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『100日マーヤン』を終えて

※note使うの初めてなので見ずらかったらスイマセン。

4月1日から4コマ形式で毎日お送りした『100日後に完結するマーヤンの冒険』。みなさまの応援のおかげでついに完結に至りました。

皆様に思うところが沢山あるように、僕自身にもこの作品に対して思うところが沢山あります。

というわけで今回はその胸の内を正直に語っていこうと思います。
拙い文章ですが、作品の反省点もまとめてみたので、創作者のみなさまにとって少しでも学びの材料となれば幸いです。


感想

①めちゃくちゃ楽しかった

書いててすげぇ楽しかったです。まずこれに尽きます。

この三か月ちょっとの期間ずっと夢中になってました。

四コマ漫画という形式があまりにも進捗を伸ばしやすいため、どんどん話が完成していくんです。その快感と言ったらありません。

ストックをためるのも簡単なので、かなりラフな気持ちで取り組むことができました。

しかも書いてる間は反応が毎日返ってきます。つまり、モチベーションの源が途切れることなく供給されてくるんです。最高。

前の日よりもいいねが一つ多かっただとか、珍しい人が反応してくれただとか、本当に些細なことでテンション上がりまくってました。

シンプルに現実のタスクが溢れまくっててドタバタしてた時も、「こんなところで途切れさせたくない……!」という一心で間に合わせました。ここまで来ると意地です。

その根底には、かつてのマーヤンの冒険を取り戻したかったという思いがありました。

……というのもお話しするのが大分遅くなってしまいましたが、そもそもこの企画自体ゲリラで始めたものでした。

本来「マーヤンの冒険」は、かつて存在した超古代の3DSゲームソフト「うごくメモ帳3D」に備わっていた「ワールドうごメモギャラリー」と呼ばれるインターネットコミュニティに投稿されていた作品です。

そのコミュニティには「ひろしの日記」「リアルゲーム」「学校シリーズ」などといった棒スト(=棒人間を使ったストーリー)の名作が溢れかえっておりました。

当時中学2年生だった僕はそれらにある種の憧れを抱いていたわけです。

「自分も棒スト作ってみたい!」

しかしこのコミュニティ、2018年4月2日(月)にサービスを終了します。

そして当時僕が書いていた作品の中には、ろくに完結したものなんてありませんでした。

そこで考えたのです。

「サービス終了までの期間を逆算して、そこで完結する物語を作ろう!」

つまり、限られた期間で定期的に更新をし、ライブ感を保ちながら視聴者を楽しませる形態こそ、「マーヤンの冒険」の本質だったのです。

それから高校生から大学生にかけて制作に割ける時間がどんどん無くなっていき、定期更新ができなくなってきました。この経験も、先に述べた本質に気づくためのきっかけとなりました。

そして、大学三年生へと進級する春が訪れたわけです。

それまでの僕といえば、やれ髪を染めただの、ピアスを三つ開けただの、とても創作垢とは思えないようなツイートばかりしていました。

もう就活開始の時期は目の前。
せめてまだ時間が残されているうちに、何か創作者らしいことをしたい……!

本編に出てないキャラがいる?気のせい気のせい


こうして、深夜テンションでキービジュアルを描き上げました。

40話突破した時のやつ。シンプルにこっちの方が上手く描けたから好き。

どこまでやれるのか自分を試す意図もありました。正直30話ぐらいでくたばるだろうとも思ってました。

それでも完結できたのは皆さんの応援があったからです。改めて、本当にありがとうございました。

②100日、意外と短い

とんでもないことを言わせてもらうのですが、マーヤンの冒険のストーリーは100日で完結できるほどコンパクトなもんじゃありませんでした。

短ぇ。あまりにも。過ぎるの早すぎ。

書きたい場面を並べてみると案外パンクしてしまって、どれだけのシーンを削ってきたことか……

……まあ、エンディングは良い感じに書けたと思うので、ここでは一旦良しとしましょう!(あとで反省パートあります)

達成する前はとてもとても大きな壁に思えたのに、いざ飛び込んでみると嵐のように過ぎ去っていった100日。

自分が忙しかったからなのか、それとも本当に100日って大した期間じゃなかったのか……。

しかし、これだけは確実に言えます。

それは、今僕の目の前にある漫画ノートは、たった一日二日で完成できるような代物ではないということです。

友達がわくわくしながらノートをめくってた姿が好き

自分にとっては一瞬だったかもしれないけれど、その一瞬のうちに積み重ねてきたものは確かに残っているのです。その一瞬を楽しんでくださった方々が、僕の知らない場所にたくさんいらっしゃるのです。

漫画を書き続けた自分も、漫画で顔も知らない誰かを喜ばせられ続けた自分も大好きになれました。

直撮りで出すかデジタルで書くかは始める前にかなり迷ったのですが、こうして見ると手書きでやってみたのも案外良かったのかも……?

多分一生誇れるお宝です。

僕には一枚の綺麗なイラストを突き詰めて仕上げられるような根気も、自分の漫画を編集社に持ち込むような勇気も、ましてや界隈全体を盛り上げられるようなイベントを開催できる人脈もありませんでした。

でも、書き続けることはできました。

この継続は、皆さんの毎日を彩るための手助けになっていたでしょうか。

もし、この作品を通して笑ってくださったなら、

もし、この作品が少しでもあなたの活力になっていたのなら、

それが一番嬉しいです。

③フォロワー800人突破!!

ありがとう!!すっごく嬉しい!!!!

2024年7月10日時点

オリ棒作者さんはもちろん、界隈外の絵師さんからのフォローがめちゃくちゃ来ました(特に人外絵師さんからいただいたフォローが多かったように思います)。

新しくマーヤンの冒険に興味を持ってくださった人がいるのは非常にありがたいことです。こんなことされたらもっと書きたくなりますね。

でも、作品出さないとフォロワーさん離れやすくなっちゃうんだよなぁ。

何かしたいなぁ……

作品の良かった点

①心理描写

めっっっっっっちゃ気ィ使いました。
そして、一番頑張ったなと思える点でもあります。

突然ですが、ここで問題です。

そもそも、マーヤンの冒険が最初に公開されたのはいつの話だと思いますか?


旧チャンネル「MAYAN/マーヤン」より

正解は、2017年12月25日です。

約7年前。いったいフォロワーさんのどれくらいが正確なストーリーを覚えていらっしゃることか。

もちろん、フォロワーさんの中にはずっとマーヤンの冒険を追ってくださっている方もいます。しかし、全員がそういうわけではありません。

また新しく、一からマーヤンの冒険が何たるかを伝えるような作品でなければならない(あくまでゼロからとは言わない)。そう感じたわけです。

マーヤンとはどういう人物なのか。何を見て、何を考えて、そして何を求めて行動を起こす少年なのか。

これまでにぼんやりと描かれ続けていた「マーヤン像」を活かしつつ(これがゼロからと言わない理由です)、それらが初見の人にも分かりやすく伝わるよう描くことに重点を置いたのです。

マーヤンだけではありません。全てのキャラクターにおいて、小説版・アニメ版・あるいは合作で他の作者さんが引用し拡大した文脈さえも取り入れ、それぞれにとって最適だと言える人となりを責任持って描きました。

そして、それぞれの「キャラクター像」がはっきり定まっているのならば、物語でやるべきことは「思想の言語化」でした。

特に弟とマーヤンの関係においては、それぞれがお互いについて思っていることを語る話だけで一話使うこともザラにあったと思います。

ただ二人が「兄弟である」という事実を示すのではなく、「どのような兄弟であるか」を詳細に描こうとした結果です。

そして、これに関してはかなり上手くいったのではないかと思っています。

序盤から情報の蓄積を行い、終盤の展開で感情移入できるように組み立てる。

シンプルな点を意識したからこそ、むしろ今まで描いたマーヤンの冒険の中でもかなりクオリティの高い仕上がりになったと確信しています。

もうこの漫画が正史だよ。

②ちょっとずつ画力上がった

まずはこちらの画像をご覧ください。

第9話
第56話

同じキャラクターが描かれているのに、迫力が全然違うと思いませんか?

やっぱり書き続けるのって効果的なんですね。

画力だけでなく、四コマに対する情報の詰め込み方も少しずつですが向上したのではないかと思います。
特に中盤からは展開をさばくのが大変だったので……

そのおかげか、デフォルトでもらえるいいねの数が結構変わりました。

最初はちょっと上振れて30いいね、その後は落ち着いて10いいねちょっとを担保、でもまた見てくれる人が増えてきて20いいねに到達、そして最終回に至っては40いいねを越えました。

正直言ってこんなに見てもらえるとは思ってませんでした。感謝してもしきれません。

この作品には、「マーヤンの冒険を作り直す」という意図もありました。

物語の整合性はもちろん、ある程度マシな絵が描けるようになった状態で、物理的に閲覧がしやすいマーヤンの物語を作りたかったわけです。

同一のシリーズなのに、後から作られたシリーズとの(要するに543のこと)クオリティに差があるのは結構気にしてました。

この作品はある意味、マーヤンの冒険が辿ってきた軌跡を追体験していただけるものになっていたのでしょう。


作品の反省点

①流石に計画性無さすぎた

さて、ここからは反省点についてお話していきます。

先に断っておくと、ここでは作品に対する否定的な感情を綴るつもりはありません。あくまで、自分の作品を客観視して見えた事実を書くことを目的としています。

まず、計画性の無さ。

あまりにもノリと勢いに任せ過ぎました。

ペース配分がまるでなっていなかった。

この漫画を書く上で最も課題だったのが、「どこまで書くか」という点。
身内コミュニティでもしょっちゅう聞かれました。「これってコヨミが出てくるところまで書くの?」

マーヤンの冒険には「マーヤンの冒険」「マーヤンの冒険SECOND」そして「マーヤンの冒険543(これだけ未完結)」という三つのシリーズが存在します。

そして当初は20話ごとに章分けして543の終わりまで書ききるという案もありました。(その案ではSECONDまでの話が40話で完結しています)

でも、いざ書き始めてみると話数が全然足りない。それどころか、当初はプロットすらも用意してませんでした。(ある程度の流れは考えてましたが)

先述したように、マーヤンの冒険は100日で完結できるほどコンパクトなもんじゃありませんでした。

毎日その場で展開を考えることでライブ感を演出する意図もありましたが、それは原作という骨組みがあったとしてもハードルの高いものでした。

第30話まで書き終わった後でようやく、「無印までにしよう」という決心(諦め?)がつきました。

区切りの良いところまで丁寧に書こう……と。

第40話を書き終わるころには全体像も見えはじめ、書くべきシーンも形を持って浮かんでくるようになりました。

そして第50話まで書いた後で初めて、まともなプロットを書きました。

そこからは修正と添削の繰り返しでした。

第60話時点。残り40話分のプロットを一話ずつ書き上げました。

プロットを書き上げた後も足りないシーンに気づきました。

リリスの登場が遅れたり早まったりの繰り返し。

本筋に関係ない伏線回収は諦め、マーヤンの物語にきちんと区切りを付けられるように専念しました。

第90話まで来たところで、もう一度プロットを仕上げました。

そのプロットも4回ほど変更を加えました。

最初から全て決めておけばここまでドタバタすることもなかった……とは言い切れない部分もありますが、もう少し、筆に迷いが無い状態で制作できるような環境を整えられる余地はあったのではないだろうかと考えています。


②直撮りよりデジタル

ノートに書くという形式は、作者の目の前に蓄積を残すという点で大いに貢献してくれました。

家に帰ってノートを開くだけで、すぐに作業に取りかかれる。これは自分にとってハードルが低く、継続するきっかけになっていました。

しかし、それはあくまでこちら側の都合。

世に出すという面を考慮すると、無視できない課題もありました。

こちらの画像をご覧ください。

第1話


第100話

これらの画像の違いは、作者にとってはかなり気になってしょうがないものでした。

それは、「画像の明るさ」です。

僕の理想は、全ての話が第1話のような明るさで投稿できることでした。

線画が黒く、紙面が真っ白な状態。

しかし、ほとんどのお話は第100話のような明るさで投稿されていたと思います。

画面が暗くて見えにくかったり、影が入っていたり……

このような差は、デジタルを使えば改善できたものでした。

しかも色塗りは色鉛筆で行っていたため、撮影にはかなり苦労しました。特にこの話。

夕日いい感じに塗れたんだけどなぁ

撮影ミスってたら夕日台無しでした。

劇中で使われていた色で唯一、赤だけはボールペンを使って塗っていたので悩みの範囲外でした。

ここまで直撮りのデメリットをつらつらと書いていきましたが、恐らく今後もアナログイラストで投稿する機会があるでしょう。(言うてデジタルうごメモしか使いこなせないし……)

画材選び、マジで大事です。

……コピック欲しいな…………


最後に

というワケで、あとがきは以上です。

まあまあ長めの文章になってしまいましたが、ここまで読んでくださった皆さん本当にありがとうございました。

最後に、この漫画を書く前に経験した出来事についてのお話と、ちょっとしたお知らせをして終わりにしたいと思います。

実は、マーヤンの冒険で漫画を書く取り組みは少し前から行っていました。

見覚えのある子がいるね!

そういえばそんなこともやってたね、とお思いになった方もいらっしゃるでしょう。

しかし、この作品はいまだに未完成のままです。

結構大々的に予告していましたし、僕自身も完成を楽しみにしていました。

それでも完成させることができなかったのは、書くモチベーションがすっかり無くなってしまったからです。

その背景にはこんなことがありました。

ある日私は、フォロワーさんのスペースにお邪魔してこの漫画を制作していました。

するとそこに、スペースをホストしていらっしゃったフォロワーさんとは別のオリ棒作者さんが入室してきました。

その方は漫画の熟練者といっても過言ではない方でした。

私のような完全アマチュアカジュアルエンジョイ勢とは違って漫画の専門学校も卒業しており、確かにその技術にはド素人から見ても目を見張るものがありました。

その方は「オリ棒漫画の金字塔を作りたい」という大きな目標を掲げていらっしゃった方でした。

そんな熱意あふれる方とお会いできたのは自分にとって喜ばしいことでした。そして私は、自分が漫画を書いていることをその方にお話しました。

するとその方は私がアップしていた進捗の写真を見るなり、かなり的確なご指摘の数々をしてくださったのです。ゲームをしながら。

私には、そのアドバイスをありがたいと思う器がありませんでした。

そもそも、私はその方にアドバイスをして欲しいというお願いはしていませんでした(もし漫画が完成した時には読んでくださると嬉しい、といった趣旨の発言をした記憶はありますが)。

私は自分の技術不足に直面し、すっかり自信が無くなってしまいました。

こんな作品、書いてて何になるんだろう……と思ってしまいました。

私は、筆を折りました。

そんなのは技術が足りなかったあなたが悪い、黙って努力しろとお思いになる方も中にはいらっしゃるでしょう。

でも、当時の僕は本気で傷ついていました。
状況が状況でしたし、加えてあまりにも予想外の出来事だったので。

……しかし、時間が経つと次第にこう思えるようになってきたのです。

僕自身が作品を否定してどうするんだ、と。

一番辛い思いをしているのは僕じゃない。その生き様を否定されたキャラクターたちだ。

だから、こんなところで終わってはいけない。終わるわけにはいかない。

この企画を実行に移した深夜テンションの根底には、そんな思いもあったのかもしれません。

そして、そんな感情もこの作品を通してすっかり昇華することができました。

この100日間を通して、書くことの楽しさを取り戻すことができたので。


ネット上でも現実でも、創作やってたら理不尽な目に遭うこともあると思います。

作品を頭ごなしに否定されたり、面白くないと一蹴されたり……

全てを投げ出したくなるような経験をした方も中にはいらっしゃるでしょう。

落ち込んで、立ち直れなくなって、もう二度と創作なんてやりたくないと思ったことでしょう。

そんな時は無理せず休めばいいと思ってます。

創作をやめるという選択肢も取れるし、また少しずつやってみるという選択肢も取れる。

一番悲しいのは自分で自分の作品を否定してしまうこと、そして創作に没頭していた過去の自分さえも否定してしまうことではないでしょうか。

まずは自分が楽しむこと。そうすれば自信も沸いてきます。

時間をおけば、案外否定の言葉さえも飲み込めるようになってくるかもしれません。そこを克服して、もっと面白い作品が作れるようになる。とはいえ、これは本当にプロの域だと思いますが……

これからは、もっと楽しみながら作品制作ができたらいいなと思っています。

……さて、『100日後に完結するマーヤンの冒険』では、マーヤンがゴールデンアップルフォレストを訪れた話が描かれました。

これは、原作アニメシリーズの『マーヤンの冒険』で描かれていた話です。

つまりこの作品は、『100日後に完結する「マーヤンの冒険」』だったというわけです。

次回作、『100日後に完結するマーヤンの冒険SECOND』
9月6日(金)よる8時スタート!

ご期待ください。

では、閲覧ありがとうございました!

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