でもいいんだってちょっと勇気をもらった。日常最優先の生活の中で、ささやかな、でも確かな幸せをいっぱい受け取った。もっと早く出会っていたら…と思う時もあるけど、このタイミングで出会えたからこそ全力で駆け抜けられたのかもしれない。改めて、ありがとう。

さて、ひとまず荷物を整理して、ひと休みしたら次の旅に向けて準備しよう。2回目ならきっと大丈夫。それぞれの場所でそれぞれの思いで。

私も、次のバスを、ここで待ってる。



ぶきようでささやかなあいのうた、とどいたらうれしいのです。




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